MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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字幕翻訳の入門書

2008年04月03日 | 翻訳研究
Cintas, J. D. and Remael, A. (2007). Audiovisual Translation: Subtitling (Translation Practices Explained Vol.11). (St. Jerome)
St. Jeromeのこのシリーズは実践的入門書ということであまり理論的に深くはないのだが、この本は理論的な目配りも効いている。(そのことは文献を見れば一目瞭然。翻訳研究、字幕研究の水準を踏まえていることが分かる。)章立ては、1. Introduction to Subtitling 2. The Professional Environment 3. The Semiotics of Subtitling 4. Technical Considerations 5. Punctuation and other Conventions 6. The Linguistics of Subtitling 7. Translation Issuesとなっている。第6章の「字幕の言語学」では、「書き換えとしての翻訳」の立場を打ち出し、テキストのreduction、字幕の結束性と意味的整合性、分節化と区切り方などを扱っている。第7章の「翻訳の問題」では、言語的変異形、指示的意味と含意、有標のスピーチ(ここでスタイルやレジスタ、方言、個人言語、タブー語、罵り語などを扱う)、文化的語彙の翻訳、歌の翻訳、ユーモアの翻訳(Wordplayを含む)、イデオロギーの問題などを取りあげている。実務者にとってはもちろん、研究者にも大いに役に立つだろう。DVDにはWinCAPSのソフトと「キリマンジャロの雪」とか「シャレード」とか、百を越す映画のクリップが収められており、実際に字幕をつける練習ができる。インストールが終わってDVDを取り出すときに何か非常に深刻そうなエラーメッセージが出るが、そのままPCのスイッチを切れば問題ないようだ。