MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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Faircloughの翻訳書

2008年03月28日 | Weblog

水野真木子さんからノーマン・フェアクロー(著)貫井孝典(監修)吉村昭市・脇田博文・水野真木子(訳)『言語とパワー』(大阪教育図書)を頂いた。原著はFairclough, N. (2001). Language and Power (Second Edition). (Longman)。Faircloughはvan Dijkと並ぶCDA(批判的談話分析)の雄である。なぜかまだAmazonどころか版元のサイトにも載っていないのでリンクはなし。
訳者まえがき」にあるようにCADについての日本語の本はきわめて少ない(代表的なものは野呂香代子・山下仁(編)『「正しさ」への問い』(三元社)ぐらいか)ので、本書が出版されたのは喜ばしい。実はCADは翻訳研究とも密接に関連する分野であり、数は少ないがいくつか研究もある。日本にも立教の坪井さんのCADを使ったボスニア紛争報道翻訳の分析がある。CADはフーコーなどの現代思想とも関係があるし、僕は詳しくないがポストコロニアル翻訳研究とも当然関連しているはずだ。この方面に関心のある人にとっては必読文献になると思う。この翻訳では「訳者まえがき」の中に各章の簡単な紹介があり、続いて「キーワード一覧」が置かれるなど、読者の理解に資する工夫が見られる。さらに巻末には和英対照の索引と英和対照の索引を付すという親切な作りになっている。また巻末にまとめられることが多い訳注が各章の末尾に付けられているのも便利だ。

これは買わないわけにはいかないだろうなという本。安井稔『英語学の見える風景』(開拓社)。伝統的なトピックスの他に「文法的メタファー」、「コミュニケーションと翻訳」、それに「早期英語教育」まで扱っている。英語学自体はそれほど面白いものとは思わないが、この人の書くものだけは面白かったのである。