(以下、朝日新聞から転載)
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日本語指導ニーズ増す 福岡市が外国人生徒の習得支援に力
指導員の女性から日本語を教わるソフィアさん(左)。来日2カ月とは思えないほど上達していた=福岡市東区香椎浜2丁目
【岩崎生之助】小中学校に通う外国人の児童・生徒への日本語教育に福岡市教委が力を入れている。言葉の壁を乗り越えれば、友達づくりや進路選択などあらゆる面でプラスになるからだ。先生たちの指導力を上げようと、大学と協定を結んで研修の強化に乗り出した。
市営団地に囲まれた福岡市東区の城香(じょうこう)中学校(生徒数236人)。出入り口に「ワールドルーム」と5カ国語で書かれたプレートがかかった教室がある。
米国から来た3年生、ディッキー・ソフィアさんが市教委から派遣された指導員と勉強していた。この日の課題は助詞。白板には「なつやすみ」「きょうと」「いきたい」と書かれたカードが張られ、ソフィアさんは少し考えながらその間に「に」「へ」と書き込んでいった。
「バーゲン」「ハイキング」「ミュージカル」など日本でよく使われる英語もネーティブにとってはくせ者。発音の違いに戸惑いながら、声に出したりテキストに書き込んだりしていった。
「日本語の勉強は難しいけど、楽しいです。漢字の勉強をしたい」。記者の質問に、来日2カ月とは思えないほどしっかりした日本語で答えた。外国人のために配慮された特別試験で、日本の高校への進学を考えているという。
ワールドルームには生徒14人が在籍する。壁には中国語、韓国語、スペイン語の単語が書かれた模造紙が張られ、あまりなじみがないアジア地図もある。ソフィアさんに教えていた指導員のほか、日本語指導の専門教員2人も外国の生徒をサポートする。
在籍する14人は普段はそれぞれのホームルームでほかの生徒たちと同じ授業を受けている。ワールドルームは貴重な「居場所」でもある。あるイスラム教徒の子は、祈りを捧げるため習慣的に足を運ぶ。クラス開きにあたる「開級式」など行事の前には、在籍する生徒が準備のため集まってくる。
徳成晃隆校長は「『郷に入らば郷に従え』でよかったのは昔の話で、国際化の時代にはそぐわない。生徒の特徴に応じたきめ細かな対応が必要になるが、日本人生徒の国際感覚が養われるメリットもある」と多文化交流の意義を説く。
福岡市教委によると今年5月現在、市内の小中学校に在籍している外国人児童・生徒は計639人。ここ数年、人数に大きな変化は見られない。一方、日本語指導員の派遣回数は増えている=グラフ。「支援が必要な子には積極的に周知している。日本語指導教室の設置校が増えてニーズも高まった」とみる。
市教委が派遣する指導員とは別に、福岡市内の小中学校14校には計22人の日本語指導の専門教員がいる。配属校同士で連絡協議会をつくり、専門教員の指導力を磨くため月1回の勉強会を続けている。
市教委は今年8月、国際教育に力を入れる東京学芸大と、日本語指導専門教員の研修プログラムを開発する協定を結んだ。大学の研究者5人が福岡市で年3回研修会を開き、基礎理論の講義やグループ討論などに取り組んでいる。研修翌日には、内容をより充実させるにはどうしたらよいか議論を深めるという。
相良誠司・研修課長は「国際教育は福岡市の大きな課題の一つ。他の都市でも応用できるようなモデルをつくり、日本語教育の拠点としてリードしていきたい」と話している。
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日本語指導ニーズ増す 福岡市が外国人生徒の習得支援に力
指導員の女性から日本語を教わるソフィアさん(左)。来日2カ月とは思えないほど上達していた=福岡市東区香椎浜2丁目
【岩崎生之助】小中学校に通う外国人の児童・生徒への日本語教育に福岡市教委が力を入れている。言葉の壁を乗り越えれば、友達づくりや進路選択などあらゆる面でプラスになるからだ。先生たちの指導力を上げようと、大学と協定を結んで研修の強化に乗り出した。
市営団地に囲まれた福岡市東区の城香(じょうこう)中学校(生徒数236人)。出入り口に「ワールドルーム」と5カ国語で書かれたプレートがかかった教室がある。
米国から来た3年生、ディッキー・ソフィアさんが市教委から派遣された指導員と勉強していた。この日の課題は助詞。白板には「なつやすみ」「きょうと」「いきたい」と書かれたカードが張られ、ソフィアさんは少し考えながらその間に「に」「へ」と書き込んでいった。
「バーゲン」「ハイキング」「ミュージカル」など日本でよく使われる英語もネーティブにとってはくせ者。発音の違いに戸惑いながら、声に出したりテキストに書き込んだりしていった。
「日本語の勉強は難しいけど、楽しいです。漢字の勉強をしたい」。記者の質問に、来日2カ月とは思えないほどしっかりした日本語で答えた。外国人のために配慮された特別試験で、日本の高校への進学を考えているという。
ワールドルームには生徒14人が在籍する。壁には中国語、韓国語、スペイン語の単語が書かれた模造紙が張られ、あまりなじみがないアジア地図もある。ソフィアさんに教えていた指導員のほか、日本語指導の専門教員2人も外国の生徒をサポートする。
在籍する14人は普段はそれぞれのホームルームでほかの生徒たちと同じ授業を受けている。ワールドルームは貴重な「居場所」でもある。あるイスラム教徒の子は、祈りを捧げるため習慣的に足を運ぶ。クラス開きにあたる「開級式」など行事の前には、在籍する生徒が準備のため集まってくる。
徳成晃隆校長は「『郷に入らば郷に従え』でよかったのは昔の話で、国際化の時代にはそぐわない。生徒の特徴に応じたきめ細かな対応が必要になるが、日本人生徒の国際感覚が養われるメリットもある」と多文化交流の意義を説く。
福岡市教委によると今年5月現在、市内の小中学校に在籍している外国人児童・生徒は計639人。ここ数年、人数に大きな変化は見られない。一方、日本語指導員の派遣回数は増えている=グラフ。「支援が必要な子には積極的に周知している。日本語指導教室の設置校が増えてニーズも高まった」とみる。
市教委が派遣する指導員とは別に、福岡市内の小中学校14校には計22人の日本語指導の専門教員がいる。配属校同士で連絡協議会をつくり、専門教員の指導力を磨くため月1回の勉強会を続けている。
市教委は今年8月、国際教育に力を入れる東京学芸大と、日本語指導専門教員の研修プログラムを開発する協定を結んだ。大学の研究者5人が福岡市で年3回研修会を開き、基礎理論の講義やグループ討論などに取り組んでいる。研修翌日には、内容をより充実させるにはどうしたらよいか議論を深めるという。
相良誠司・研修課長は「国際教育は福岡市の大きな課題の一つ。他の都市でも応用できるようなモデルをつくり、日本語教育の拠点としてリードしていきたい」と話している。
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