多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

「住民とブラジル人の交流促進に奮闘、田中美晴さん」

2008-03-12 21:40:38 | 多文化共生
 事前に植えつけられる観念を先入観という。田中さんの「留学前にブラジルの治安の悪さを知っていたら怖くて行けなかったかも」という一言は大きい。先入観なしに物事を眺めることは、ほとんど無理で、むしろ「自分には先入観がない」を思い込んでいる人ほど危険だ。常に、自分が先入観に振り回されていないかどうか、チェックすることが大切だろう。多文化共生が永続的に続く理由は、まさに人の心にある。

(以下、毎日新聞から転載)
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「住民とブラジル人の交流促進に奮闘、田中美晴さん」 /群馬

 ◇両者の懸け橋にと決心

 <今やすっかり「日本のブラジル」として知られるようになった大泉町。ブラジル系を中心に外国人が人口の2割近くを占める。「1日1回ボンヂーア(おはよう)」を合言葉に、国際交流団体「KiMOBiG」(キモビッグ)を組織し、外国人と住民との交流促進に奮闘する元気いっぱいの女性がいる>

 --どういう団体ですか。

 06年4月にブラジル人と日本人が仲良く一緒に楽しめる活動を目指して設立しました。メンバーは約400人で、ブラジル料理やフォホー(踊り)の教室、映画会や温泉旅行などのイベントを企画しています。国籍の垣根を越えてわいわい遊び、互いの文化を学ぶ。誰でも参加できます。

 --設立のきっかけは。

 2年前、「ブラジルを感じられる場所」と期待して引っ越してきたのに、ブラジル人との接点が余りにも少なかった。不動産屋で「ここは外国人が多いからやめた方がいい」と言われ、ブラジル系のスーパーやディスコには日本人の姿はない。「外国人は怖い」という住民の声を聞き、両者の懸け橋になるしかないと決心しました。ブラジル人の側も差別や偏見を恐れ、日本人社会になじまず、自分たちだけの世界を作り上げていました。

 --ブラジルへの興味は。

 21歳の時、ボサノバにあこがれてリオデジャネイロに留学しました。1年半暮らし、人の優しさや陽気な明るさに触れブラジル人に魅了されました。本来、思いやりのある人たちで、勇気を出して、あいさつしてみてほしい。

 --今後の目標は。

 公共施設の職員から「ブラジル人の子供がたばこを吸っている。注意して」と電話で呼び出されたことがあります。子供も喫煙が悪いことは知っているので、ジェスチャーでも十分伝わるんです。「かかわりたくない」というのが本音なんですね。日本人が妙に避けたりせず、普通に交流できる世の中にしたいですね。将来は我々のような団体が必要なくなるのが理想。学校でも職場でも、ブラジル人が夢や誇りを持てるようにしたい。

 ◇取材後記

 「伝えたい気持ちがあれば伝わる」。情熱が宿った大きな瞳に思わず見とれた。主宰するポルトガル語教室の教材は全て手製。仕事のない週末は活動が目白押しで、休日はほとんどない。「留学前にブラジルの治安の悪さを知っていたら怖くて行けなかったかも」と屈託ない。当初、留学に反対した元警察官の厳格な父が今では最大の理解者だ。ちなみに団体名は「肝が大きい」の意味という。【鈴木敦子】

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 ■人物略歴

 ◇たなか・みはる

 青森県出身、29歳。仙台市の短大卒業後、団体職員やブラジル留学を経て、今は町内で派遣社員として働く。座右の銘は「無知を恥じるな」。

毎日新聞 2008年3月11日

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