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2011-07-01 11:30:52 | 多文化共生
(以下、朝日新聞【石川】から転載)
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【能登の風】金蔵の「総掛かり」:下

2011年06月30日

「金蔵あかり会」の女性たち。かつての「若妻」は年を経ても明るく元気だ=輪島市町野町金蔵


◆女性の会「希望」の灯◆

~*本音で語らい特産作り*~

 輪島市町野町の金蔵地区では今、毎週のようにイベントが催され、視察や見学も絶えない。「若い学生や外国人がこがいに来るところはないぞ」と住民の声も明るい。雑草が生い茂っていた空き地には桜が植樹され、年2回だった田の草刈りは3回に増えた。

 だが、村おこしを始めた2000年に84戸・297人だった人口は減り続け、64戸・156人になった。交流人口が増えても、特産品販売などによる収入増がなければ、定住には結びつかないのが現実だ。

 昨秋、最大の懸案だった特産品開発を担うグループがついに誕生した。

 きっかけは夏の「万燈会(まんとうえ)」だった。学生114人がボランティアに来てくれることになり、「やすらぎの里 金蔵学校」の石崎英純理事長(60)は地域の年配の女性におにぎりづくりを依頼した。「石崎さんは金蔵のために一生懸命してるし、手伝おう」と十数人の女性が応じた。

 それ以来、イベントがあるたびに食事づくりを頼まれるようになった。秋に休耕田で育てた大豆と能登の塩で手作りしたみそのみそ汁は、視察者から「おいしい」と絶賛された。

 女性たちは本格的に食品加工を手がけようと、「金蔵あかり会」を結成した。空き家を改造した「寺寺(ジージ)の家」を拠点に、週1~2回集まる。手作りのみそは山椒(さんしょう)みそや柚(ゆず)みそに加工し、地元産米の餅は、柚餅やかぼちゃ餅などに仕立てた。春には山でノブキを取って箱詰めし、出荷した。

 視察にきた客には山菜料理を1食1500円で味わってもらっている。「女性が動いて地産地消の物づくりがはじまった。まだ小遣い銭程度の収入だけど、若い人が定住できる経済的環境づくりを目指して、あきらめずに進んでいきたい」と石崎さんは語る。

 金蔵学校ができてから約10年の村おこしの中で、女性主導のグループができたのは「あかり会」がはじめてだ。だが金蔵では、婦人会や婦人消防団などの活動が昔から盛んだった。「婦人会の集まりに行く」と言うと夫は文句を言えない雰囲気があったという。

 「昔は五つの寺の奥さんが婦人会をビシッと仕切っていたから、男の人に文句を言わせなかった。女の人ががっちりまとまれるのはお寺のおかげかも」と崎田とも子さん(61)。

 高度経済成長を経て女性が働きに出るようになり、小学校の廃校で運動会などの行事もめっきり減った。同年代の女性が親交を深めていた「若妻会」も高齢化で解散し、婦人会も年に1度集まる程度になった。そんな中、「あかり会」は定年退職後の女性の活動拠点になりつつある。

 「ここではみんな本音で物が言えるし、これだけ女が集まればたいがいのことはできる。ここは金蔵の『希望のあかり』よ」と田中みなみさん(64)。「まさに若妻会の再結成ですね」と記者がいうと、「アハハ、若妻会ならぬババ妻会だけどね!」と元気な笑い声が返ってきた。

(藤井満)

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