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ユニクロには「強い店長」が必要 人材グローバル化を急ピッチで推進

2012-10-15 10:58:14 | ダイバーシティ
(以下、SankeiBizから転載)
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ユニクロには「強い店長」が必要 人材グローバル化を急ピッチで推進

2012.10.13 17:00
ファーストリテイリング 人事・採用・教育部 経営管理室部長 佐藤崇史氏【拡大】

 当社では、2020年の連結売上高5兆円の達成に向け、海外事業の拡大を視野に入れた組織や人材のグローバル化を急ピッチで推進している。

 海外の競争に打ち勝つ重要なファクターは人材だ。現在、4万7000人の従業員のうち日本人は3万2000人。目標の5兆円のうち4兆円を海外の売り上げが占めることになれば、日本人従業員比率は相対的に1割にまで減少すると見ている。また、執行役員20数人のうち外国人10+ 件は5人しかいないが、この数を逆転させていかなければならないと考えている。2010年の新卒はグローバル規模で1000人を採用する計画だ。そのうち、出店数が多い中国では、2009年の倍の300人を採用する。国内の新卒採用は300人であるが、50人は留学生を含む外国人10+ 件であり、数だけ見れば中国が上回っている。(※雑誌掲載当時)

 しかも中国での成長のためにのみ中国人を採用するわけではない。中国で採用した人が店長を経て経営幹部になり、全世界に異動して活躍するようにしたいと考えている。同時に全世界の優秀な大学に我々人事が直接出向いて採用し、日本のユニクロに入社させる国境を越えたグローバル採用もやっている。

 グローバル展開をするには「強い店長」が欠かせない。小売業である我々の唯一のプロフィットセンターは店舗であり、成長を支えるのは他社にない強い権限を持ち、現場の声を吸い上げながら会社を変えていく店長=経営者の存在だ。その意味で、人材育成がグローバル成長の最大のボトルネックになりかねない。

 そのため、日本の全店長約1000人と本部の課長職以上の管理職100人の全員を、今後5年以内に海外に派遣する予定だ。アジアや欧米の9カ国・地域で展開する約150の店舗に異動し、原則3年以上は駐在させる。

 目的の1つは現地の社員教育だ。店舗経営の原理原則、つまり当社のDNAを理解し、そのやり方を体現できる店長=経営者を育てること。もう1つは日本人社員自身に全世界で通用するリーダーシップを身につけてもらうことにある。現地社員の育成とそれを通じてグローバルなマネジメント力を身につけるという一挙両得の人材戦略である。

 海外人材の比率が高まるなか、日本人だけの内輪での仕事のやり方は通用しなくなっていく。海外の人材に、なぜこんなやり方をするのかと問われて「これがユニクロの基準だから」「日本でもやっているからやってください」では誰も動いてくれない。ユニクロの原理原則をきちんと理解したうえで自分の言葉で説明し、見本を見せられるようでなければならない。

 海外に出てうまくいかない日本人は数多くいるが、メンバーが言うことを聞いてくれないから自分でやってしまうのは悪いパターンだ。日本ではよく働く人だと評判がよくても、海外の人材は尊敬してくれない。基準を曲げず、どんな国の人に対しても対話を通してきちんと要求していけるリーダーが求められている。そうしたグローバルに通用するリーダーシップやマネジメント力を身につけなければ当社では生き残れない。

 今後、海外に年間200~300店舗新設していく予定であるが、それを担う人材が足りない状況だ。店長をはじめ中核となるミドルマネジャー、その国の経営を任せる経営陣も足りない。現地での採用と育成も大事であるが、日本にいる社員全員が世界で活躍してもらわないと困る。

 12年3月から社内の英語公用語化も始まる。会議に母国語が異なる社員が1人でもいれば英語を使うことになる。それに向けて全社員にTOEIC700点以上の取得を義務づけている。現在、店長や本部社員の全社員約2000人が、少なくとも週10時間以上の英語研修を受講している。会社の全額負担であるが、TOEICのスコアが一定以上に上がらないと自己負担になる。(※雑誌掲載当時)

 国内にとどまりたいという社員は今後当社では働いていけないだろう。もちろん、個別の家庭の事情がある人は最大限の配慮はする。しかし、会社自身がグローバル化し、店長が海外にどんどん出ていくと同時に、海外から日本に来た外国人を教育しなければいけないときに、自分はグローバルな働き方はできないという人には、残念ながら活躍できる場はないだろう。(溝上憲文=構成 田辺慎司=撮影)

 ※すべて雑誌掲載当時(PRESIDENT Online)

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