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豊田の外国人 苦難の冬

2009-02-03 12:55:13 | 多文化共生
豊田の外国人 苦難の冬

2009年02月03日

【失業で先月の就学支援急増】

●市全体の約半数

 失業などを理由に、子どもの学校給食費の免除などの就学援助を申請する外国人が急増していることが、豊田市の調べで分かった。1月だけで70人が新たに認定され、半数近くは日系ブラジル人ら外国人だった。トヨタ自動車の業績低迷が、外国人らも多く働く下請け企業を直撃し、子どもの教育費にも深刻な影響を与えている状況がうかがえる。(黄)

 就学援助は経済事情などで生活が厳しい家庭の児童・生徒を支援する制度。豊田市は月額5千円前後の給食費を無料にしたり、中学生で年額1万円以上の学用品費を支給したりしている。
 豊田市教育委員会学校教育課によると、新規認定は昨年11月が21人(外国籍4人)、12月は24人(同5人)だったが、1月は70人に急増した。外国人はこのうちの33人に上り、全体の47%を占めた。同市の人口に占める外国人の割合は4%で、その突出ぶりが際立っている。
 07年度は、申請が集中する年度初めの4月を除き、12月の40人が最も多く、同課の担当者は「70人というのは、まさに異例だ」と言う。
 申請理由では、日本人の場合「母子家庭」が6割近くに対し、外国人の場合は、失業などの収入減が8割以上の28人に上った。
 外国人の就業状況の悪化は、児童・生徒の「出入り」からもうかがえる。
 同課によると、昨年9月以降、市立小中学校に転入した外国籍児童・生徒は計54人。1月だけで21人おり、11人は市内のブラジル人学校からの転入だった。私塾扱いで公的助成がなく、授業料が割高なブラジル人学校を敬遠した親が学費の安い市立に切り替えたとみられる。一方、同じ昨年9月以降に、市立小中学校を退学した外国人児童・生徒は21人。5人は親が失業し、子どもを通わせることができなくなったためであることがはっきりしているという。
 市教委は、外国人の子どもが増えた公立学校に対し、日本語指導員の巡回数を増やすなどの対応を取っている。就学援助の申請はさらに増える可能性もあるといい、同課は「状況を注意深く見守り、適切な対策を立てたい」と話している。

【疲労からの結核拡大懸念】

●患者の1割に

 昨年新たに結核と診断された患者を豊田市が集計したところ、新規の登録患者は07年の65人から7人増の72人で、外国人は9・7%、7人に上った。同市在住の外国人は市人口の4%。市は「日本での生活で疲労を蓄積させ、発症した可能性もある」とみており、昨秋以降の景気悪化で職を失う外国人が急増していることもあり、健康への影響を注意深く見守る考えだ。
 外国人患者は、9人だった07年の13・8%と比べると減ったが、04年は19・2%、05年は12・9%、06年は16・9%と人口比を大幅に上回る。08年は率が1ケタ台に下がったが、県内全体の外国人患者の割合6・1%(07年)や、国の3・3%(同)と比べると高い水準だ。
 結核は菌に感染しても、すぐに発病する人は1割程度で、長期間にわたる保菌の末に発病する人もいる。生後6カ月未満の乳児に実施している結核の予防接種で、同市の接種率は外国人住民も含めて95%を超えており、同市は外国人患者の多くは出身国で結核菌に感染したとみている。世界保健機関(WHO)の推定では、同市に出身者が多い中国の新規発生患者数は03年に133万人でインドに次いで世界第2位、ブラジルは11万人で同15位だった。
 こうした中、市感染症予防課が気にかけているのは、トヨタ自動車の業績悪化など、急激な景気の低迷だ。
 結核は、保菌者が高齢になったり、疲労が蓄積したりして免疫力が落ちると発病しやすいという。「派遣切り」などで職を失い、心身ともに疲弊している外国人住民が増えていることは大きな懸念材料だ。失職して家計が厳しくなれば、体調が悪くても病院に行くのを我慢するケースも出てくることが考えられ、早期発見が遅れる恐れもある。
 同課は「今後も状況の変化を注視したい。せきが2週間以上続くなどの症状が出た場合には、医療機関を受診してほしい」と話している。

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