多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

丁寧な通訳で相互理解を

2012-07-23 13:21:05 | 多文化共生
(以下、読売新聞から転載)
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丁寧な通訳で相互理解を

 「りんくう総合医療センター」(大阪府泉佐野市)で国際外来を担当する南谷(みなみたに)かおり医師(47)は、言葉や文化の違いからくる、外国人患者と日本の医療者との相互不信に心を痛める時がある。「言葉が分からなくても、お互いを理解するためのちょっとした努力で、気持ちのいいやりとりができるはず」と話す。
ブラジル男性の患者(右)に、泌尿器科の専門医(左)の説明を、ポルトガル語に通訳する南谷医師(中央)。「わかりやすい言葉を選ぶよう心がけている」という(りんくう総合医療センターで)=守屋由子撮影
 
治療費、分割払いに

 <国際外来の担当というと、他の医療機関の医師らに「(医療費の)未払いが多いでしょう」と同情される。しかし、自らの経験からそうした見方に疑問を感じることもある>

 胸痛を訴えたペルー人の男性患者です。心筋梗塞の恐れがあり、心臓のカテーテル検査と治療を行いました。日本の国民保険に入っており、手術や入院などの費用が補助される高額療養費制度が適用され、患者負担は10万円足らずでした。

 男性が以前受診していた病院から、同様の検査費が未払いだと聞き、不安でしたが、通訳を通じたやりとりで、6回の分割払いで、完済しました。彼は支払う気のない人ではなかったのです。以前の病院では、分割払いの方法を教えてもらえず、支払いの督促状が届いても、日本語の文面が理解できずに放置していたのではないかと思います。こうしたケースはほかにもあると思います。
未払い問題の対策を

 <丁寧な説明で、防げることは多い。自分が外国で診療されていると思って、理解しやすい言葉で話す>

 他院で「脳が腫れている」と言われ、来院したブラジル人女性がいました。日本語が話せましたが、「経過観察」と言われて、どの程度の病状かわからず、不安に感じていました。

 紹介状によると、脳の直下にある脳下垂体が、普通より少し大きい。健康な人でもあり得るケースだと通訳し「経過観察」が妥当だと説明したら納得してくれました。同じ「経過観察」でも受け取り方は全く異なります。他院からうちに来る外国人患者のほとんどが、診察結果は同じです。

 <ただ、問題があるケースもある>

 旅行者用の医療保険に加入していない外国人が、救急患者になって未払いのまま、帰国されてしまうケースがあります。医療機関では、手の打ちようがなく、大きな問題です。初診の段階で一定額を入金してもらうような制度も検討すべきだと思います。
至れり尽くせりに警鐘

 <外国人患者への理解は大事だが、過剰な要求には「NO」を>

 機内で急病になった外国人の救急患者を診察後、病院からホテルまで案内しようとしたり、病院食のメニューを変えてほしいという患者の注文に応えようとしたり、ブラジルで医師の勉強をした私から見ると日本の医療者は至れり尽くせりと言った感があります。スタッフには「相手は要求が通ればラッキーぐらいの気持ちだから、出来ないことははっきり言って」と助言しています。(聞き手 新井清美)

(2012年7月22日 読売新聞)

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