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日本は外国人にとって働きやすいか

2014-07-01 10:04:12 | 多文化共生
(以下、BLOGSから転載)
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日本は外国人にとって働きやすいか


答えはYesでもNoでもありです。はっきり物を言いよく問題を起こす私に似合わない答えですが、説明をします。

もし日本が働き難いならば、私のような人の存在が説明できません。私は自ら進んで日本で十数年も働きました。働きやすくないと感じていたらどこかに行ったでしょう。現在、システム開発からコンビニの店員まで外国人労働者の存在は誰でも実感するはずです。

しかし、北京で生活していると日本に行って働きたいというエリートビジネスマンに会ったことはありません。彼らの希望はだいたい欧米・香港・台湾が中心です。最近は中東やアフリカさえも増えました。北京や上海のような都会では現地企業のエリートビジネスマンの年収は日本と変わりません。大企業の部長クラス以上となれば日系企業より高いのです。

それと中国にいれば生活コスト、特に食糧、衣服などの基本コストは日本より遥かに安い。このため、特別なメリットがないかぎり、わざわざ海外に行って働くメリットがありません。

特別なメリットとは何か。思い付きで挙げると以下のようなことが考えられます。
(1)チャレンジ性の高いエリートポスト 
(2)特別に高い年収 
(3)仕事以外の楽しみ

日本企業は年功序列、終身雇用の色が濃く残っているうえ、日本独自の商習慣も多いため、中途入社の外国人ビジネスマンにチャレンジ性の高い仕事を与える訳がありません。ただでさえ平等主義重視の日本社会にチャレンジ性の高い仕事もさせてもらえない外国人ビジネスマンは特別に高い年収が望めないのです。

仕事以外の楽しみと言えば、日本企業は未だにサービス残業が横行しています。この間の残業代ゼロ法案はまだそのような文化を公式に肯定するようなもので企業中心に生きるサラリーマンの群れに外国人ビジネスマンが溶け込む訳がありません。日本の美しい風景や風土そして独特な文化を楽しみたくても、家族と一緒に居る時間を確保できないとどうにもなりません。

この問題への解説は先日の日本経済新聞にも私へのインタビュー記事を掲載していただきましたが、裏の本質は他でもなく労働力の流動性問題です。流動性が無いのに成果主義と称して残業代ゼロにしても結局、成果評価せず、「姿勢」と「努力」が評価されます。そんな評価システムの下では数倍の年収はありえませんし、上司や企業への服従と忠誠が評価の中心になるのです。結果的にエリートビジネスマンにとって日本は働き難い社会です。

ではどんな人にとって日本は働きやすいでしょうか。一言でいえば安定志向で真面目で給料の低い人々です。先月山東省の田舎に戻って墓参りした時、幼いなじみの友人にお子さんの日本への就職口を頼まれました。真面目でよく働くそのお子さんは良い給料を求めて日本で働きたいと言いますが、それ以上もそれ以下もありませんでした。彼のひた向きで苦労に耐える姿勢は日本の現場に受け入れられると思うし、結果的に本人も働きやすいと感じるはずです。

さて、私のような人間がなぜ日本で働きやすいかというと、それは既存の組織に属さず自分が好きな環境を作っているからです。今はどうかはわかりませんが、90年代までの日本ではエリートは創業しません。私のような日本に慣れた外国人にとって大いなるチャンスです。自分の考えで起業し、それに賛同する社員だけが就職してくるので働きやすいのです。主流にはなかなかなれませんが、志のない私にとって働きやすかったことは間違いありませんでした。

日本は外国人にとって働きやすいか。このような質問自体、本質はずれです。どんな外国人にとって働きやすいかを問わない限り、外国人労働問題の本質に到達しません。


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