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高校で手品の授業/鹿児島城西

2012-07-20 10:58:04 | ダイバーシティ
(以下、朝日新聞【鹿児島】から転載)
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高校で手品の授業/鹿児島城西

2012年07月20日

マジックの仕掛けを作る生徒と瀬紀代功さん(左から2人目)=日置市の鹿児島城西高校


 授業でマジックを教えている高校がある。人付き合いが苦手な不登校だった生徒たちのために「社会に出たときの会話のきっかけになれば」と採り入れた。祖父母ほど年の離れた講師のマジシャンとアシスタントの夫婦との交流は、生徒たちの心の支えになっている。
 日置市の鹿児島城西高校。1年生が手品の「タネ」作りに挑んでいた。さまざまな色の紙テープを巻き、植木鉢そっくりのものを作る。その植木鉢を新聞紙で包むようにして隠し、勢いよく振れば紙テープがシャワーのように飛び出す仕組みだ。
 「地球人なら、この植木鉢を紙テープとは思わない」とマジシャンの瀬紀代功(せきだいこう)さん(69)。アシスタントで妻の則子さん(64)とともに、マジックの授業の講師を務める。2人は鹿児島市でマジックバーを営んでいる。
 トランプを切っていた有村美佑紀さん(15)は中学時代は不登校だった。弓道部員だった中学1年のとき、行きすぎたダイエットでものを食べられなくなり入退院を繰り返した。「先輩はみんなすごく細く見えたし、はかまをはいたときに自分のウエストが気になった」。ときどき登校したが、勉強や友達の話についていけず、学校に行くのが怖くなった。
 鹿児島城西に入学したのはマジックがきっかけ。ユニークな授業としてテレビで取り上げられているのを見て興味を持った。いまは学校が楽しい。「マジックはうまくできないけど、できるとかっこいい」。にっこり笑うとえくぼができた。
 鹿児島城西は、中学時代に不登校だった生徒が登校することをめざし、6年前に全国で初めて普通科ドリームコースを設けた。マジックは設立当初からの目玉授業だ。
 授業以外でも、瀬紀さん夫婦は生徒たちのよき相談相手になっている。代功さんは「じーじ」、則子さんは「ばーば」と呼ばれている。「将来やっていけるか不安」「眠れない」。2人の携帯電話にはそんな相談がかかってくる。ある女子生徒は「家族が話を聞いてくれない」と悩んでいたが、マジックを見せると驚いてほめてくれた。「認めてくれてうれしかった」と則子さんと一緒に泣いた。
 マジックや2人との会話を通じて、生徒たちは自信を取り戻していっているようだ。卒業生の鳥山英樹さん(18)は「2人は第二のおじいちゃんとおばあちゃん。悩んでいても話して気が楽になる」。
 代功さんはこう語る。「マジックは失敗しても笑いが起きる。コミュニケーションがうまくとれなかった中学や昔の友達に会ったときでも、披露してみたらいい。手品ならコミュニケーションがとれるから」(金山純子)

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