多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

戦時下に「抑留外国人に食糧」、市民団体が心温まる交流秘話を紙芝居で語り継ぐ

2011-08-11 12:28:52 | 多文化共生
(以下、カナロコから転載)
==============================
戦時下に「抑留外国人に食糧」、市民団体が心温まる交流秘話を紙芝居で語り継ぐ/南足柄

2011年8月10日

戦時下の心温まる実話を紙芝居で語り継いでいる劇団「ぽぽ」のメンバー

 戦時下、「非国民」と呼ばれることをいとわず、捕らわれの身の外国人に食糧を分け与えた地元住民がいた。そんな南足柄市の交流秘話を紙芝居で語り継ごうと、住民グループが活動を続けている。2年前に掘り起こされ、富山の元教諭が物語として自費出版したが、いまだ多くの市民が知らない。戦後66年。敵味方を超えた「人の情け」の尊さが、あらためて注目されている。

 「あんたたちは人間としての情けを尽くしたんだ」―。3日、同市文化会館で開かれた「平和映画会」。抑留施設に食べ物を届けていたことが発覚、警察に留置されていた村人を引き取った村長が優しく語り掛ける場面。読み手の感情がこもる。「これは、人の道なのだ」

 物語は「異人館はショコラ色」。昨年廃校になった市立北足柄中学校(同市内山)の前身の「異人館」が舞台の実話だ。

 戦時中、「敵性外国人」の抑留施設だった異人館で、餓死者が出るなど深刻な食糧不足にあえいでいることを知った故・矢後カネさんが、主婦仲間とともに官憲の目をかいくぐって施設にイモやトウモロコシを届けた。カネさんは警察に見つかって留置されたが、終戦後、外国人100+ 件がカネさん宅を訪れ、チョコレートなどを贈った。

 カネさんの次男・一三さん(88)=山北町向原=の記憶を基に、元中学教諭の橋本哲さん(61)=富山県=が昨年、自費出版。地元の中学生らに寄贈した。

 作品を知った開成町戦没者遺族会が、書籍は50ページあることから「幼い子どもにも伝えやすい形に」と、南足柄市を中心に活動する読み聞かせボランティア「劇団ぽぽ」(岸スズ子代表)に呼び掛け、紙芝居を制作。今年2月に完成した。

 イラストを担当した元教諭の久保田和男さん(74)=開成町中之名=は、作中にあふれる「人間としての強さや愛」を絵筆に込めたという。

 3日の映画会では、スクリーンに映し出されたスライドに合わせ、6人のメンバーが交代でせりふを読み上げた。会場では、母親に連れられた子どもやお年寄りら約100人が聞き入り、カネさんらの勇気に、静かに思いを重ねた。

 岸代表(67)は「戦争中にこんな心温まる話があったということを、今後も紙芝居を通し、子どもたちに伝えていきたい」と意気込んでいる。

 紙芝居の上演依頼は、岸代表電話0465(74)4661。