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ロボット小雪/業田良家

2008-08-24 18:48:31 | 書評
業田良家は自虐の詩が話題になる前から好きで(ビックコミックオリジナルが好きなので),ゴーダ哲学堂あたりから単行本で結構買っています。本作品は「新・自虐の詩」と銘打たれてますが,テーマ的には,人間の人生を描いた自虐の詩とうより,人間が作った社会システムを皮肉るゴーダ哲学堂に近い気がします。さらに主役にロボットを持ってくることにより人間社会を描こうとするのは「空気人形」とも近いといえます。ただしそれでもゴーダ哲学堂といわずに,新・自虐の詩としたのは,四コママンガを基本として,大きなテーマを描くという手法からでしょう。
というわけで,業田良家的には非常に手馴れたマンガでしょうけど,やはりテーマの鋭さや,四コマで大きなテーマを描く技量はすばらしく,この時代の天才と認めざるを得ません。
最初,愛玩ロボットを一人一台もち株売買で儲ける未来人を描き,豊かになった未来のこっけいさを描いておきながら,徐々に,その豊かさを支える貧しい人からの搾取状況,そこに転落していく人々社会の仕組み,また一方で人が見聞き知るという人間の仕組みを描いていくという話の展開はいつもながら見事。話のプロットを最初から設計してるとしか思えないような必然ぶりはすごいのだけど,どこまで細かく設計して描いているんだろう?。連載が延びたり,打ち切りになったりしてたらこういうのできないと思うのだけど。
当たり前のようで,鋭い指摘がたくさんマンガの中でされているのですが,富を作り出す方法として,「地球から搾り取る」「貧しい人から搾り取る」「未来から搾り取る」を述べているのが,,つまり現在社会で富だ豊かだ,といっているものの正体を鋭くしてきているのが印象的でした。
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