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「心理テスト」はウソでした (村上宣寛著)

2005-05-29 18:07:07 | 書評
血液型による性格判定,ロールシャッハ・テスト,YG性格検査,内田クレペリン検査,これらの検査が学術的,医学的,そして統計的に正しいという根拠は全くない…ということを富山大学の村上教授が言っている本。
実はこの本を読んで,「しまった…」と思ってしまいました(^^;)…。わたしも研究者たる端くれ,それなのに余り深いこと考えずに,「あなたA型っぽいよね」とか言ってました。大変恥ずかしい…。
というわけで,この本はこれらの検査法が正しいという根拠は全くない…と言うことを,かなりの毒舌っぷりで語ってます。 実名を挙げたり,これらを採用している人達を露骨に非難しているんですが大丈夫なのだろうか?…とか思ってしまいます。
そしてそれに加えて,「バーナム効果」という現象を紹介しています。バーナム効果は,乱暴に言うと「みんなが 当たってる」という様な心理テストをつくる方法というか,その手がかりとなる効果の事です。たしかにこの手法をきちんと考えれば,誰でも「割と当たってるなぁ」と思う性格判断テストがつくれそうです。良く占い師を信じ無い人が,当たる占いをいうコツがある…とか言いますが,おそらくそれと同じようなものでしょう。
とはいえこの著者は別に占いを批判しているわけではありません。そちらに対しては冷ややかですが,あまり言及してません。むしろこれらの根拠が薄い判定法が就職試験や人事評価に使われている企業が結構ある…ということに対して,強力な批判を行っているわけです。実際の事例で,血液型で 配属を決めていた企業もかってあったらしく,さすがにこれについては血液型の話をするわたしでさえ,行き過ぎだろう?と思いました。
ただちょっとドキッとしたのは,わたしの会社でも育成のいくつかのポイントで心理テストっぽいことをやっていたりします。もちろん心理テストだけで人事を決めてるわけではないし,実際は面談や上司の評価でやってるので,心理テストに左右される…ってことはほとんどやってないと思いますが…。
それからそうはいってもこの著者自身が性格判定のプログラムとかを開発してるって事はすべての心理テストを批判してるわけではなく,権威があるテストの中にそういうものがある…といってるだけです。実際この本の中には有効な心理テストの条件みたいな話も あるので,そういう事に気をつければ有効なテストもあるのかもしれません。
というわけで,読んでいて結構「アチャー」と思ったんですが,一つだけ言い訳させてもらうと,話のネタとして血液判定はあってもいいと私は思ってます。血液型により重要な何かを決める…ってことは確かにまずいのですが,人間は人を認識するときに,一旦類型化して把握しないと結構不安なものです。そしてその中から「A型だけど(一般に言われる)A型っぽくない」という風に認識される人格とかもあるのですから…。もちろんあくまでも人物把握のきっかけであり,そしてたわいもない会話レベルでですが。
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