たろの日記ページ,gooブログ版

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個の物語の時代

2009-04-06 22:18:53 | 社会
漫画雑誌ビックコミックスピリッツに先週から新しい連載が始まっています。設定的には人類の生殖能力が著しく低下して,その代わり生殖能力が高い男女が選ばれて子作りをするというもの。主人公はたまたま生殖能力が高いと判断され,精子を提供したり,仕事として同じく生殖能力がある女性と子作りを強いられる。しかしその役割から本当に好きだった恋人とは別れることになるというもの。
まぁいろいろ狙った設定だなぁという気はします。男性青年誌だからエロシーンを物語の核として描けるというものもあるし,男性的には自分が望んだものではなく,社会貢献として複数の女性と関係を持つという物語に刺激を覚えるかもしれません。またその一方で好きな恋人と別れなくてはいけないという切なさ分も含んでます。
とはいえ,わたし的には,ちょっと引く設定でもあります。ただ,ふと最近,こういう設定の漫画多いような気がするな…と思いました。
ちょっと前にセックスレスを解消するために,カップルに介入する工作員の話をギャグタッチで描いた漫画もありました。たしか人類が結構滅んで,女性に対して男性がわずかしかいなくて…って漫画もどこかにあった気がします。
これらの話はいずれもエロ要素を描きやすいから選んだ題材でもあるんだなと思います。ですが,さらに思うのは,例えばイキガミの様に,24時間後に死ぬと解った人の行動を描く作品,これらもなにかこれらのエロ設定の漫画となにか似たような臭いをわたしは感じます。
いずれもありえない様な極端な設定でありながら,性とか生とかをきわめて個人的な視点で描いているという点。社会設定を極端なフィクションとして描いているものSFではなく,現代劇ですが,その極端な設定の影響が世界ではなく個人の問題に降りかかっているという点でしょうか。
なんとなく,今自分たちが生きることに対して,リアリティが得られないから,無理やりな物語を作り出している感じがしますが,それが性とか生とかの問題であるのは,みもふたも無い感じがする一方で,まぁある意味で生物的には基盤的な問題なのでしょうか?。
何が言いたいかと言うと,こういう物語に今の若者はリアリティを感じ,没入するのか?ということ。そして自分が若い頃にどうだったかというとわたしが若い頃は,世界がどういう風にできているとか,宇宙がどういう風にできているとか時空が…とかそういうのに熱中していたのだけど,そういうのは今は流行らんのかね?…ということです。
まぁどっちいいってわけでもないのですが。
ただ歳を取ると,そんなに無理やり個の物語をフィクションで作り出さなくても,性とか生とか死とかいうのは,実際の問題になるんですよ。そうなると,逆にこういう極端な設定は,あざとすぎて引いてしまうわけです。例えばわたしは実際に病気で死を意識したので,逆に死ぬ人の覚悟を描いたフィクションにはリアリティを感じなくなってしまいました。個の物語は,経験の少ない若い人にはもしかしたらリアリティを感じるのかもしれないのですが,実際に経験を重ねた人から見ると,きちんと描いてないと,すぐにおかしさを感じる。
そういう意味では若いときしか楽しめない話だなぁと思うのと,あと,今の人たちは,自分とはあまり関係ない世界の仕組みとかそういうものにロマンを感じなくなっているのかな…などとおもうと,ちょっとさびしく思いました。
コメント
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