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初音ミクはなぜヒットしてるのか?

2007-10-31 14:16:14 | 音響
初音ミクについては何度か書いてますが,ひとつは初音ミクが不気味の谷の手前の萌えの小山なのか?ということと,音声合成一般の話を書いているのですが,もうひとつ書きます。
気になっていたのが,「どうして初音ミクは売れたのだろう?」ってことです。歌声音声合成が画期的だった…とかいう話,あと,品質が良い…という話はわたしにとってはあまり納得のいく説明ではありません。というのは,一応わたしは音響研究者ですし,自分自身は音声合成はやったことありませんが,その辺の技術動向はしっているので,音声合成の技術…という点だけをみて,ずば抜けてすごい…とは素直に思えないのです。一番疑問なのは初音ミク以前にMEIKOという歌声合成ソフトをはじめとするいくつかのソフトが出ているのですが,どうして初音ミクになって爆発的に売れたのか?ということです。
初音ミクとMEIKOの品質の違いについて,タイムリーにYoutubeにMEIKOとミクに一緒に歌わせているのがあったので聴いてみました。どうでしょう?。MEIKOとミクでミクがはっきりとした品質のあるでしょうか?。
確かにMEIKOのほうが若干フォルマント合成臭さ…というか,鼻が詰まったような感じがありますがミクも部分的には感じます。ミクのほうが歌がうまいというよりも,少しヘタなというか素人臭い感じもして,それが良いといえるかもしれませんが,その微細な差がこの二つのヒットの差を生み出したのでしょうか?。
すなおな印象を書くとそんなことは無いだろうと思います。もちろん,ソフトの使いやすさとかは知りませんし,加工の幅の広さとかも知りませんので,その辺のソフトとしての進化はあるのかもしれません。しかしMEIKOとミクの違いは,ミクはソフト音源としてではなくバーチャルアイドルとして売り出したこと,そして元音源である声優の名前をちゃんと出してきた(声にもその特徴を残した)ことじゃないのか?とわたしは思いました。
もちろんMEIKOにも名前がありキャラクターとして売ってるのかもしれません。しかしミクはパッケージだけかもしれませんが,デスクトップアクセサリーのような立ち絵,そのデザインもアニメ系のデザインです。また製品紹介のページにもプロフィールと書いているように,明らかに擬人化して扱ってます。名前をMEIKOの様にあまり色が無い名前ではなく「初音ミク」という極めてアニオタ(わたしもアニオタですのでこれは卑下してるつもりはありません)のフックになるような名前にしたのも極めて重要だと思います。…といってもこの辺の感覚はやっぱりアニオタじゃないとわからないだろうなぁ…とも思います(^^;)。
あと声優の名前を前面に出したのはかなりの英断で,従来この手のソフト(音声合成)に名前を出すことは声優にそういう色がついてしまい,仕事がなくなる…ということで声優(の事務所)と折り合いがつかない場合が多かったのではないか?という気がします。実際,藤田咲ではなくもっと大物の声優だったら可能だったのでしょうか?。逆にまったくの新人を使ってもフックにならなかったのかも知れません。そして声優の名前を出すことにより,歌手としてのうまさ(楽器性)よりアニメ声臭さを前面に出したのもうまく製品のキャラクターと合ったのでしょう。技術的に考えると,素人臭く歌わせるほうが歌手としてうまく歌わせるより難しい気もするので,そういう意味ではMEIKOより技術的に進んでいるともいえます。
いずれにせよ,わたしの印象では音声合成技術よりはその製品キャラクターの色を明確に出して,そこにはまる市場の方向性が存在していたのが成功の鍵だと思います。音源ソフトを音楽制作者向けではなく,アニメのMADとかを作っているような層に向けてキャラ設定をしたというのが意味画期的だったのかもしれません。
ちなみに音声合成の技術はいくつかのメーカが持ってますが,歌声に関しては,寡聞にもヤマハのVOCALOIDとNTTのワンダーホルンくらいしか知りません。現状楽器として一般ユーザ向にパッケージ販売してるのはVOCALOID系だけだと思いますが,今後の展開はどうなるんだろうなぁ…と思ったりしております。
コメント
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