めんごチャペの猫の目日記

日々の思い・風・山行き・・・気まぐれに・・・

オヤコデンワ/2023年7月11日

2023年07月17日 12時02分16秒 | 家族

オヤコデンワ・・・

親機と子機の事ではない 父母と娘を繋ぐ電話 オヤコノデンワ

チャペが今の住まいに引っ越した約30数年前に購入した

固定電話を今でも使っている 

子機は付いているが ファクシミリの機能も 番号表示の機能もない・・・

携帯電話が普及し 通常の会話やメールは携帯電話でほとんどの用が足る

固定電話の呼出し音が鳴るのは 父母以外に先ず無い

 

約半年前の夜7時30分きっちりにルルルル・・・ 

チャペ「ハイ・・・アッツお母ちゃん」

母「元気でおる ぴょ子ちゃんも元気にしとる・・・

お母ちゃんはそれなりよの~  まぁ~まぁ~よの~

元気でおりんさいよ 元気での~」

その会話がこの固定電話で母と交わした最後となった

 

父がまだ元気で 手塩にかけた野菜や果物が宅配便で届くと

直ぐにお礼の電話をかけ スーパーで買ったものと比べ

どれだけ美味しかったかと話すと

受話器の向こうで父が満足そうに「ほうか~」

と弾んだ声が返ってくる・・・

 

その父が梨の木に頭をぶつけた一月後に

難治性硬膜下血腫と診断され 4回もの手術を受けた

以来体力の低下が続き 他の病気にもなり

何度か入退院を繰り返した・・・

そんな折 母が息が苦しいと言う 診断は慢性間質性肺炎

自宅で鼻から酸素を取り入れ ステロイドの服用も始まった

 

父は野菜や果物の栽培をやめ 母は庭一面に咲かせていた

大好きな山野草や季節の花の手入れをあきらめた

父は食事の支度など母の日々の暮らしを助けながら

母と居間でオセロや4文字熟語のクイズを楽しむ生活に変わった

 

約10年前から 二週間に一度 夕食後7時30分きっちりに

ルルルルとチャペ家の固定電話が鳴るようになった

両親は携帯電話を使用しない(緊急の為持ってはいるけど)

必ず固定電話からチャペ家の固定電話に掛かってくる

父「元気でおるか ぴょ子も元気か こっちはソレナリニ元気にしとるよ」

 

父は熱心に歴史や政治の勉強をしながら

自身の論文を幾つも残し発表し チャペに送って感想を求める

以来 チャペなりに新聞やテレビ等マスコミが報道しない事柄に関心を持ち

父と会話を重ねてきた 時には一時間以上話が弾んだ

 

その父が2022年6月に舌癌の悪化で

最後まで母と子供達の事を案じながら・・・

 

父が亡くなって母の気力体力も急速に衰えていく

入退院を繰り返すようになって最後に掛けてくれた電話が

「元気でおる  元気での~」

 

2023年7月9日 弟からのメールで

母の様態が悪くなったことを知った

ぴょ子ちゃんと急いで飛行機に乗り病院に駆けつけた

母は酸素マスクをして苦しそうに上体で呼吸をしている

意識はあるが声を出したり身体を動かすと 体内の酸素量が急激に低下し

 ベッド脇の器機が赤色に点滅して警報音が個室に鳴り響く

そのような状態でもチャペとぴょ子の名前を何度も呼び

子供のころのように頭を撫で

手をシッカリ握って ありがとうと唇が動く

 

7月11日深夜母が旅立った チャペは朝まで気づかなかった

携帯電話に弟からの着信記録とメールが残されている

12日夕方から執り行われた通夜

苦しみから解放された母の穏やかな顔をみた

納棺士さんによる旅立ちの装いは 

丁寧なマッサージにより 苦しんだ片鱗もない

安らかな表情となり 艶やかで皺ひとつなく

頬は薄くピンク色に染まって輝いている

唇には少し濃い目の紅が引かれ 微笑んでいるようにもみえる

胸に組んだ指にはピンクのマニキュアも・・・

今にも目を開け「あんたら みんな集まってなにしよるんね・・・?」

と言いそうな生き生きとした旅立ちの姿に 悲壮感はなかった

ありがとう お母ちゃん

お父ちゃんが「綺麗じゃね~」と迎えて下さいますよ

 

チャペ家に残された受話器から

「元気にしとるか」

父母の優しい声を聴くことはもう叶わない

 

 

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