森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

落葉

2023-11-07 | 日記


 森の紅葉がピークを迎えてちょうど一週間です。
この間、紅葉も黄葉も茶葉もすべて落ちて、スカスカな枝だけが
並ぶ淋しげな景色になってしまいました。
あの真っ赤なカエデのトンネルも、赤屏風のような並木もぜんぶ
消えて、いきなり初冬の空気につつまれました。
一瞬ですべてが変わる、まるで夢を見ているようですが、これが
自然の力です。



 紅葉といえば、誰でも真っ先に想い浮かぶのは、良寛さんの
辞世の句です。

   裏をみせ 表をみせて 散るもみじ   良寛

 誰でも自分のことについては、他人にみせたい表の部分と、
隠したい裏の部分があります。
特に年取ると他人には表だけをみせようと、過去の自分を都合の
良いストーリーに編集して語るものです。
でも死ぬ時は、もうそんなことはどうでもいい、両面を自然に
みせて散っていきましょう。
この句はこんなふうに感じるのですが。
いや最後は「裏も表もみえてしまうんだよ」といっているのかも
しれません。

   身にしみて 大根からし 秋の風    芭蕉

 この句も似た意味合いがあると思います。
秋大根のからさが身にしみるとは、なんともいいようのない
自分を語っているのでしょう。
いや、自然と人生のすべてを表現しているのかもしれません。

 それにしても、良寛さんや芭蕉さんの句はわかり易くて
良いです。
たまにラジオで聴く今の人の句は、ほとんど意味がわかり
ません。
俳人の解説がついてやっと理解できるほどです。
それだけ世の中が複雑化しているのか、自分がボケてきたのか、
それも良くわかりません。

 最近になってダイコンは葉っぱのほうが甘くて、しっぽの
ほうがからいとしりました。
この森にはお店がないので、20キロも離れたスーパーで
ダイコンを買います。
ダイコンは大好きなのですが、一本買っても最後のほうは
しなびれてしまいます。
半分に切っても売っていますが、葉っぱのほうが早く売れて
しまうらしく、残っているのはいつもしっぽのほうです。
こんどは開店直後にいってみよう。







 












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