昔に出会う旅

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伊勢神宮 内宮 第一の別宮 「荒祭宮」、鳥居のない理由

2009年08月09日 | 近畿地方の旅
伊勢神宮 内宮の御正宮を参拝し、別宮「荒祭宮」[あらまつりのみや]へ歩いて行きました。



緩やかな上り坂を進むと、左手に建物があり、立て札に「御稲御倉」[みしねのみくら]と書かれています。

■Wikipediaiに「御稲御倉」の説明文がありました。
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稲御倉は御稲御倉神を祀る内宮所管社で、神宮神田で収穫された稲を納める倉でもある。社殿は高床式倉庫に近い神明造で、社殿に垣がないため神明造の特徴を観察することができる。
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この中には籾[もみ]のままの抜穂が保存されているようで、脱穀をして保存する一般的な方法とは違う弥生時代の方法が残っているようです。

矢野憲一著「伊勢神宮 知られざる杜のうち」の記述では、扉を開いた瞬間、生温かい懐かしい米の香りが漂い、稲の魂を感じて思わずひれ伏してしまうそうです。

参道脇に、なにげなくある建物にも様々な行事や、小さなドラマがあるようです。



建物中央の扉の金具を拡大して見たものです。

「御稲御倉神」を祀る神殿として立派な装飾がされているのでしょうか。

これらも式年遷宮で、作り替えられるものと思われます。



「御稲御倉」を過ぎ、まもなく正面に「外幣殿」[げへいでん]が見えてきます。

外幣殿[げへいでん]は、「古神宝類」が納められている建物とのことだが、扉の金具もなく、質素な建物です。

中にはいっる「古神宝類」とはどんなお宝か分かりませんが、扉に架けられた黒い錠ては、大切な「古神宝類」を守るには少したよりない気持ちになります。



「外幣殿」からしばらく進んだ下りの石段から撮った「荒祭宮」[あらまつりのみや]です。

こちらと「荒祭宮」の間は低い地形で、階段の下りと、上りが連続します。

朝8:30頃でしたが、人出が次第に増えてきました。


「荒祭宮」[あらまつりのみや]に近づいてきました。

「荒祭宮」は、内宮第一の別宮で、御祭神が、「天照大御神」の荒御魂「天照坐皇大御神荒御魂」[あまてらしますすめおおみかみのあらみたま]をお祀りしるているそうです。

外宮の別宮 多賀宮[たかのみや] の御祭神も、外宮の神様「豊受大御神荒御魂」[とようけおおかみのあらみたま]で、同じ荒御魂をお祀りしるているようです。

この二つの社殿には鳥居がなく、小高い場所に建つと言う特徴があります。

このことから、これらの別宮は、当初には参拝を受ける社殿ではなく、神の降臨を祈った神事の場所だったとも考えられます。

京都「上賀茂神社」には深夜に非公開で行われる「御阿礼神事」[みあれしんじ]では、屋外に設けた祭壇で天に祈り、降臨した神が憑依した榊を神殿に運び、祀る神事があります。

この「荒祭宮」の場所でも同様に、「天照坐皇大御神荒御魂」に降臨を祈り、御正殿までご案内する神事があり、その後「荒祭宮」の社殿造営に至ったものと推測しています。

内宮「御正宮」には「和御魂」、「荒祭宮」には「荒御魂」と同じ神様が二つの性格で祀られているとされていますが、「荒御魂」[あらみたま]は、「新御魂」の意味で、天から新たに降臨された御魂だったものと考えます。

そういえばこの辺りの石段に「踏まずの石」と呼ばれる割れた石があると聞いていましたが、見逃していました。

「踏まずの石」は、割れ目が「天」の字の形になっているそうで、見落としたのは少し心残りでした。


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