桑の海 光る雲

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礼文島断章16・94年の礼文の話①

2005-04-25 21:28:23 | 旅行記
94年の礼文は、印象深いものだった。その思い出を書いてみようと思う。

最初はGWだった。まだ北海道ワイド周遊券があり、何と後輩に学割を取らせ、それで購入するという、姑息な手段でチケットを入手した。(仕事を始めたばかりで金がなかったので・・・しかし、こういうことをすると、しっかり天の神様は見ているのである。その後、私は大変な目に遭う。)

この時は、彦さんとえみりさんの入籍パーティーに参加するべく、上司に適当に理由を付けて仕事を1日休み、往復夜行という強硬手段で島にやってきた。本来はもう1日前から島に入って、礼文岳山頂で行われた婚姻届の記入にも立ち会いたかったのだが、どうしても仕事を休めず、やむを得ずその日の夕方のパーティーからの参加となったのであった。

新幹線やまびこで出発し、盛岡で特急はつかりに乗り換え、青森で夜行急行はまなすに乗り換えた。仕事の後で出発したので、すっかり眠りこけてしまい、目が覚めるともう札幌目前で、私はかなり慌てて荷物をまとめ、終点の札幌で下車した。ところが私は、この時周遊券を落としたまま下車したことに全く気付いていなかったのである。

そのことに気付いたのは、札幌から乗った特急オホーツクの車内であった。車内検札の時、ポケットや荷物を捜してみたが、どうしても見つからない。車掌から、はまなす号が回送された札幌の電車区に問い合わせてもらった。列車は旭川に着き、私は急行礼文に乗り換えた。礼文号の車内で車掌から呼び出され、車掌室に行った。車掌は、切符は見つからなかったと告げた。私はすっかり落ち込んでしまった。車掌が札幌・稚内の、急行券付きの往復の切符を売ってくれ、何とかその場をしのいだ。「天網恢々疎にして漏らさず」の言葉を身にしみて感じた瞬間であった。

そんなこんなで到着した稚内は、こちらの真冬の寒さだった。急ぎ足で(当時は喫茶・お天気屋の存在は知らなかった)港に向かった。フェリーの中で知り合いに会ったような気もするのだが、よく覚えていない。

香深港に到着すると、何と小雪がちらついていた。予約の電話をした時「寒いよ。」とは言われていたが、これほどとは思わなかった。出迎えはみゆきさんが来ていた。みゆきさんは、下見と本番とで、今日一日で礼文岳を二往復もしたという。さすがみゆきさん、という感じである。山登りの話を聞かせてくれながら、車は星観荘に到着した。到着すると、知っている顔、顔、顔。前年の秋の48時間コース以降も、in東京@サンシャイン水族館、温泉ツアー@舘山寺温泉、花の旅@鎌倉と、イベントにまめに参加して、いろんな人と知り合ってきた甲斐があった。今回の旅の初めは大きく躓いたけれど、どうやら楽しいものになりそうである。

コメント
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