桑の海 光る雲

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礼文島断章12・久種湖

2005-04-19 22:49:53 | 旅行記
利尻島には、姫沼、オタドマリ沼といった沼があるが、礼文島にもれっきとした淡水湖がある。それが久種湖である。観光スポットに入っていないせいか、観光バスは湖の横をどんどん通り過ぎるだけで、ツアー客にはさほど知られていないことだろう。そんな久種湖にも魅力はある。今日はそのいくつかを書いてみよう。

○久種湖一周
久種湖は元々湾の一部であったものが、打ち寄せられる砂がたまって海から切り離され、次第に淡水化したものであるという。だから湖そのものが平地にある。周囲には遊歩道が整備されていて、のんびり歩いても30分ほどで1周できる。湖越しに見る礼文岳の姿が印象的である。

○水芭蕉群落
久種湖の奥は湿原になっており、GW頃には水芭蕉の群落が一斉に花開く。私はまだ一度しか見たことがないが、水芭蕉は霜にやられやすく、まだこの時期は霜が降りることもあるので、満開の時期に巡り会うのは難しいそうだ。ちなみに、かつてこの辺りは牛の放牧場となっており、これらの牛たちから採乳された牛乳は、「最北端の牛乳」として売られ、星観荘でも飲めたのだが、現在では牧場はなくなっており、水芭蕉の群落の中で、牛がのんびり草をはむ様子を目にすることはできない。

○森の丘コース
最近整備されたコース。久種湖の脇から、久種湖西側の丘陵へ登り、丘陵の上をのんびり歩き、船泊か、大備の集落に下るコースである。このコースでは、南には礼文岳と利尻山を同時に眺めることができ、来たには久種湖と船泊湾、トド島を同時に見ることができ、大変風光明媚なコースであると言える。現在はほとんど人がいないので、まさに穴場と言えるだろう。

○久種湖の奥の沢
ここは地元の人がたまに入る程度の場所である。私も山菜取りに連れて行ってもらった時に一度入っただけである。草原と沢、森林が入り交じった、礼文ではほとんど見かけない景色が広がっていたのを覚えている。

○冬の久種湖
冬になると久種湖は全面結氷する。かつて一度だけ年末年始に礼文を訪れたことがあるのだが、この時、結氷した久種湖の湖面を歩いたことがある。がちがちに凍っているのではなく、雪の下はショリショリした感じでちょっとスリルを感じたのだが、夏場では貸しボートもなく、久種湖の湖面に出ることはできないので、これは実に得難い体験であったと思っている。天気が良ければ言うことなしだったのだが・・・



コメント
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