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賢治と労農党系の活動家たち

2019-01-13 12:00:00 | 賢師と賢治
《今はなき、外臺の大合歓木》(平成28年7月16日撮影)

 では今回からは「三 賢治と労農党活動」に入る。その最初の項目を見てみよう。
 まずは、
    ㈠ 賢治と労農党系の活動家たち
 賢治をとりまく周辺の労農党及び労農党系の活動家、シンパを図に示してみると次のようになる。これは大正末期から昭和初期の弾圧を受ける三、四年ごろまでである。どの人びとも賢治と直接にあるいは間接に結びつき、指導や支援を受けたり大きな感化を受けている。
             〈『岩手の歴史と風土――岩手史学研究80号記念特集』(岩手史学会)465p〉
と述べ、本論文では、「特にあまり知られていない労農党系の人たち及びその関係者に焦点をあててとりあげ説明する」、と前置きしてそのリストが並ぶ。
 その一覧表のうちの、(地人協会・社会運動青年集団)については、以下のとおりである(ブログの機能上、『岩手の歴史と風土――岩手史学研究80号記念特集』におけるリストと全く同じ形式にはできなかった)。
(地人協会・社会運動青年集団)
八重樫賢師(国民高等学校教え子、小作人となり、協会出入、労農党員)
川村尚三(賢治との学習会、地人協会出入、労農党員、無産党員執行委員、啄木会)
梅木文夫(社会運動で盛中を中退、労農党書記、学習リーダー 御田屋町)
照井勝蔵(賢師の友人、労農党員、花巻一般労組代表)
八重樫与五郎(賢師の友人、労農党員、学習会サークル中心者)
高橋慶吾(古くから賢治の世話になる、地人協会活動、労農党党員、共済活動等)
煤孫利吉(労農党員、古い活動家、御田屋町)
島清次(賢師の友人、労農党シンパ、豊沢町)
猫塚耕一(労農党員、学習会場は桜の住宅・農学校教師時代賢治は近くの住宅(桜町二-七一一四付近)に住む)
菊地一郎(労農党シンパ、学習会参加)
伊藤秀治(労農党員、画家文化活動家、椅子張所、豊沢町)
木村清(地人協会楽器演奏、労農党シンパ)
照井克二(労農党員・学習会)
            〈同466p~〉
 私がまず驚いたのは、そのリストの一番始めが八重樫賢師であったことである。ということは、このグループにおいていかに八重樫賢師が重要な役割をしていたかということが容易に窺える。また、いまでに知らなかった人物も何人かいる(照井勝蔵、菊地一郎)し、同時に賢治の周りに労農党員が多かったということを改めて認識した。
 なお、このリストの中の記述「学習会場は桜の住宅・農学校教師時代賢治は近くの住宅(桜町二-七一一四付近)に住む」については、名須川の論文「宮沢賢治とその時代」の中の
・猫塚耕一談
 社会科学研究会は、花巻市桜の町営住宅(猫塚耕一借家)でおこなわれた。そばには刑事が見張りをしていた。時どき開かれたが梅木文夫が理論的な指導をしたようである。
 当時の参会者はいままでに知り得たのは高橋慶吾、八重樫賢師、藤原清一、八重樫与五郎、猫塚耕一らであった。そばの町営住宅には一時的(?)だったか賢治が住んでいたので、訪問したことなどもある。
に依るものであろう。
 どうやら、この件は「そばの町営住宅には一時的(?)だったか賢治が住んでいた」については、今後心に留めておかねばならないようだ。

 また、このリストには次のグループとして(労農党稗和支部)が載っていて、それは以下のメンバーであった。
(労農党稗和支部)
小田島熊五郎(労農党執行委員)
萱栄三郎(労農党執行委員)
橋本常吉(労農党員)
藤原清一(労農党員)
小館長右エ門(二子農民組合、労農党執行委員、稗和支部リーダー7)
泉国三郎(労農党稗和支部長、普選大一回立候補・弁護士)
瀬川米八(労農党・後にアナキスト無政府主義の黒色連盟)
島理三郎(岩手無産党町会議員・新聞発行)
立花利英(岩手軽便鉄道組合委員長・評議会計)
製糸工場従業員・周辺農民・中小商工職人など)
            〈同467p〉

 そしてその他には、
(エスペラント学習)
佐々木喜善
三田善右エ門
大森喜六
伊藤秀治
(文学グループ)
梅野草二「反情」・梅野健三「聖燈」・畠山武志(農民作家)
多田ヤス
松田浩一・佐々木文造
            〈同467p〉
が挙げられていた。

 ところで、この梅野健三について名須川はこれ以上は同論文で言及していないので、次回はもう少し梅野について調べてみたい。

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      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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