みちのくの山野草

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本化妙宗の信者となる

2018-08-19 10:00:00 | 法華経と賢治
《『宮沢賢治 まことの愛』(大橋冨士子著、真世界社)の表紙》
 さて、次は「本化妙宗の信者となる」という項についてだ。
 この項の中で初めて知ったことが、賢治は保阪嘉内宛書簡の中に、
 どうかどうか保阪さん すぐに唱へて下さいとは願へないかも知れません 先づあの赤い経巻は一切衆生の帰趣である事を幾分なりとも御信じ下され
としたためているということだ。たしかに大橋氏はの指摘どおり、 
50(1918年)〔三月二十日前後〕保阪嘉内あて 封書〔封筒ナシ〕
    …(投稿者略)…

保坂さん 私は愚かな鈍いものです。求めて疑つて何物をも得ません 遂にけれども一切を得ます 我れこれ一切なるが故に悟った様な事を云ふのではありません 南無妙法蓮華経と一度叫ぶときには世界と我と共に不可思議の光に包まれるのです あゝその光はどんな光か私は知りません 只斯の如くに唱へて輝く光です 南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経 どうかどうか保坂さん すぐに唱へて下さいとは願へないかも知れません 先づあの赤い経巻は一切衆生の帰趣である事を幾分なりとも御信じ下され〔〕本気に一品でも御読み下さい そして今に私にも教へて下さい。さい。
             <『新校本宮澤賢治全集第十五巻 書簡本文篇』(筑摩書房)より>
とあった。
 続けて大橋氏は、
 「赤い経巻」こそ、高橋勘太郎氏から政次郎氏に贈られ、賢治が身震いしたと伝わるその経本であることが、表紙裏の送り主の書き込みでわかりました。
             〈共に『宮沢賢治 まことの愛』(大橋冨士子著、真世界社)59p〉
と述べていた。そこで私はな~るほどと頷いた。だから、先に〝「爾後同教典を座右に置き讀誦す」〟で取り上げた「赤い経巻」、すなわち「島地大等編 和漢対照妙法蓮華経」について、書簡〔258〕昭和5年3月10日付け伊藤忠一宛において、賢治は「島地大等 和漢対照妙法蓮華経等ありますが発行所がちょっとわかりません」と答えたわけか、と。昭和5年頃にはもはや「赤い経巻」は最早賢治の手許にはなくなっていたのだ。

 そして素直に納得できたことがあり、それは大橋氏の次の記述よってだ。
 全仏教の統一経たる法華経を中心にしなければ教主釈尊に背く、それは仏法ではない、という精神から立てられた本化妙宗です。故に、日蓮聖人の宗教そのものは、本来が、折伏をたてまえとした教えなのです。
             〈〃63p〉
 先の〝地上から虚空へ〟や〝『法華経』を広める者は侮辱される〟等において、法華経を弘教することが如何に困難かということは知った。ところがその一方で、植木氏は『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)において、法華経は折伏を立前としているなどということは、どこにも書いていなかった。
 ということは、承知のように、賢治は熱心に保阪嘉内を折伏しようとしたわけだが、それは単に熱心な法華経信者であったからということではなく、本化妙宗の信者だったからだということがおのずから導かれる。したがって、なるほど賢治はまさにこのタイトル、
    「本化妙宗の信者となる
どおりであったということか、と私は素直に納得できた。 

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      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813
 なお、〈目次〉は以下のとおりです。



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