《『宮沢賢治 まことの愛』(大橋冨士子著、真世界社)の表紙》
さて、ではそもそも「本化妙宗式目講義録」とは如何なるものか。大橋冨士子氏は「初歩的解説」と前置きして、おおよそ次のよう紹介している。まずは、 〈本化〉とは日蓮のこと、〈妙宗〉とは〈妙法蓮華経〉を略したもの。つまり法華経を信仰する宗旨、その中でも、自分流に法華経を信仰するのでなく、「本化の菩薩日蓮聖人の御心を通した妙法蓮華経宗」、それを要約して〈本化妙宗〉というのです。
〈『宮沢賢治 まことの愛』(大橋冨士子著、真世界社)50p〉と。今まで私は、〈本化〉の意味等よく知らなかったのだが、そういうことだったのか。日蓮のことだったのか。
そして同氏は続ける、
…(投稿者略)……言葉で表したお経はどれもみな〈仏法〉の中の、ある一面の真実が説かれてはあるけれども、それらの根本にある釈尊ご自身さとりそのものは何か、という点に気が付いて成立したのが、『妙法蓮華経』です。このお経によって、全仏教の中心統一と、同時に、万人の成仏という徹底した救済原理が、明らかになりました。
しかしその法華経も、増広の部分があったり、俗信の要素がまぎれ込んだりして伝わっています。…(投稿者略)…
そういう時代に、日蓮聖人が出現されて…(投稿者略)…こんなに仏教は弘まっているのに、なぜ世の中は平和にならないのか、という疑問から、二十年間にわたって、熱心に誠実に一切経を学んだ結果、統一経として法華経を中心とししなければ、却って仏教によって世は乱れるということに気付かれたのです。…(投稿者略)…
そして三十二歳の建長五年四月二十八日に、法華経の宗旨、本化妙宗を開宗されました。
〈〃50p~〉しかしその法華経も、増広の部分があったり、俗信の要素がまぎれ込んだりして伝わっています。…(投稿者略)…
そういう時代に、日蓮聖人が出現されて…(投稿者略)…こんなに仏教は弘まっているのに、なぜ世の中は平和にならないのか、という疑問から、二十年間にわたって、熱心に誠実に一切経を学んだ結果、統一経として法華経を中心とししなければ、却って仏教によって世は乱れるということに気付かれたのです。…(投稿者略)…
そして三十二歳の建長五年四月二十八日に、法華経の宗旨、本化妙宗を開宗されました。
と(ということは、賢治は『本化妙宗式目講義録』を五回も読んだとなれば、賢治の法華経とは実質的には「本化妙宗」ということになるということか)。
ところが歴史は繰り返すということなのだろうか、同じく大橋氏によれば
ところが日蓮聖人の滅後六百年もたつと、その門下はまた沢山の宗派にわかれ、その教理も説く人によりさまざまに主張されたままで、明治時代を迎えたのです。
田中智学先生は、幼少時代に両親に死別の後、日蓮宗門にあずけられ、利発な少年で学僧となって、天台教学本化宗学を学びました。十七歳の時、病気療養中に、日蓮聖人の御遺文を独学研鑽し、本化教法の真髄をさとって、人間が一変するほどの感動を受けました。…(投稿者略)…そこで断然意を決して還俗し在家仏教の「立正安国会」を興して、本化妙宗の真髄を、純正に、活発に、しかも実に多方面にわたって世に弘めたのです。…(投稿者略)…
田中先生は、日蓮聖人の御心に随った本化妙宗の教義を組織的に体系化せねばならぬと…(投稿者略)…明治三十五年夏、完成されたのが、「本化妙宗式目」です。…(投稿者略)…
それを翌年、門下各派によびかけて、一年間講義された筆録が、『本化妙宗式目講義録』
〈〃52p~〉田中智学先生は、幼少時代に両親に死別の後、日蓮宗門にあずけられ、利発な少年で学僧となって、天台教学本化宗学を学びました。十七歳の時、病気療養中に、日蓮聖人の御遺文を独学研鑽し、本化教法の真髄をさとって、人間が一変するほどの感動を受けました。…(投稿者略)…そこで断然意を決して還俗し在家仏教の「立正安国会」を興して、本化妙宗の真髄を、純正に、活発に、しかも実に多方面にわたって世に弘めたのです。…(投稿者略)…
田中先生は、日蓮聖人の御心に随った本化妙宗の教義を組織的に体系化せねばならぬと…(投稿者略)…明治三十五年夏、完成されたのが、「本化妙宗式目」です。…(投稿者略)…
それを翌年、門下各派によびかけて、一年間講義された筆録が、『本化妙宗式目講義録』
という。となれば、賢治の法華経とは日蓮の「本化妙宗」というよりは、田中智学の「本化妙宗式目」によるものとなりそうだ。まさに、上田哲が、
最初の法華経への関心は島地大等の『漢和対照妙法蓮華経』によったことはそのとおりであっても、その後の賢治の法華経に対する信仰生活の大部分は、大正九年ごろから臨終までの間の彼の法華経理解には本化妙宗の教学、すなわち、国柱会の主宰者田中智学の法華経解釈が大きな影響を与えていることは否定できないことと思われる。
〈『宮沢賢治 その理想世界への道程 改訂版』(上田哲著、明治書院)9p〉と指摘しているとおりなのであろう。
なお、大橋氏は、
この書は後に『日蓮主義教学大観』と改題され、今も私たちの教学研鑽の宝典となっております。
〈『宮沢賢治 まことの愛』(大橋冨士子著、真世界社)54p〉
とも述べていた。また同氏は、斎藤文一著『宮沢賢治――四次元論の展開』(国文社)の中の次のようなタイトルの章
「『日蓮主義教学大観』の世界」は重要な意味をもっています。〈〃〉
と紹介していたので、実際に同書を手に取ってみたのだがその途端、大冊であるばかりでなくその内容が私には難しすぎて全然分からんとすぐに諦めてしまった。
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