みちのくの山野草

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歓喜のフィナーレへ

2018-08-05 10:00:00 | 法華経と賢治
《『100分de名著「法華経」』(植木雅俊著、NHK出版)の表紙》
 さて、『100分de名著「法華経」』(植木雅俊著、NHK出版)も残すところ僅かである。しかも、続く『法華経』の第二十一章から二十六章までは後世に付け足された個所のようだから割愛したいので、残りは第二十七章だけである。
 その章「嘱累品」(第二十二)のことが「歓喜のフィナーレへ」という項で論じられていて、
 「如来神力品」では地涌の菩薩に対し、娑婆世界における滅後の弘教の付嘱<*1>がなされました。この「嘱累品」では、その他のすべての菩薩たちに付嘱がなされます。…(投稿者略)…
 広める教えについては、「如来神力品」の地涌の菩薩の場合は『法華経』のエッセンスが付嘱されたと書かれていました。ここで付嘱された菩薩たちの場合は、方便を通して教えを知りたいという人たちにこう説きなさいと書かれています。…(投稿者略)…
 いずれにしても、地涌の菩薩、そして残りのすべての菩薩たちに付嘱がなされました。釈尊と菩薩たちは、虚空から地上の霊鷲山に戻ってきます。分身の諸仏も元いたところに戻り、多宝如来も宝塔も地下に戻っていく。地涌の菩薩たちも戻っていく。すべてが元の通りに復帰します。そこにいた人たちは、今まで見たことがないことがあったと歓喜し、経典はフィナーレを迎えます。
            〈『100分de名著「法華経」』(植木雅俊著、NHK出版)118p~〉
と植木氏は解説していた。

 ところで、『法華経』の「嘱累品」(第二十二)そのものは実際はどのようなものだろうか。この度、それこそあの山川智應が譯註した『和譯法華経』(新潮文庫)<*2>を入手できたので以下に転載させてもらう。


 
           〈『和譯法華経』(山川智應譯註、新潮文庫)360p~〉
(おそらく、賢治や伊藤忠一も読んだであろうこの『和譯法華経』だが、恥ずかしながら、このままでは私の国語力ではその内容が分かりにくい。先の植木氏の解説があって何となく分かる程度なので正直もどかしい)

 そして最後に植木氏は、
『法華経』は「あなたがいかに尊い存在であるか」を執拗なほど手取り足取り教えてくれる経典です。
とか、
『法華経』には対立や憎しみを乗り越えるヒントが随所にあると思います。…(投稿者略)…そこには、現代の世界において私たちが直面しているさまざまな対立や文明の問題を乗り越えていく智慧があるのではないかと思うのです。
            〈『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)119p~〉
ということを述べ、最後に(これは以前〝ここで一度しゃがんでみたならば〟で一度紹介させてもらったところだが)
 原始仏教の教えが時を経る中で変容していったように、人類の経験や歴史も、時の流れの中でその意味が書き換えられていったりもします。そんな時、一度立ち止まり、地位や、名誉や、権威に目をうばわれることなく、本来はどうだったのかと考えてみる。原点はこうだったのではないでしょうかと訴えていく。『法華経』の中にあるそんな姿勢も、私たちを勇気づけてくれるように思います。
             〈〃120p〉
と結論していた。

 そこで私は、これで自分の気持ちが整理でき、一歩前に進むることができそうだということに気付いた。それまでは、
    原点はこうだったのではないでしょうかと訴えていく。
ことが私の使命だと思っていたのだが、そればかりでなく、今、私と賢治学会代表理事等との間に横たわっている「対立」を乗り越える努力も私には必要なのだということをやっと覚ったからだ。
 この対立を乗り越えることによって、
    まずは高瀬露の尊厳を取り戻し、併せて賢治の無念を晴らしてやらねばならない。
のだということをである。

 以上をもって、『100分de名著『法華経』』に関する投稿の一切を終える。
 これ以降は、大橋冨士子著『宮沢賢治 まことの愛』(真世界社)を通じて、国柱会側から見た「賢治と法華経」を探ってみたいと考えている。

<*1:投稿者註> 広辞苑によれば、
【付嘱】
①言いつけてたのむこと
②わたし伝えること。
          〈『電子辞書PW-M800』(シャープ)所収の広辞苑より〉
<*2:投稿者註> 〔258〕 昭和5年3月10日 伊藤忠一あて 封書
お手紙拝見いたしました。
ご元気のおやうすで実に安心いたしました。無理をしないで着々進んで行かれることをどんなに祈ってゐたでせう。
農事のこともおききしたいことばかりですが四月はきっと外へも出られますからお目にもかかれると思ひます。
根子ではいろいろとお世話になりました。
たびたび失礼なことも言ひましたが、殆んどあすこでははじめからおしまひまで病気(こころもからだも)みたいなもので何とも済みませんでした。
どうかあれらの中から捨てるべきは はっきり捨て再三お考になってとるべきはとって、あなたご自身で明るい生活の目標をおつくりになるやうねがひます。
宗教のことはお説の通りの立場は大きなものでせう。けれどもそのほかにもいろいろの立場はあるかもしれません。
はっきり私はわかりません。
次に法華経の本は
   山川智應 和訳法華経
   島地大等 和漢対照妙法蓮華経
等ありますが発行所がちょっとわかりません。国柱会からパンフレ ットでも来たらお送りして参考に供しませう。
今年は温床はやりませんか。
            <『新校本宮澤賢治全集第十五巻 書簡 本文篇』(筑摩書房)より>

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      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813
 なお、〈目次〉は以下のとおりです。

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