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幸せになるためのイタリア語講座

2006年04月02日 | Cinemaを愉しむ
久しぶりにヨーロッパ映画を観ると不思議な感じがする。フランス映画はともかくとしてデンマーク映画ともなると映画の作法に違和感がある。筋の進行具合がスローで、かつスムースではない。登場人物の身の周りを描くのだが、それぞれに直接的な関連が少ないために、ひとつの映画でありながらバラバラで不統一感がする。

デンマークのの小さな町で8人の男女がイタリア語を習う。それぞれが別の人生と仕事を持つ者たちが、なぜかイタリア語講座に集う。講座は彼らの社交場であり、日常生活を忘れるための象徴な場。ある者は人に薦められて、ある者は自分の生活に変化を求めてクラスに参加する。彼らには彼らの生活があるが、それぞれが講座内外ですれ違う。

2人の女性は、葬儀で自分たちが姉妹であることを知り、妹は牧師に仄かな恋情を持つ。不器用なホテルマンは親友のレストランで働くイタリア女性に好かれ自分も好ましく思っているのだが、相手を誘う勇気が出ない。これらのお話一つずつは決してそれだけで見栄えのするシーンでも見所ある場面でもない。これらが渾然一体となって物語りが進むのだが、恋愛もののハリウッド映画とは違って大団円に向かって行く大きなうねりとも異なる。細々した脈絡のない出来事から人々の毎日が出来上がっているように、ただただ出来事としてつながっていく。

あくまでも主役は全員であり、彼らの恋心と心のふれあいがメイン。スタープレーヤーはいないが、全員で攻めて守る昔のオランダサッカーチームのようで、まとまった全体として物語が成立する。事件とも無縁であり、淡々と物語が進むのだが、それでもなぜかほのぼのとした気持ちとなる。

常日頃見慣れた映画の作法から離れて、漢方薬みたいに、ゆったり、ほんわか、じんわりと幸福感に浸れる映画でした。

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