令和4年6月1日(水)
静岡県の漁業調査船の老朽化に伴い、新造された第5世「駿河丸」のお披露目の見学会が焼津港で行われ、所管する産業委員会委員として視察させていただきました。

(「駿河丸」の外観)
この船は、正式には沿岸・沖合漁業指導調査船といいます。静岡県は伊豆半島の東側には相模灘、伊豆諸島を含む太平洋、日本一水深の深い2500mにも達する駿河湾、そして遠州灘があり、海産物の宝庫として本県の水産業活性化に取り組んでいます。
近年では、沿岸ではしらす漁が、世界でも駿河湾と台湾南部にしか生息していないというサクラエビ漁が、ともに本県を代表する水産物ですが不漁に見舞われ、その復活が喫緊の課題となっています。
さらに海藻類が減少する磯焼けなどもあって、海中の食物連鎖に影響があり、漁業者にとっては死活問題となっています。
一方で、日本一深い駿河湾に住む深海魚も食用として注目され、現在でも新種の生物が発見されるなどで、漁業に関する研究や調査のテーマとしては、注目される地域でもあります。
新造された「駿河丸」は、これらの期待に応えるために最先端技術を盛り込んだ船であり、その調査結果が本県漁業に大きく貢献することが期待されています。
船は今年2月に竣工したものですが、新型コロナウイルス感染症などの影響により、今回のような催しが延び延びとなっていましたが、この度、まずは県の関係者、そしてその後は、県民にも広く一般公開を予定しています。
「駿河丸」の大きさは、全長41.92m、幅7m、総トン数188トン、定員は20人です。
この調査船の中には、最新鋭の操舵装置や漁業調査に必要な機器類が搭載され、海の定位置で留まって調査ができるよう、JAMTECの海洋調査船「ちきゅう」に匹敵する自動操舵機能も搭載され、さらに慣性モーメントを利用した揺れを防止する装置があります。
漁業関係では、おおよその魚の種類まで判別可能なセンサー、海底にある物体の三次元表示など、海流調査では水深2000mまで海水の採取可能な装置、500mまで潜水可能なROV(海中ドローン)、生物サンプルが採取できるトロール網なども装備されています。
調査員は女性2名が生活できるよう、専用ルームも設置されています。3泊くらいの調査航行があるといい、厨房や食堂、風呂、トイレなども快適な居住環境が整っていました。
さらに、災害時には避難物資等の運搬が可能なように、2基のクレーンも設置されています。

(最先端の操舵・漁労装置類)

(水深2000mの海水採取可能な装置)

(500m潜水可能な水中ドローン)

(揺れ防止装置)


(厨房と食堂)
説明いただいた、県水産・海洋技術研究所所長からは、この船による県水産業振興への大きな期待を感じました。機会があれば、県民の皆さんも最先端の漁業調査船を直に見てみてください。感動すると思います。

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