鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

静岡県議会 平成24年2月定例会 一般質問(二日目)

2012年02月29日 | 議会活動

平成24年2月29日(水)

 

 今日から一般質問が本格的にスタートし、3月5日(月)まで続きます。質問者は「自民改革会議」と「ふじのくに民主党」それぞれ2名ずつ質問しました。

 質問者は議員席と対面する中央演壇から両脇に並ぶ知事ならびに部長・教育長に質問しますが、質問相手を確認するかのように時々横を見ながらの動作に、違和感を感じました。

 これは先週視察した三重県議会の本会議場の配置が、両対面演壇(演壇が二つ)であり、質問者が当局側に向かって質問する姿を見たからでしょう。この方が自然な感じがします。

 

以下に質問のやりとりを報告をします。

 

1. 少子化対策

「国立社会保障・人口問題研究所(http://www.ipss.go.jp/)が発表する日本の合計特殊出生率や推計人口に挑戦する。」と知事は宣言した。

静岡県の合計特殊出生率

http://toukei.pref.shizuoka.jp/kenkou_seisakukan/data/02-076/70665.html)は日本全体の数値より静岡県の数値が常に高い状態を保ってきた。出生率や推計人口はこれからも日本全体を上回るよう重点課題として取り組む。「しずおか富2、3っこ(ふじさんっこ)応援プロジェクト」の推進や組織変更を予定している。

 

2. 老人福祉施設の設置基準の緩和

国の基準では4人部屋(従来型)から1人部屋へとなっており、基本的には国に準じる。しかし、入所者の経済的負担軽減による従来型のニーズが高いこともあり、双方の整備ができるよう、年度内に条例案を作成する。

 

3. 津波対策のための住宅や工場の移転先用地確保

周辺農地への誘導などもあり得る。基本土地利用を尊重しながら、可能な限り柔軟に、手続きの簡素化などについて検討する。

 

4. 県民目線の事務改革

市民から指摘のある手続きの簡素化(添付資料の削減)や担当者の異動に伴う前任者から引継の曖昧さがないよう、マニュアル化して改善を図る。庁舎内では「一人一改革運動」を展開中であり「規制緩和」をテーマとして追加する。

 

5. 都市計画の見直し

来年度は「都市計画マスタープラン」策定を予定。コンパクトなまちづくり、災害に強いまちづくり、内部フロンティアにおける土地利用は周辺土地と調整しながら無秩序にならないように配慮する。既存・新規の両立を図る。

 

6. 富士山を守る体制づくり

富士山には静岡・山梨両県で現在30万人以上が登山するが世界遺産登録が実現すればさらに増加する。現行法(自然保護、文化財保護等)の活用の他、包括的保存管理計画を実現するため、「世界遺産協議会」を設置し行動計画を3月までに策定する。

 

7. あこがれの農業地域創設と就農者の確保・支援

「農業は21世紀の成長産業」である。6次産業化を目指す。“いつも旬のものをおいしく素晴らしい景観の中で食す”。ビジネスとして成立するためには、技術と経営能力を身につけることが重要。リーダー養成支援と国の青年就農支援金を活用する。

 

8. 外郭団体の見直し

現状は不十分である。平成21年度29団体(490名)を平成25年度25団体(383名)へ。団体ごとの必要性について行財政改革大綱に盛り込む。しかし、数を減らすだけでなく、有効な組織はさらに利用できる組織へ変革。役職は公募制とし、スピード感のある組織の活性化を目指すため、厳しくチェックしていく。

 

9. 徳川家康顕彰400年に向けた観光誘客

中国でも徳川家康は人気があり観光誘客には大きな期待がかかる。徳川家康ゆかりの地と連携し、広域的な観光ルートの確立へ。400年という一過性のものでなく、本格的な活用を目指す。

 

10.津波対策

    多重防衛(防潮堤、道路のかさ上げ、海外防災林などの組み合わせ)で効果を上げる。中長期対策におけるハードの整備では財政面で事実上困難であり、市町や民間が独自で施行する津波防災施設は県として柔軟に受け入れる。

    海外防災林は、津波エネルギーの減少効果により被害も減少する。海岸側に抵抗性クロマツ、内側は広葉樹などの組み合わせによる整備を進める。

 

11.災害ボランティアセンターの機能強化

    東日本大震災の岩手県遠野市災害ボランティアセンターの経験を生かす。県外ボランティアの受け入れを容易にするため、地域外連携の重要性を認識した(受援力の強化)。ボランティア本部の設置場所については、市町と協力して見直す。

   以上

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静岡県議会 平成24年2月定例会 代表質問(二日目)

2012年02月28日 | 議会活動

平成24年2月28日(火)

 

 代表質問1名、一般質問2名の報告をします。代表質問は「公明党」が、一般質問は「みんなの党」「自民改革会議」それぞれ1名が質問しました。代表質問は質問時間が50分(答弁を含め約100分)、一般質問は25分(答弁を含め約50分)となります。

以下に大まかな報告をします。

 

1. 平成24年度予算編成における財源不足について

当初449億円の財源不足が予想されたが、スリム化を徹底、補助金の見直し、全国ワーストといわれる税徴収率の低さ対策のほか、財政調整基金の活用(取り崩し)により、392億円に圧縮できた。(財政調整基金とは、年度間の財源の不均衡をならすための積立金のことで、地方財政法で設置が義務づけられている基金で、財政調整積立金ともいいます。取り崩せるのは、財源不足時の穴埋め、災害、緊急に必要となった公共事業などやむを得ない場合、財産取得、地方積の繰上げ償還、のいずれかに限られます。)

 

2. 静岡県自然学習資料センターの再整備

  富士山や伊豆半島、駿河湾、南アルプスなどでしか見られない貴重な植物、昆虫、岩石・鉱物などの標本が収集・保存されている当施設は手狭になったこともあり、県立静岡南高校の一部を利用し再整備する。新年度予算に設計費を計上した。県内大学との交流を進める。

 

3. さくや姫プロジェクトの今後の活用

さくや姫プロジェクト(静岡県男女共同参画人材データベース構築プロジェクト 参照 http://sakuyahime.jp/ )の登録は目標3,776名に対し、現在223名とまだ少ない。目標を目指し推進する。知事が認識する男女共同参画の進捗を富士山にたとえれば「五合目」で発展途上。平成22年度の大学進学率の43%は女性であり、かつて学歴差が職場における男女の差別につながっていたことを考えると、将来は明るい。

 

4. 悪質商法に対する高齢者保護の取り組み

高齢者自身が被害者になりうる自覚を持つことが防止に対策になることから、市町などと協力して直接高齢者を訪れ訴えかけていく。県と県警との協定により、被害拡大を防ぐため、「銀行口座の預金保護」なども実施する。「ほっとけないプロジェクト」(参照 http://www.hottokenai-p.com/)などをテレビでもPRしていく。

 

5. 移住・定住の促進

東日本大震災以降、「故郷への回帰」がみられる。これらに関連する復興特区などを活用や、新東名高速道開通による内部フロンティア、「ポスト東京時代」(中央省庁の一極集中から地方へ分散、地方分権など)の到来、首都圏に住む人たちは静岡県が魅力ある地域とみていることなどをとらえ、新しい定住・移住の可能性が高まっている。農山村の体験や「静岡県空き室バンク」などを充実させる必要がある。平成22年目での定住者は120名でまだ充分ではない。

 

6. 災害時における患者の医療情報の把握

被災地の体験から、医療情報が失われた問題の大きさを実感している。有効な手段として「防災型お薬手帳」(防水仕様)を県内医療機関等で100,000冊配布する予定。医師の説明を付加しており、順次拡大していく。

 

7. 受動喫煙防止対策の推進

神奈川県の条例化などはあるが、静岡県は当面条例化しない。禁煙に関し、国の法律が整備されていることや、市民団体活動などもあること、条例化しても努力義務では大きな期待が持てないなどが理由。県は啓発活動や市民活動を支援して「静岡型対策」を推進していく。

 

8. 農山村漁村の魅力を活かしたまちづくり

棚田や水路などを文化遺産として整備し残し、これらを経済・観光の呼び水として国内外から誘客する。交流人口を増加させる。

 

9. 自助・共助における発災後72時間以内の対応

阪神淡路大震災以来、救助された人の多くは近所の人が大きな役割を果たしていることが指摘されている。コミュニティにおける交流が充実していたことがその理由。しかし、隣に誰が住んでいるかわからないような人付き合いの希薄な時代であるが、プライバシーに配慮しながら自主防組織への参加や助け合いの仕組みづくりを進める。

 

10.地震防災センターの機能強化

    東海・東南海・南海の三連動地震の共同研究のため、静岡県地震防災センターと兵庫県「人と防災未来センター」が連携する。

    県地震防災センターの防災用品等の展示では、6か月ごとに展示品の公募を行っているが、東日本大震災以降は新製品が多く開発されており、もっと柔軟に展示できる仕組みを考えていく。

 

11.読書県しずおかづくり

    「書店数が人口あたり一番少ない県」の実態は、この事業がうまくいっていないことを表している。こどもに本を読むことを教えるためには、家庭の中で親が、大人が自ら本を読みその姿勢をこどもに見せることが重要。

 

12.学校における防災対策

    公立学校に対しては、津波警報により帰宅できない子どもたちのために毛布などを整備するほか、専門家を投入して防災訓練を強化する。教職員の防災力強化では、防災計画の立案や防災リーダーを設置する。児童生徒に対しては自助(生徒自ら自分の命を守る)、共助(地域の防災力となりうる)は研修等を通じて実現する。「防災甲子園」の静岡版、学校間での防災への取り組みを競いながら学ぶ体制も今後検討していく。

 

13.高齢者の交通事故対策

    高齢者が事故に遭う環境・原因は、夕暮れから夜間にかけてが多く、道路の横断歩道以外をドライバーから見て右側から横断するケースが多い。また、目立たない服装も視認性の悪さから事故に遭いやすい。対策として、「参加・体験・実践型」の安全教育やドライバーの視認性向上のため「新たな反射材」を導入していく。

 

14.浜岡原発について

   昨日同様、「安全でなければ再開しない」と強調し、次のように付け加えた。周辺自治体では「廃炉」や「永久停止」が議決されているがそれだけでは安全が確保できたとは考えていない。使用済み核燃料をどのように安全な状態まで持っていくか、そのためには中部電力の専門知識を持つ技術者が安心して仕事をすること、言い換えれば原子炉の安全確保は彼らにかかっているのでその体制維持を確保することが重要である。

 

15.被災地のがれき処理

    静岡県が対象とするがれきは、岩手県山田町(67年分のがれき)と同県大槌町(128年分)を対象とし、他は考えていない。島田市で試験焼却を実施、その際現地、輸送中、搬入、焼却中、焼却後などそれぞれの放射性物質の測定データを公表している。さらに県内他の自治体でも同様の作業が始まった。現地のがれきを受け入れ、その処理過程で細やかな放射性物質の測定とその結果を公表し、科学的な証拠を示すことその行為が、風評被害に対する唯一の回答と信じている。

 

 

16.県東部への医科大学誘致

    医師不足は県東部で顕著であり、医科大学誘致は重要である。現在、文部科学省は医学部入学定員の在り方について検討会を開き議論しているが結論が出ていない。県はこの間、国に対し要望を2回提出しているが回答なし。

   (知事は本議会で明示しなかったが、建設予定地は三島市周辺という情報が質問者から説明された。)

 

17.伊豆観光の活性化について

    新東名高速道に期待、サービスエリアやパーキングエリアに、伊豆地区の情報を記載したフリーペーパーなどを置き誘客する。市場別(関東や関西等)に観光客の特性もありそれを活かした情報発信も重要である。

    知事は伊豆の観光について苦言を一言。「伊豆は観光客が来るのを待つのでなく、先進地に自ら出向きそこで学び、攻めの観光を目指すべきだ」。

 

18.県のテレビ広報について

    広報媒体としては「保存性」がよい紙がよいと考える。テレビはインパクトのある媒体であるが経費が多額である。また、県の提供する番組は視聴率が上がらない。“費用対効果”を考えながらそれぞれの特性を生かし活用していく。

 

19.スポーツの競技力向上

   県は、野球、サッカー、水泳、陸上を強化種目としている。トップアスリート派遣事業は各地で効果を上げている。トップ選手には助成し経済的に支えていく。

 

20.知事のマニフェストと財源捻出について

    マニフェストは県政運営において、「行財政改革大綱」や「総合計画」に網羅され、実現されていく。財源捻出に人件費削減を県の努力として見込めるかどうかの議論では、人事院勧告など国の外部からの作用であるから見込めないという質問者に対して、県は支出する責任は県にあり県の負担であるから財源捻出の効果に含めると解釈している。

 

21.現行憲法に対する所感と憲法改正への知事解釈

    第一に、ポスト東京(地方分権)を考えると、地方自治と国の在り方で憲法改正の可能性がある。第二に、第9条は本来外国との交戦を意味するものであるが、東日本大震災を通して「国を守る」定義に、「外国」だけでなく「大規模災害」も含まれてくるのでは。今回は武器を持たないが米軍の「トモダチ作戦」が展開された。日米防災条約があってもいいし、そのなかで憲法改正の可能性があるかもしれない。

 

22.重度障がい者(児)医療費助成の現物給付

   導入により市町の負担が増えるので、県としては減額措置の撤廃を国に要望していく。

(埼玉県の事例:http://202.32.173.168/page/gikai-gaiyou-h2312-5.html#03

 

23.新東名マラソンでの主催者側の対応不足に対する処置

   当初、関係者の処罰の可能性もささやかれたが、その後の検証で大きな責任問題に発展せず、処罰は行わない。

                                                           以上

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静岡県議会 平成24年2月定例会 代表質問

2012年02月27日 | 議会活動

平成24年2月27日(月)

 

 議会報告の前に、県庁との往復の車中で気付いた「季節感」をお知らせします。

 

通常、新幹線を利用することが多いのですが、今日は帰路、旧富士周辺での用事があり、在来線を利用して富士駅で降車しました。途中、由比駅から興津駅の間にある桜が半分以上の開花。昨日の富士市岩本山で開催された「梅まつり」の梅でさえほとんど咲いていなかったのに。

 もう一つは、富士駅北口でのツバメの乱舞。越冬ツバメかもしれませんがあまりの数の多さに驚いています。

 

 さて、本題に入りましょう。

 今日は、各会派の代表者による質問が行われ「自民改革会議」と「ふじのくに民主党」のそれぞれ1名ずつが論戦を展開しました。代表質問はその名の通り、会派を代表し所属する議員から県政に対する多様な意見を聞き質問することで、一般質問と違うのは質問者個人で内容が決められるものではありません。それだけに質問者に与えられた質問時間は50分。一般質問の25分に比べ2倍の時間です。また、当局の答弁時間に制限はありませんが、おおよそ質問時間と同じくらい。代表質問は2時間に渡ることが珍しくありません。ただ、今日もそうでしたが1回目の質問時間が47分くらいで、残り3分で再質問、要望を実現するのはなかなか大変です。一括質問形式では全ての質問項目を最初に延々と説明するため、このような事態になりがちで、議会改革の一貫として見直すことが必要と感じます。

 代表質問のやりとりからいくつかその成果をお知らせします。(先に報告した「知事提案説明要旨」で掲示されている質問の答弁は省きました。)

 

1. 副知事の選任について

昨年の12月に前副知事の一人が国へ戻り副知事は一人になった。その後、平成24年度予算については知事と副知事が二人体制で進めてきた。次年度は「総合計画の推進」「新東名高速道開通による内部フロンティア」などの重点施策を前倒しで実現するため、副知事の複数体制を予定している。(3人)

 

2. 今後の県政運営

総合計画等の前倒しを実現するためには、現場主義を徹底していきたい。知事拠点を県内各地に移す「移動知事室」で県庁の外(現場)で執務する機会を増やす。先日公表した、総合計画の進捗状況(施策の実績や数値目標の達成状況)は第三者評価の「“ふじのくに”づくり白書」(全国初)にまとめられており、これをもとに施策を推進していく。

 

3. 大規模災害時のがれき処分場について

県は県内市町会から設置要望をうけ、候補地として県有地9カ所を選定した。環境保全地域や水源地に近い場所が含まれているが、極力影響が少ない場所としている。場所は決定したものでなく、必要であれば今後、県有地以外も検討していく。本来、がれき処理の処理責任は市町にあり、県は処分場を用意すること。

 

4. 財政運営(県債の削減)

地方自治体は国からの交付金がなければ運営できない。国の財政危機から県に対する地方交付税が一時的に滞ることがある。この場合、国は県に県債(県の借金)を発行させることになる(県が国の金を当てにしないで運営できれば県債を発行しなくてもよい)。これを臨時財政対策債という。しかし、後年度の地方交付税でこれを「後払い」し補填するので、借金はなくなる。国の財政が逼迫するとこの後払いが滞り、地方債として累積される結果となる。つまり、国の財政の厳しさは地方の借金が増える原因にもなる。国全体で検討すべき課題だ。県が単独で借金する通常債は減少させるよう努力しなければならない。

 

5. 地域外交について

国内と海外の都市が姉妹都市を締結する流れは、1950年に比べ現在は約27倍に増えている。都市間のつながりはその効果が双方にとって大きなものとなっている。その結果、経済・教育など結びつきが強化され深化している。国とは別に地方が豊かな対外関係を築くことは大変意義があること。

 

6. リニア中央新幹線の環境影響評価について

JRから示されている内容は、県北部の南アルプス付近、南北3km、東西10kmの範囲がルートにかかるということだけ。付近の自然保護の観点から、詳しい情報を事前に伝えるよう申し入れている。

 

7. 第4次地震被害想定の策定方針について

防災の総合対策として、対象は、地震・津波・原子力災害・火山噴火を盛り込む。県の動向は市町の防災計画に大きな影響を与えるので、全ての完成を待たず、「少しでも早く」の観点から目途のたったものから公表していく。

 

8. 浜岡原発の安全性の判断は

「浜岡は課題が極めて多く、安全ではない」。その理由は、(1)福島第一原発の検証が重要だがまだ結果が出ておらず、浜岡原発に反映できない。(2)浜岡原発が取り組んでいる津波対策等は今後評価する。(3)国によるストレステストが未完。(4)耐震バックチェックも未完。(5)使用済み核燃料の安全性確保ならびに最終処理が決まっていない。(6)災害発生時の対策本部となるオフサイトセンターは発電所から2kmで国のいう5km圏外になく機能しない。

 先日行われた知事と駐日英国大使デビッド・ウォーレン氏との会見で報じられた「浜岡の再開は99%ない」との新聞記事に対し、その真意は「稼働のための様々な条件が整っていない」という意味で、数字だけが一人歩きしている。他の話題では二酸化炭素の排出削減や英国がどのような協力ができるかなどについて意見交換している。

 いずれにせよ、浜岡原発の最終判断は、国とは別に県として独自の検証することになる。

 

9. 教育委員会制度に対する見解

教育委員のうち、常勤は教育長だけで後は非常勤であり、この体制で多くの権限をコントロールすることは不可能に近い。本来教員が教育の現場を離れて行政職に就くことがよいかどうかを議論する必要がある。

 

10.暴力団排除条例の効果と今後の取り組み

    新たな制度は、企業と暴力団の関係を絶つための効果がある。暴力団に関する情報は、今後、暴力団の可能性があるか否かの紹介などの問い合わせに関しても情報提供することができる。この制度に協力した市民などを保護するための身辺警護はより厳重に実施され、24時間その対象となりうる。

 

11.障がい者雇用の推進

  「雇用創造アクションプラン」では、障がい者の雇用につながる対策として、求人開拓をする障がい者雇用専従員が現在20名いるが3名を増員する。

 

12.障がい者の虐待防止の取り組み

    平成20年度全国の障がい者虐待の実態は966件であるが、本人が伝えられないケースもあり、実態はもっと多い。虐待が疑われる場合は通知義務がある。加害者の93%は家族や血縁者であるが、介護疲れなどが大きな原因の一つで介護者のサポートを拡充する必要がある。

 

13.第4次地震被害想定と富士山火山対策

    過去の歴史から、大地震と富士山噴火が連動する可能性が高いことが解っており、被害想定や防災対策を講じていく。なお、火山噴火の場合は予兆を捕まえやすく、予知の可能性は高いと思われる。

 

14.学校における放射線教育および学校給食材の安全確保

    放射線副読本があり活用すると共に、理科の先生向けに専門家を招いて学習会を開催する。学校給食について放射線情報は公表していく。また県内定点での常時監視を行う。

 

15.新東名高速道路の交通安全対策

   最高速度は現行道路交通法に基づく、乗用車で100km/h。この速度を超えると事故の確率が高くなり、取り締まりを強化する。新東名高速はトンネル部分も多く、走行中に明暗、急な天候変化なども事故原因として考えられる。  以上

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議会改革 三重県議会本会議傍聴

2012年02月24日 | 議会活動

平成24223日(木)

 

 静岡県議会の議会改革の一貫で、先進地である三重県議会の本会議を傍聴してきました。

今日は2月23日は「ふじさんの日」で、富士山世界文化遺産登録に向け県の記念イベントもありましたが、三重県側の事情もありこの日と重なってしまいました。参加した静岡県議会議員は11名です。

 

 

 

 

 

<議会改革とは>

  地方分権が叫ばれて10年を経過しました。地方分権一括法により地方自治法も内容が見直され、地方への権限移譲とそれを担う責任が課せられています。これにより地方自治体のうち、執行機関である県や市町は様々な改革を進めていますが、一方でそれを監視し、議決権のある、そして自らが条例制定できるはずの地方議会は、改革が進んでいるか否か。まさに地方の時代であり地方議会の改革競争において優劣がつきはじめたことは、議会に身を置く立場として実感するものがあります。

 静岡県議会でも改革のための協議を進めており変化は見られます。しかし、先進的な取り組みとまでは言えず、議員一人一人が意識して現状認識し変えるべきものは改革していかなければなりません。政治不信の払拭は自らが律していくことしかありません。このたび、「分権時代を先導する議会を目指す」を基本理念に掲げた先進県である三重県議会の本会議を傍聴し、(1)「住民本位の政策決定と政策監視・評価の推進」の基本方向に基づく、「議場を対面演壇方式改修する改革」と、(2)「開かれた議会運営の実現」の基本方向に基づく、「傍聴しやすい環境づくりのための改革」の2点について現場から学ばせていただきました。

三重県議会では、平成18年12月20日に二元代表制の下での議会の基本理念及び基本方針、議員の責務及び活動原則、議会運営の原則などを定めた「三重県議会基本条例」を制定しています。この中では、議員の責務及び活動原則の一つとして、「議員は議場で質疑及び質問を行うにあたっては、対面演壇において、県政の課題に関する論点を県民に明らかにするため、一問一答方式等の方法により行うものとする」と定義されています。

ちなみに議会基本条例は、私の地元、富士市議会では制定済、静岡県議会は制定されていません。

 

<議場のかたちを対面演壇方式に>

 地方自治制度では、住民が県、市町の(1)長と(2)議会議員を直接選挙する二元代表制をとっています。議会の本会議を「議論の場」とするためには首長と議員がそれぞれ対面で質問、答弁を行うかたちが理想ですが、静岡県議会の本会議場では演壇は議員席側に向かって中央に一つあるだけ。その両脇に議員側を向いた知事を筆頭に当局側が着席している構図です。座っているときは対面ですが、質問・答弁は常に議員側を向いているので、例えば知事は議員に向かい答弁できますが、議員の質問は同僚議員に向かって質問することになり、本当は知事に質問しているのだから違和感を覚えます。

 今回傍聴した三重県議会では、演壇が2カ所あり、議員は常に当局を向いて質問でき、当局も議員を向いて答弁できるので、常に相手の反応を感じながら対応ができるため緊張感があって良いと感じました。

 

 

 

 

<スクリーン映写>

議長席右側の壁の高いところには、170インチの大型スクリーンが設置され、質問者、答弁者がリアルタイムに映し出されます。議員席全体が不意に映りますから、居眠りはできません。通常、傍聴者は議員を正面から見ることはできませんが、議長席側にあるカメラは質問中の議員を正面から写します。

スクリーンには質問議員が用意したフリップ(説明のための補助資料:データを表やグラフ化したもの)を表示することができ、他の議員や傍聴者にとって質問の過程が理解しやすい環境といえます。また、質問が切り替わる毎に画面下にその旨が表示されるので、これからどんな説明をしようとするのかもわかります。

これらの操作は、専従の職員がいて、質問者の流れを把握しながら適宜に表示していました。

 

 

 

<質問方式:一括質問と分割質問(一問一答)>

 一括質問とは議員が質問したい項目を全て一括で質問し、当局が同様に一括して回答する方式です。静岡県議会の一般質問はこの方式で、25分間の質問時間が与えられ一般的に約20分かけて全ての質問を当局にぶつけます。答弁に制限時間は特にありません。再質問あるいは再々質問、要望は残り5分で済ませなければなりません。繰り返し質問が困難なため、深い議論ができません。質問項目が多いと充分な成果が得られません。質問が形骸化することもあり得るので、「セレモニーだ」と表現されることもあります。

 分割方式は質問項目を複数問ごと、あるいは一問ごとに区分して質問を行い、次に答弁を受け、再質問があれば行い、なければ次の質問に進むことを繰り返す方法です。一問一答は分割質問の一つになります。質問を一つずつ片づけることができ、集中的に詰めることができるので、満足のいく質問ができ議論は深まります。しかし質問時間が無限ではないので、時間配分を間違うと、後半の質問さえできない場合も出てくるでしょう。

 いずれの質問形式も、一時間の質問時間を有効に使うために、事前の戦略調査は充分にこなすことが重要です。さらに、演壇が一つの場合は、質問者は議員席と演壇を質問の度に往復するのに対し、演壇が二つの場合、質問中は動かなくて済むため時間が有効に使えます。

 

<その他傍聴者への配慮>

 三重県議会の傍聴規定はかつて、「傍聴人の取り締まりに関し」という記述があったそうです。悪意ではなく円滑な議会の議事運営を進めるためだと信じていますが、あまりいい表現ではありません。(ちなみに静岡県議会については後で調べてみます。)

 県民が参加しやすい開かれた議会運営を実現するためには、傍聴は歓迎すべきものとして、傍聴者の便宜を図っています。改善点は、(1)規則から「傍聴人の取り締まり」の表現を削除。(2)傍聴人の住所、氏名の記入をなくす。(3)傍聴席での写真、ビデオ撮影、録音等の許可。(4)乳幼児同伴者、児童の傍聴を解禁。(5)傍聴の注意点を解りやすくした。(大声を発することを禁じる等。)(6)聴覚障がい者に対する手話通訳の導入。(7)議事堂付近のバリアフリー化の実現。

 以上のように、議会改革の成果は随所に感じられました。静岡県議会でも県民に理解いただける(県民本意)ような改革を進めるべきだと思います。

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静岡県議会 平成24年2月定例会 知事提案説明(つづき)

2012年02月23日 | 議会活動

平成24年2月23日(木)

 

 静岡県議会2月定例会の「知事提案説明」について、最終報告をさせていただきます。前回も書きましたが、以下の内容は2月定例会で審議され、承認されて実現するもので、現時点ではあくまでも予定と解釈して下さい。審議の過程や結果についてはその都度報告していきます。

 

 <「総合計画の着実な推進」のポイント>

1. 危機管理

住宅の耐震化では、平成23年1月末で累計14,733戸を達成(平成27年度末までに20,000戸達成目標)。引き続き「TOUKAI-0」を推進する。耐震補強と同時に県産材使用の住宅リフォームへの助成制度を拡充。デジタル化に対応する防災通信ネットワークの更新を今年度から4カ年で実施し、耐震性向上、無線の非常用電源容量の確保を図る。

 

2. 人材育成(教育)

    平成23年3月に策定した「静岡県教育振興基本計画」に基づき、家庭、学校、域等社会総がかりで進める。静岡式35人学級編成では、国基準の小学1年生に加え、国に先駆けて小学5,6年生及び中学全学年に導入しているが、来年度から国は小学2年生を、県はさらに4年生に拡大し、残る小学3年生は平成25年度から導入する予定。また、小学1,2年生には低学年支援を実施する。

    大学院博士課程終了後の未就職者(オーバードクター)を県立高等学校に配置、理科系分野などで専門性を活かした学校教育を実施する。

高校再編計画では、静岡地区(平成25年度)、天竜及び志榛地区(平成26年度)、引佐地区(平成27年度)を目指す。特別支援学校では焼津水産高校及び沼津城北高校内に高等部分校を設置(平成25年度開校)。掛川地区に新たな特別支援学校を平成27年度設置予定。

県立大学は平成26年4月をめどに、短期大学部看護学科を看護学部(4年生)に統合する。特色は「災害対応」「国際協力」に活かせる教育を目指す。

行政系シンクタンク「(財)静岡総合研究機構」が3月末で解散することに伴い、4月から県立大学内に「静岡県立大学グローバル地域センター」を設置しその後を担う。

 

3. 富士山世界文化遺産登録

     1月27日に遺産登録について推薦書が国からユネスコに提出された。今年度はユネスコの諮問機関(イコモス)が現地調査する予定。また、「富士山世界遺産センター」の設置に向け、準備が始まる。そのほか、地元を始め県内外に遺産登録に向けた情報発信と気運の熟成を図る。

 

4. 富士山静岡空港

    平成23年度の利用者数は1月末までに、34万人、搭乗率61%で7か月連続で60%を超えている。3月からは台北間の定期便が就航し、中国路線も延伸路線が増える。今後はチャーター便を増やし定期便につなげると共に、着陸料の減免などで航空会社の誘致を進めていく。空港周辺の整備を進め、乗降客以外の集客を図っていく。

 

5. 観光交流

    県内の自然や文化などの観光資源を活用し、情報発信と誘客活動を積極的に展開する。(以前ブログで伝えたシンガポール視察においては、こららに関する海外からの情報を得ているので、議会の中でも発言していきます。)

 

6. 地域外交

    中国浙江省との友好提携締結30周年を迎えるので双方の往来が増える。昨年7月にはモンゴルのドルノゴビ県と友好協定を締結し、高校生の相互派遣、医療、農業分野で交流が始まる。韓国の忠清南道(チュンチョンナムド)との友好締結し、経済、文化交流などを予定している。米国とは先の東日本大震災で米軍による「トモダチ作戦」に感謝する意味を含め、下田市の黒船祭りを県と共催する。

 

7. 戦略物流

    「戦略物流ビジョン」を策定(本県の立地、富士山静岡空港、駿河湾港、新東名高速道路、中部横断道、三遠南信自動車道などによる新たな南北軸の整備により、広域交通基盤が充実することを念頭に全国の物流拠点を目指す)では、物流システムを促進し、域内、首都圏、中部圏のほか国際物流へ積極的に参入できる体制を目指す。

 

8. 新産業創出プロジェクト

    ファルマバレープロジェクトの着実な進展などにより、圏の医薬品・医療機器の生産額は平成22年度に全国第1位となった。この成果をさらに拡大するために、昨年12月「ふじのくに先端医療総合特区」の指定を国から受け、この制度をフルに活用し地域経済活動を支援していく。

    地域企業の技術力を活かした次世代自動車の試作品開発に対する助成や、医療・福祉機器・機能性食品・航空宇宙などの新たな成長分野における試作品開発から、販路拡大までの一貫支援を行う。

 

9. 企業誘致

    本県の企業立地件数は減少傾向にある。成長産業分野である環境関連産業・医薬品・医療機器関連産業等の製造分野を中心に企業訪問し、県内の特性をPRする。これらの成長産業分野には補助率の引き上げ、新たな物流関連企業を助成の対象とする。

 

10.食と農の改革

    仕事人や生産者、県民が連携した「地域の食文化と農を結ぶ集い」を県内各地で、県内農林水産物を一堂に集め消費者にPRする「農芸品フェア」などを開催予定。中国をはじめとするアジア各地での県産品海外市場開拓に取り組む。

    国際競争にうち勝つ強い農業の構築のために、就農体験や雇用による新たな就業者や企業参入を促進する。耕作放棄地の再利用による農地の有効利用や意欲ある農業者への農地集積などを支援し生産力強化に取り組む。

 

11.茶の振興

    「静岡八十八夜新茶ブランド」のPR。新たな茶加工製品の開発や販路開拓の人材育成、健康志向の高まりによる茶の効能情報の集積と発信を行う。

 

12.野生鳥獣被害対策

    伊豆地域では管理捕獲を強化しているが、被害は全県の及ぶことから、現在策定中の「特定鳥獣保護管理計画」では対象区域を県内全域に拡大し取り組む。狩猟規制の規制緩和、市町の有害捕獲との連携、罠による捕獲の強化を進める。

 

13.安心医療の提供と健康づくり

    医師確保については、医学修学研修資金の貸与、県地域医療支援センターが中心となった若手医師への魅力ある研修プログラムを提供する。救急医療センターの機能強化では、機器整備や新生児集中治療管理室の整備を支援する。

    県民の健康づくりでは、生活習慣病予防対策や県総合健康センターを中心に、新たに健康長寿プログラムや介護予防プログラムを開発する。

 

14.生涯のある方の自立と社会参加

    発達障害のある方には県発達障害支援センターの相談員を増加し市町や保育園等への支援体制を強化する。東部地域は専門医師や発達障害のある児童向け通園施設が少ないことから、4月に東部総合庁舎内に相談室を設置し、相談回数は週1回から毎日へ拡充する。また「障害者働く幸せ創出センター」を拠点に、複数の作業所で共同受注した商品の開発や販売促進で工賃水準の向上をはじめ、ビジネススキル研修により地域での就労を支援する。

 

15.長寿社会の実現

    本県の高齢化率はこの数年で25%を超える。更なる高齢化の進行を踏まえ、今後3年間の高齢者施策を示す「第6次静岡県長寿者保健福祉計画」を3月中に策定する。これに基づき、特別養護老人ホーム等を整備し、必要な介護サービスを提供する。介護従事者の現場における不足の緩和を図る。

 

16.都市整備

    草薙総合運動場は平成25年夏を完成目標に、プロ野球の本拠地になりうる設備に生まれ変わる。また体育館も平成27年春を目標に建て替える予定。沼津駅北側に建設予定の東部コンベンションセンター(ふじのくに千本松フォーラム:プラザヴェルデ)は平成26年夏供用開始を目指している。

 

17.森林・林業の再生

    平成24年を「森林・林業再生元年」と位置づけ、高性能林業機械の導入や、路網の整備、人材育成など経営基盤を強化する。11月10日には伊豆市において「第36回全国育樹祭」が開催される。

 

18.安全な生活と交通の確保

    静岡県暴力団排除条例の効果的運用を進める。街頭犯罪や振り込め詐欺防止のための広報・啓発活動、取り締まりを強化する。交通安全では、子どもや高齢者を守る意識の熟成や参加・体験・実践型の安全教育を充実させる。人に優しい交通環境を整備する。

 

19.組織変更

    (1)企画広報部にエネルギー政策を統括する「エネルギー政策課」を新設。(2)少子化対策にかかる計画と事業を一体的に実施するため、これまで企画広報部担当の少子化対策計画部門を健康福祉部に移管。(3)福祉こども局をこども未来局に改編する。

 

 <「行財政改革の推進」のポイント>

    外部有識者会議「県行財政改革推進委員会」の検証では、平成22年度の取り組みはおおむね順調と判断された。さらに、外郭団体や出先機関に対しては、改革に向けた方向性について意見・提案が出され、新たな課題にも的確に対応する。指定管理者制度では大きな事故を経験しているだけに、利用者の安全を最優先としながらサービスの向上と運営の効率化を図る。経営的な視点から、施設利用の最適化や経費の縮減を図るために、ファシリティマネージメントの考え方を積極的に導入する。

    教育行政では教師の不祥事を始め様々な教育環境への配慮から、「教育行政の在り方検討会(仮称)」を設置する。

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