平成30年4月30日(月)
富士市内26地区のうち、高齢化率が一番高といわれるのは、田子の浦港東側で東西5kmにも及ぶ元吉原地域です。1月下旬から2月上旬にかけて、日本一のだるま市が有名な毘沙門天大祭が開催される地域でもあります。
高齢化と同時に少子化が同時進行し、地域内にある公立幼稚園も園児数が極端に減少して数年前から統廃合の対象となり、地元では昨年末の市長選でも候補者の発言に注目が集まっていました。
そのような課題を抱えてはいますが、昨日開催された「第20回元吉原ウインドアンサンブル定期演奏会」は、これまで言われていた地域の不安を払拭するほどの感動を覚えました。
(会場となったロゼシアター北側の陸橋から見た富士山)
(講演を知らせるポスター)
富士市文化会館ロゼシアター大ホールを会場として、有料であるにもかかわらず多くの観客が熱心に三部編成の演奏に耳を傾けていました。元吉原ウインドアンサンブルは、地元の元吉原中学校吹奏楽部が20年ほど前に全国大会に出場し、当時のPTAや地域を挙げて応援したことをきっかけに、卒業生を中心に毎年演奏会を開催しているといいます。今では、このチームに元吉原中学校吹奏楽部出身にかかわらず、富士市全体からメンバーが参加しているということで、それだけ注目の集まる楽団に成長したとも言えます。
20周年記念演奏ということもあり、元吉原小学校吹奏楽部、元吉原中学校吹奏楽部の三団体が共演し、その連携は見事なものでした。元吉原小学校吹奏楽部は40年前に発足したといい、小学校に吹奏楽部があることに加え40年という歴史に驚きました。小学校卒業生は元吉原中学校吹奏楽部で活躍し、高校・大学に進学してその後、元吉原ウインドアンサンブルとして活躍するなど、音楽を通じて小学生から大人まで地域が連携しているというのは余り聞いたことがありません。
さらに、演奏を聴きに来たのは地元の元吉原地区住民がほとんどではなかったと思います。演奏する人、それを聴く人、応援する人、ほとんどが地域住民の皆さんです。正直言って、お誘い頂いた時は文化祭の延長かとも思いましたが、内容は見事なものでした。
市内で一番高齢化が進む地域であるといわれながらも、潜在的には子どもの時から地域への郷土愛が溢れる人間関係を築きあげていることから、地域の将来は決して暗いのではなく、いつか再生していくような力強さを感じました。