令和7年4月2日(水)
このほど、富士市にある第三セクターの廃棄物最終処理施設の事業確認委員会が開催され、久しぶりに参与として出席しました。富士山麓には数多くの最終処分場が点在し、特に規制が厳しくなる以前の最終処分場が多く、富士山の恵である地下水が市民にとっての命の水であるが故に、ずさんな管理を目の当たりにしてきた近隣住民の不安と不満が蓄積されていきました。その後、規制が厳しくなり市が関与した第三セクターの最終処分場設置の際に、それまでの不安が一挙に噴出して混乱した経緯がありました。
最初に第三セクターの最終処分場設置計画が持ち上がったのは、平成10年以前です。施設の下流域に住む私にとって、水質汚染の可能性は大きな懸念でした。地域住民代表、特に簡易水道事業者やまちづくり団体関係者を巻き込み、市の担当者を呼んで事業計画の説明や施設の安全性、水質汚染対策など1年以上かけて議論を重ねました。しかし、住民が納得できる情報は得られず、結局、私がこの問題も大きな後押しになって市議会議員に選出され、市議会を舞台に追求することになりました。議員として得られる情報量は多く、自ら関係する外部機関などを訪ねてその裏取りをして確認し、その結果を住民に伝えて、安全性の確保についてその時点で最大限の取り組みを導入することで住民の理解を得て決着を見ました。
行政の説明責任が十分でなかったことや、そのことが鬱積して行政不信につながり、反対の拳を下ろすことが困難な状況であったことが背景にありました。
しかし、私も行政と住民の間に入り、自ら調査した結果を踏まえ、落としどころを見出したことが前進するきっかけとなったと考えています。
処分場は時間が経てば満杯となり、次の施設の建設を迎えることになります。現在は3期目の施設計画が検討されている段階で、2期目が稼働中です。
当初(1期目)の住民との協議では、施設の安全体制(ハードとして遮水シートとベントナイト導入などの多重化、漏水センサーの設置、雨水による埋立物オーバーフロー対策など)や浸出水の定期的・抜き打ち検査および結果報告への住民参加(ソフト対応として事業確認委員会の設置と定期的開催)が合意され、それによりこれまで21年間の運営上に大きな問題もなく進めてくることができました。
ただ、合意はしたものの履行されていないことがあります。それは、1期目では富士山麓への設置は認めたものの、2期以降は水源保護の立場から影響のない地域への設置を求めたことです。残念ながら、2期と3期は富士山麓に設置されまたは計画されています。施設の安全性は20年以上の実績から理解もできますが、富士山という特別な存在や大地震や火山噴火など大きな自然災害を経験しておらず、不安は払拭できていません。立地の問題が片付かないままです。
久しぶりに出席した確認委員会では、20年以上前からこの問題に関わってきた方が委員の一人として出席しており、当時、反対の旗振り役だった立場でしたが、これまでの経緯を冷静に振り返り、新しい委員に丁寧に説明している姿は少し驚きでした。行政側の担当者も当時のことを実際に経験している人はほとんどいない状況です。
設置までの苦難の時期はありましたが、行政と住民の間に、信頼関係が醸成されていることを実感しました。