平成30年1月31日(水)
一向に温かくならない日々が続き、特に夜の会合では帰宅時の寒さが身に染みます。明日からは2月で暦の上では春なのにと愚痴をこぼしてしまいそうです。しかし、午前中に訪れたお宅の庭には梅の花がほころびはじめ、春が近づいていることは間違いありません。
さて、東京オリンピック・パラリンピック開催まで、あと2年半となりました。県政では、この世紀のビックイベントを控え、県内に自転車競技の会場が決定していることからその準備のために、また、五輪を契機に2020年以降の地域の発展につなげるために、様々な施策が準備展開されつつあります。
その時期に、五輪に直接15回も関わり、現在はJOC副会長で自民党参議院議員会長の橋本聖子氏の講演を聴きましたので、その内容を踏まえて報告します。
今回の五輪開催では、「その時に向けて」は当然のこと、その後に、どう五輪効果を残すかが大きな課題です。「レガシーを残す」という表現がよく使われますが、「負のレガシー」であってはなりません。国をあげて取り組むので、巨額の支出が伴い、その投資以上の効果をどう得るのかが今回の最大の課題です。
これまで世界で開催されてきた五輪では、開催自体が世界に向けたその国のアピールであり、名誉なこととして受け止めてきました。また、その開催に先立ち、関連施設やそれを支えるインフラ整備なども、開催後には資産として次の世代に有効に活用されるであろうという期待のもと、実施してきました。しかし、現実は厳しく、その施設が有効利用されず、あるいは取り壊しなどで、形が有る無しにかかわらず、その後の財政を大きく揺るがすケースは数多くあったといいます。五輪発祥の地で2004年に開催されたギリシャでは、五輪後に財政破綻していることは記憶に新しいところです。
前回、1964年開催の東京五輪は、日本の戦後の高度成長を世界にアピールするために開催されたものですが、この時と時期同じくして、それまで日本の財政は黒字であったものが、赤字に転じ、現在までに毎年増え続けているきっかけになったとも言われています。外国だけではなく、私達日本も同じ「負のレガシー」を抱えてきました。
五輪が開催されるために、開催国の負担が大きすぎることは、五輪を運営する国際機関も危機感を抱いているようで、経済負担の軽減や環境にやさしい取り組みを開催の条件として課すようになったのが、今回の東京五輪です。
環境に配慮とは、例えば国際認証を受けた木材の利用や、一局集中にこだわらない会場配置、既存の施設の有効利用などがあります。
さらに、先ほども触れましたが、五輪後の国内活性化に向けて、国や地方がそれぞれ独自の活性化策を講じることが求められ、本県でも議論を進めているところですが、本当にそれが実現できれば、「レガシー」として前回の開催とは全く異なる意義が達成できます。その代表的なものは、スポーツを軸足として、これまでに培った理論による、健康維持や医療、福祉分野、教育分野へのプラスの効果が期待できるといいます。これらによる社会保障費の増加に対する縮減効果は、国の財政にも大きな影響を与えます。また、将来の日本経済の牽引となる観光振興にも大きな効果が期待できます。それらを戦略的に、着実に前進させるためには、開催後に取り組むのではなく、この時期からしっかりと具体性を持って進めることが重要です。
県議会では、2月に入ると定例会が開催され、次年度予算審議や、新年度から県の今後10年間を決める次期総合計画が始まりますので、五輪効果が開催後に生かされるよう、地方の立場で議論に参加していきたいと思います。