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鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

能登地震後の復興状況と本県の半島防災

2025年02月28日 | 議会活動
令和7年2月28日(金)

 能登半島地震は、静岡県にも伊豆半島を抱え、多くの類似点があり教訓を残しました。現在開会中の県議会2月定例会でも半島防災に関する取組について、2月補正予算及び令和7年度当初予算案に盛り込まれ、南海トラフ巨大地震に対する備えも進んでいます。
 しかし、能登半島地震後の現地の復興状況は依然として進んでいる状況とはいえず、特に人口が急激に減少するなど、本当の意味での復興につながっていくのか課題も見えています。本県の場合も、同様な状況があり得るのではとの想定を含め、更なる状況分析とそれに対応した体制を整えることが重要と考えます。

 2月定例会で知事が触れた半島地震対策は、能登半島地震では、土砂崩落等により交通網が寸断し、半島という地理的特性などから、孤立集落の発生や避難所生活の長期化、多数の住宅被害といった課題が顕在化した。昨年11 月、国が能登半島地震を踏まえた今後の災害対応について、報告書を取りまとめたところである。この分析も踏まえ、伊豆半島を有する本県において、速やかに各種の対策を講じる。
 孤立を防ぐためのインフラ整備については、災害発生時にも円滑な物資調達や輸送が行えるよう、伊豆縦貫自動車道の早期全線開通など道路ネットワークの整備・強靱化を、引き続き国に強く働きかけていく。あわせて陸海空から被災地へ円滑に進入できるよう、緊急輸送路沿道の空き家の除却や、着実な港湾整備、拠点ヘリポートの資機材整備の支援等を行っていく。孤立予想集落においては、必要な物資等の備蓄支援を拡充する。
 また、各市町が水道施設等を耐震化し、自給可能な水源等を確保できるよう、特に耐震化率が低い賀茂地域の水インフラ広域防災計画を策定する。
 さらに、情報収集体制を強化するため、県災害対策本部や各地域局のほか、災害拠点警察署などに計20 台の衛星通信設備を整備する。
 避難生活の長期化への対応については、能登半島地震において、トイレが不足する課題等が生じたことから、市町と役割分担しながら県内外の災害派遣時に活用するトイレカー等を整備する。また、要配慮者への支援のため、福祉避難所や救護病院等への調査結果を踏まえ、不足する非常用電源を確保するなど、地震・津波対策等減災交付金も活用し、総合的に支援していく。

 報道によると能登半島地震では、避難先からの人口回復が遅い理由として、災害公営住宅の建設の遅れや、特に現役世代が戻るための暮らしや雇用の確保と子育て環境の整備について整っていないことを上げています。
 本県の防災対策は前進していると考えますが、特に伊豆半島では復興時における人口回復が速やかに進むのか、能登半島の現状を検証し、対策を講じていく必要があります。
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新年度の医師確保策について

2025年02月27日 | 議会活動
令和7年2月27日(木)

 静岡県議会2月定例会の代表質問が行われました。その論戦の中から「医師確保」について報告します。

 県全域での医師確保については、医学修学研修資金の貸与を受け、その後県内で勤務している医師は、今年度703 人おり、一定の成果をあげている。貸与を促進するとともに、医療関係者と協力して県内への就業や定着を進め、さらなる医師確保を図っていく。

 特に医師数の不足する東部地域においては、新たに複数の取組を実施することで対策を加速化する。
 東部地区は中部、西部地区と比べ公的病院が少なく中小の医療機関が中心となっており、医師確保および偏在対策を進めるためには、研修医を受け入れる体制を構築する必要があります。そのためには、指導医の確保が重要となってきます。

 具体的には、まず、浜松医科大学と連携し、指導医と専攻医をセットで派遣し、若手医師の育成環境を整えつつ、医療機関の拠点化を進める事業に新たに取り組み、派遣医師数を段階的に増加させていく。
 また、順天堂大学医学部附属静岡病院とは、これまで県東部地域に無かった産婦人科及び小児科の専門研修プログラムを整備することで新たに合意した。来年度から2 名の指導医を配置し、速やかに準備を進め、令和8 年度から毎年4 名ずつの専攻医確保を目指していく。
 こうした取組などにより、5 年後に、県東部地域に勤務する医師が80 名程度増加することを目標として、医師確保に取り組んでいく。

 しかし、これまで進めてきた医科大学院大学構想は、厳しい財政状況から一時中止することを決めました。新たな医科大学の設置は国が認めていないことから、医師免許を持つ若手医師の学ぶ場を提供し、県内医療機関に誘導する構想でした。
 県の説明によると、昨年2 月に、準備委員会から基本構想を御提言いただいた、医科大学院大学について、「静岡県未来創造会議」から、本県の厳しい財政状況を踏まえ、「大きな歳出」の一例として、優先順位付けや、より効率的な手法の検討が求められた。
 これを受け、構想の実現については、現下の本県が置かれている財政状況が好転した時点で検討すべきと判断した。しかしながら、医師確保策の拡充は本県にとって重要であり、当面は、既存の静岡社会健康医学大学院大学における、基本構想の趣旨を活かした研究環境等の魅力向上や、県内病院への配置調整機能の充実などを進めていく。と説明しています。

 私は、以前から、指導医を受け入れる医療機関の条件を緩和をすれば、県東部においても医師確保が進むとの持論を当局にぶつけています。実際、東部地区の医療機関では指導医を迎え自分たちの医療機関の中で研修医の育成を望むところもあり、県はその現状をどう受け止め、さらに医師確保に向けた機会を増やすのか、議論の余地はあると考えています。
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PA連携って何?

2025年02月26日 | 議会活動
令和7年2月26日(水)

 先日、川崎市内を車で走っていると、救急車と消防車が1台、立て続けにサイレンを鳴らして走っているのを見かけました。即座に思い浮かべたのは、火災が発生し負傷者も出ているのではとの思いでした。
 それ以外の場所でも、例えば高速道路の交通事故現場でもこの組み合わせの出動姿を見かけることがあります。消防車には「RESCUE」と書かれており、火事現場だけでなく、事故現場などでも専用の救急機材などを載せているので多用途の使われ方がされているのだと思い込んでいました。

 最近、PA連携という言葉を知りました。地元富士市消防署のホームページで紹介している内容では、「P」は消防車(Pumper)、「A」は救急車(Ambulance)のことで、PA連携とは、救急現場における消防隊等の連携による救護、救出及び救急活動の総称を言います。
 多様化していく救急需要に対応し傷病者の救命率向上を図るため、消防隊が救急隊と連携して傷病者に適切で効果的な救急処置を施し、より迅速な救急搬送を行うことを目的としています。

どのような場面で連携するのかと言えば、
●建物の上層階や階段・通路などが狭い場所で、傷病者の搬送に支援が必要な場合
●商店街や祭、駅など大勢の人が集まり救急活動、傷病者の搬送に支障が生じる恐れのある場合
●高速道路、国道等の通行量の多い道路上で傷病者や救急隊の安全を確保する必要がある場合
●傷害事件等で傷病者や救急隊を保護する必要がある場合
●近くの救急車が他の救急事案に出動中で救急車の現場到着が遅れると予想され、すぐに傷病者の救出や救護が必要である場合
●上記以外で通報内容からPA連携の必要があると認めた場合
などを想定しています。
 他の資料では、生命に危機が迫っている人に救急救命士が行う「救急救命処置」をサポートする。そのために、消防車にはAEDや応急手当てに必要な資機材が積載されていることや、消防隊員にも救急隊と同じ資格を持った隊員が乗車していることもあるようです。

 私のように、PA連携をまだ知らない市民もいることを前提に、「『救急車を呼んだのに消防車が来た』というように驚かれるかもしれませんが、傷病者に適切で効果的な救急処置を施し、より迅速な救急搬送を行うことを目的としていますのでご理解をお願いします。」という注釈がついていました。

 このところ、救急車の利用について様々な問題が生じています。呼ぶ必要がないのにタクシー代わりに使って問題になったなどとの報道もありました。消防車はあくまでも救急車のサポートと考えます。限られた救急車の適切な利用につても考えていかねばなりません。
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静岡県令和7年度当初予算案の骨子

2025年02月25日 | 議会活動
令和7年2月25日(火)

 今日から再開される静岡県議会2月定例会は、昨年6月に就任した鈴木康友知事が初めて取り組む当初予算案に対する論戦が始まります。その予算案の骨子について触れておきます。

 冒頭で知事は、今回の予算案においては、「幸福度日本一の静岡県」の実現に向けて、積極的な施策を盛り込んだ。私からトップダウンで、次期総合計画の8つの重点取組などに積極的に予算を配分した。加えて、現場を熟知する各部局長からのボトムアップの提案をもとに、「未来を拓く積極的なチャレンジ」などについても、財源と人員の集中配分をした。
 この結果、令和7 年度の一般会計の歳出予算総額は1 兆3,723 億円で、前年度当初予算を563 億円、4.3%上回る予算案を編成したと述べています。

〇 8つの重点取り組みは次のように説明しています。
  1. 伊豆半島をはじめとした防災の推進
  2. 新たな産業活力の創造
  3. 再生可能エネルギー等の導入促進
  4. 次世代モビリティの導入促進
  5. 地域交通のリ・デザイン
  6. こども・子育て支援の充実
  7. 医療・福祉人材の確保
  8. 外国人の受入と多文化共生社会の構築

〇 「未来を拓く積極的なチャレンジ」は、6 つの取り組みがあります。
  1. しずおかアボカド産地化プロジェクト
  2. デジタルクリエイターの育成
  3. AI活用による特別支援教育指導プロセスの変革
  4. 聴覚障害児療育モデルの構築
  5. 遠隔地からの災害支援を可能とするシステムの構築
  6. 道路メンテナンスのDX

〇 分野毎の主な取り組み
  1.防災・安全分野
    例:盛土対策、救急安心電話相談窓口「#7119」、犯罪被害者等への支援等
  2.産業分野
    例:MaOIプロジェクト、中小企業の経営力向上、
   リノベーションによるまちづくり、農林水産業の競争力強化等
  3.環境・エネルギー分野
    例:脱炭素社会の構築、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の
   水資源及び南アルプスの自然環境の保全等
  4.観光・交流・インフラ分野
    例:観光振興、富士山静岡空港等
  5.こども・教育分野
    例:小学校1 年生へのきめ細やかな支援、戦争の記憶と記録の継承等
 6.健康福祉分野
    例:静岡ウェルネスプロジェクト、障害者施策などの推進等
 7.暮らし・文化分野
    例:富士山の登山者への対応、文化・芸術の振興、スポーツの振興、
   遠州灘海浜公園篠原地区の整備

〇 行政経営の推進
 今後の自治体経営においては、自治体としての体質や組織の考え方を変えていく、LGXが極めて重要となり。令和7 年度を2 つの「元年」と位置づける。
1.「チャレンジ元年」
 ① 生成A I・デジタル技術を前提とした働き方の変革
 ② 民間の知識・経験等を一層活用した、課題の解決
2.「財政改革元年」
 10年間を計画期間とする「中期財政計画」を策定し、4 つの目標を設定

 盛りたくさんの提案に対し、議員としてしっかり取り組んでいきたいと思います。
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富士山の日フェスタ2025開催される

2025年02月24日 | 議会活動
令和7年2月24日(月)

 2月23日は天皇誕生日ではありますが、富士山が世界文化遺産に登録されたことを記念して、静岡県と山梨県では「富士山の日」と決め、登録以来、10年間記念行事を開催してきました。
 式典会場は両県が相互に担当し、今年は本県が御殿場市内のホテルを会場に開催しました。私も、当初から毎年参加しており、富士山世界文化遺産を後世に継承するため、その普遍的価値(「信仰の対象」「芸術の源泉」)を共有すると共に、時間が経過する中で様々な課題も生じてくることもあり、両県が連携してその解決に対処するなどを確認する場にもなっています。


(主催者挨拶をする本県の鈴木知事)

 課題の一つにオーバーツーリズムがあります。富士山には夏の登山シーズンには国内外から多くの登山客が訪れます。弾丸登山などもあり、安全に登山できる環境ではありませんでした。高山特有の健康被害も生じることがあります。地上と山頂付近の大きな気温・気圧差、天候の急変など厳しい気象条件下では、急病やケガなども毎年発生しています。登山者が安全に登れる山であるための対策を講じるために、入山規制などの導入や緊急時に備える救護体制も整える必要があります。

 11年目を迎えるにあたり、令和7年の登山シーズンから両県が揃って同じ条件で入山規制や入山料の徴収を行うことなどが決まりました。これまでの取り組みがようやく一区切りを迎えることになったことを契機に、毎年開催されてきたこの「富士山の日フェスタ」は、今後、10年単位の周年事業として開催されることが発表されました。

 今回のフェスタでは、これまでをもう一度振り返る意味を込め、元文部科学大臣で、富士山世界文化遺産登録にご尽力いただき、昨年12月まで静岡県富士山世界遺産センター(富士宮市)の初代館長を務められ、現在は富士山世界文化遺産学術委員会顧問の遠山敦子氏から「富士山―その価値と保全」と題しての基調講演がありました。

(基調講演の遠山敦子氏)









 また、新たな出発として、静岡県と山梨県で「富士五湖自然首都圏フォーラム」が立ち上がることになり、その共同宣言の報告もありました。詳細については後日お伝えする予定です。


(「富士五湖自然首都圏フォーラム」立ち上げを説明するフォーラム田坂会長)

 私にとっての楽しみは他にもありました。本県で開催するときには、本県が世界に誇るSPAC(静岡県舞台芸術センター)演劇が見られることで、今年の演目は「現代神楽 ヤマタノヲロチ!」でした。
 また、富士山静岡交響楽団のオーボエカルテットの演奏もあり、久しぶりに優雅さをたっぷり味わうことができました。


(SPACによる「現代神楽 ヤマタノヲロチ!」)


(富士山静岡交響楽団のオーボエカルテットの演奏)

 しばらく、このような機会が遠のくことは少し寂しいような気がします。文化や芸術とは距離感があった私ですが、この10年間で少し生長したようにも思えます。富士山世界文化遺産効果と捉えて感謝したいと思います。
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