鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

土砂災害の検証と今後への対応について

2023年02月28日 | 議会活動
令和5年2月28日(火)

 今年度、静岡県議会に設置されたいくつかの特別委員会の活動成果報告書が本会議に提出されました。その中から、一昨年7月に熱海市伊豆山地区で発生した土砂災害における「逢初川土石流災害検証・被災者支援特別委員会」の報告内容について触れます。

 先日、この土砂災害で行方不明となっていた最後の方の遺骨が発見され、一つの区切りを迎えました。大きな人的・物的被害が発生したこの事故は、大雨によるもののほか、不法投棄された盛土による自然災害と人災が重なった事故でありました。
 二度とこのような悲劇を繰り返さないためにも、しっかりとした検証とその再発防止が重要です。
 発災直後、県は第三者の検証委員会を立ち上げ、これまでの県の対応に問題がなかった調査し、報告を受けた県はその結果に対して真摯に受け止め、尊重するという考えを、知事自ら発言しています。しかし、その報告内容には疑義を感じるものがあるという判断の下、県議会として独自の調査を行い検証することとしたものです。
 特別委員会では現在、県の執行部が行っている関係施策の調査のほか、地質学、土木技術の専門家、被災者支援に取り組む関係者を参考人として委員会に招致し、県の行政対応に関する意見や被災者支援に関する現状や課題を聴取してます。

 調査の着目点は、①県の行政対応の妥当性について調査検証する。②熱海市との連携について調査検証する。③行政記録のあり方について調査検証する。④復興に向けた被災者支援策について、調査検討する。となっています。

 報告書では、調査結果を踏まえ、大きく5項目の提言が示されました。①行政対応に関する再検証作業の実施。②関係組織間における連携。③行政記録のあり方。④復興に向けた被災者支援策。⑤大規模災害に備えた被災者支援体制の整備となっています。①の再検証については、本会議の一般質問で質疑がありましたが、先ほども触れたとおり、知事はその考えのないことを答弁しています。また、その質問の後に本報告書が提出されたため、知事はこれを精読してどう対応するかの含みを持たせる答弁でもありました。

 県は検証について第三者機関を立ち上げ行ったとしていますが、短時間での結論を急いだことでの十分な検証ができていないことや、途中経過であってもそれを被災者等、県民に伝えることを優先したとのことですが、結論が出た以降も新たな情報が得られているため、再検証を拒む理由はないと感じています。

 県議会では、この報告書に基づき、今後さらに県の動向を注視し、検証していくことになります。
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函南太陽光発電事業計画における林地開発許可について

2023年02月27日 | 議会活動
令和5年2月27日(月)

 各地で大規模太陽光発電(メガソーラー)設置における様々な課題が提起され、私が所属する静岡県議会産業委員会でも、函南町に設置が計画されている大型施設事業計画について、開発における不備等により大きな災害発生を招く恐れがあるとして、地元住民からの請願を受け、集中審査を行ってきました。
 その結果、請願に沿って取消すべきという結論が県議会全会一致で採択されました。
 その審査の過程において、林地開発の課題が浮き彫りとなり、事業者は事業内容の修正を行っていますが、県の取り組んでいる審査状況と、変更計画に対する審査方法について、私の所属する会派議員が代表質問で質した内容について報告します。

 県議会の判断は先に触れましたが、県はこの事業計画について、地域住民の災害に対する不安や懸念を真摯に受け止め、土砂流出の防止策に万全を期すことなどの条件を付して許可を行っており、事業者に対してこの遵守を厳正に指導していると述べています。つまり、県は議会とは異なる判断をしていることになります。

 事業者の修正内容は、県が許可後に発覚した、集水区域や河川流下能力の問題であり、事業者がその調査を行って、開発行為により最も大きな影響を受ける河川の狭窄部等についての対応について、河川管理者の同意を得る必要があります。
 その結果を踏まえ、事業者が事業内容の変更等を再度提出し、それが森林法の審査基準に適合するかを審査することになります。

 現在、事業者は調査中であり、県の審査までには至っていません。県は計画内容が審査基準に適合することが確認するまで、開発行為に着手しないように指導を徹底しているとのことです。

 県は、住民から「林地開発許可の取消を求める請願」が提出され、それが本会議で採択されたことを踏まえ、本事業計画の変更は、「森林法の施行に関する重要事項」に該当するものと考えている。このため、今後は、法令等に基づき、変更計画の内容について、森林審議会に諮問を行った上で、審査基準への適合を判断する方針として審査を進めていくことになりました。

 一度許可をしたものを覆すのは大変難しいことを実感しています。しかし、住民の声を真摯に受け止め、県議会という公の場で集中的な審査を行い、その過程で浮き彫りになった問題点の指摘は、行政を動かすことになりました。県は許可した時点での法的な手続について問題はなく、許可は有効という立場を変えていません。
 しかし、議会で審議した過程では、行政側の審査手順などに問題があったという印象は持っています。行政と事業者、行政と行政の間とやりとりでは、そのやりとりがメモなどに頼るものもあり、情報の共有等について認識のずれなどを生じた結果、判断に影響が出たことは歪めません。

 県議会としても、この審査過程で教訓を積むことができた、その現場に居合わせた一人として、今後に生かしていきたいと思います。
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県議会にタブレット端末を本格導入

2023年02月26日 | 議会活動
令和5年2月26日(日)

 静岡県議会では令和5年度からタブレット端末の本格導入に踏み切ります。世の中は既に導入済みのところが多いと思われますが、ようやくその体制が整います。

 きっかけとなったのは、令和3年度に県議会議長から議会運営等改善検討委員会に諮問された「議会における情報端末機器の活用方法」について調査・検討を進めてきたことがあります。
 検討委員会は、令和4年度から全議員にタブレット端末を貸与し、議会資料のペーパーレス化やオンライン委員会などへの活用を段階的に進めるよう、議長に対して検討結果が答申されました。

 その結果、資料のペーパーレス化などを目的に、令和4年12月定例会と令和5年2月定例会で試行することが決まり、12月定例会では委員会審査から試験導入し、2月定例会では議場でのタブレット端末の試行運用を実施しています。試行のため、2月定例会では紙の議会資料も併用して審議を進めています。
 2月定例会は、令和5年度当初予算と令和4年度補正予算の審議が行われますが、その資料はA4版で厚さが15センチにも及ぶため、紙の重さから持ち運びに苦慮しています。
 今回は先ほども触れたように試行であることから、審議資料はタブレット端末内に電子データとして供給されるほか、同じものを紙資料で用意されたので、電子データのありがたさを痛感しました。
 また、紙資料と同じように重要な部分にマーキングや付箋を貼ることができ、操作に慣れれば不便さはありません。また、膨大な資料の中から、調べたいキーワードを指定すれば、あっという間に全資料の中から同じキーワード部分を抽出できる検索機能に重宝しています。この早さは人間の能力では不可能です。その他のメリットも少しずつ分かってきました。

 12月定例会の導入では、操作に戸惑う議員が多数いましたが、2月定例会では慣れてきたせいか、スムーズに操作している議員が増えたようにも感じられます。このまま行けば、令和5年度からの本格導入に大きな支障はないようにも思えてきました。来年度、本当の意味でのペーパーレス化が実現できるか、楽しみでもあります。
 また、オンライン会議ができる環境も揃っていますので、リモート会議も導入されていくことが予想されます。
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防疫体制の司令塔設置へ

2023年02月25日 | 議会活動
令和5年2月25日(土)

 今任期最後の県議会2月定例会も代表・一般質問があと一日で終わり、3月1日からは静岡県令和5年度当初予算の審議が常任委員会毎に始まります。

 3年間続いている新型コロナウイルス感染症の影響は多方面にわたり、その中でも医療がひっ迫した状況への対応は急務となっています。新たな感染症の脅威は多くの教訓を残し、本県の防疫体制のもろさが露呈しました。
 この教訓を元に、静岡県は本年4月より、三島市内に「ふじのくに感染症管理センター」を設置し防疫体制を強化します。
 この施設は、本県の防疫体制の司令塔として、医師や看護師などの人材育成、情報プラットフォームの構築、国立遺伝学研究所との連携などを進め、感染症対応力のさらなる底上げを目指すことになり、今定例会では、その予算審議が予定されています。

 静岡県新型コロナウイルス感染症対策本部が発表した2月24日現在の本県内の感染状況報告は、「本県の新型コロナウイルスの感染状況や医療ひっ迫状況は国評価レベル2です。
 新型コロナの1週間の新規感染者数は減少傾向が続いており、病床の利用率も30%を下回り、コロナ受入れ病院における医療従事者の感染等による休職や救急搬送困難事案も減少しています。
 しかし、地域によっては医療のひっ迫が続いていることなどから、県独自の『医療ひっ迫注意報』を発令中です。
 引き続き、可能な方は新型コロナとインフルエンザのワクチンの接種をお願いします。」としています。

 2月23日現在の入院患者数は、225人で、即応病床数(コロナ確保病床以外の病床数含む)769床に対し29.3%、コロナ確保病床数705床に対し31.9%となっています。直近1週間の10万人当たりの新規陽性者数は、115.7人となっています。

 国は、5月から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類を2類からインフルエンザと同等の5類に下げます。県はこの見直しに応じて対策を柔軟に進めるとしています。このことにより、医療や介護など、また経済活動にどのように影響するのか、その面からもこれから始まる県議会常任委員会で質疑が行われることが予想されます。
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富士山の日

2023年02月24日 | 議会活動
令和5年2月24日(金)

 昨日は天皇誕生日の祝日でしたが、同じく、「富士山の日」でもありました。2月23日の語呂合わせで「ふじさん」と読みます。県内各地で天王誕生日を祝うとともに、「富士山の日」に因んだ催し物が開催されました。


(オープニングは弦楽四重奏の「富士山」から)

 富士山と接する静岡県と山梨県では、毎年、この日に会場を交互に移し記念式典が開催されています。今年は静岡県が会場となり、沼津市プラザヴェルデにて「富士山の日」2023が開催され、私は公務の位置付けで出席してきました。
 この催しは、世界遺産富士山の顕著な普遍的価値を次世代に確実に継承するとともに、その保全に関して県内外に理解を広げることを目標としています。

 今年は富士山が世界遺産登録されてから10年を迎えることになり、今後、1年間に県内外で様々なイベントも企画されています。今回の催しはその始まりを告げるものとなりました。


(10周年の記念ロゴのお披露目)


(10周年を祝う事業の始まり)

 開催内容は、主催者である両知事挨拶の後、富士山世界文化遺産登録10周年開幕セレモニーが行われました。静岡県は今年「東アジア文化都市」に指定され、中国や韓国などと連携した合同の催しも計画されていることから、その始まりを告げる「東アジア文化都市宣言」が行われ、「富士五湖自然首都圏フォーラム」の紹介などがありました。


(東アジア文化都市事業のスタートアップを告げる)


(宣言文の紹介)

 その後、元東京2020オリンピック・パラリンピック組織委員会会長で、参議院議員橋本聖子氏を講師に、「富士の国からスポーツ文化を世界に」と題して記念講演が行われました。

 10周年を迎える今年1年の記念行事は以下の通りです。6月には、富士山世界文化遺産協議会の主催により、東京都内で関係省庁、静岡・山梨両県関係者をお招きし、10周年記念式典を開催します。
 7月には、富士山世界遺産センターの主催により、富士市内において、富士山と同様、世界遺産に登録されているイタリアのエトナ山、ニュージーランドのトンガリロ山、中国の泰山関係者を招き、国際シンポジウムを開催します。世界遺産専門家による基調講演や、聖なる山の保全や継承などをテーマとしたパネルディスカッション、本県の学術研究の成果発表などを行い、富士山の顕著な普遍的価値を世界に発信していきます。

 富士山の麓で生まれ育った私にとっても、特別な1年になりそうです。
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