令和7年4月10日(木)
4月3日の静岡新聞1面にある「大自在」を読んで、慈愛に満ちた内容だったので触れてみたいと思います。
記事の冒頭を引用すると、「死別も覚悟しなければならない重い病気にかかったわが子とできる限り一緒に時間を過ごしたいと願う親に、職場の同僚が自分の有給休暇を譲る。時間と引き換えに退職する必要がなくなる上、会社から賃金が得られる。(中略)マティス少年の父親は看病のために有給休暇を使い果たそうとしていた。何かできることがないかと、会社の同僚は休暇の譲渡を思いつき、社長が了承した。父親は息子の最期まで付き添うことができた。」
思いやりにあふれる職場仲間の善意を後押しする法律がフランスにあることを最近知った。小児がんで世を去った少年の名前に由来する2014年に制定された「マティス法」である。
知ったきっかけは、浜松市にある小児がんなどの子どもと家族を支援する「まるここクラブ」の代表を務め、自らも同様の体験のある神門えみ子さんの講演で初めて知った。
「マティス法」は、2014年にフランスで制定されました。障害や病気を抱える20歳以下の子供を持つ従業員に対して、職場の同僚が自分の有給休暇を寄付することができるという法律です。休暇を寄付してもらった社員は、その有給休暇を消化する間、有給休暇取得時と同じ待遇を維持されます。
別の資料によれば、フランスは有給休暇日数(37日)もその取得率(93%)も日本(17日、50%未満)とは違い、世界一だそうです。日本人の有給取得率は最下位という状況が続いていることが記され、貴重な有給休暇が有効に活用されていない実態があります。
法律の制定も重要なことですが、まずは、経営者がこのような柔軟な取り組みに理解をしていただけるか。従業員を大切にしている経営者の方も、話せばきっと理解していただけるのではと期待しています。まずは、このような慈愛に満ちた事例があることを知っていただき、その輪が広がっていくことを期待し、私も機会ある毎に、この話題には触れていきたいと思います。