令和7年4月26日(土)
静岡県は公共施設等の適正な管理に向け、今年度から10年間を計画期間とする「第2期公共施設等総合管理計画」を策定しました。
ここ数年、東名高速道路を利用すると、老朽化した道路や橋のリニューアルのための交通規制が各地で行われています。痛んだ道路面の舗装や橋梁の再塗装など単なる保全的な処置でなく、構造そのものに手を加え、いわゆる長寿命化に取り組んでいます。
道路や上下水道などの公共施設は私たちの生活を支える重要な施設です。普段は当たり前のように使われている施設ですが、設置から長い時間が経つと「老朽化」の問題が表面化し、使用に耐えることができず建て替えなどが必要になってきます。
一方で、そこに要するコストは莫大なもので、簡単にできるものではありません。財源と長い時間を要することになります。
国は、平成25年11月に公表した「インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議」において、「インフラ長寿命化基本計画」を公表しました。
その冒頭で、国民生活やあらゆる社会経済活動は、道路・鉄道・港湾・空港等の産業基盤や上下水道・公園・学校等の生活基盤、治山治水といった国土保全のための基盤、その他の国土、都市や農山漁村を形成するインフラによって支えられている。
我が国では、昭和39年に開催された東京オリンピックと同時期に整備された首都高速1号線など、高度成長期以降に集中的に整備されたインフラが今後一斉に高齢化する。例えば、今後20年で、建設後50年以上経過する道路橋(橋長2m以上)の割合は現在の約16%から約65%となるなど、高齢化の割合は加速度的に増加する。
インフラの中には、維持管理に必要な情報が不明の施設も多く、国・地方の職員定数の削減が進む中、地方公共団体の中には維持管理を担当する技術職員が不在、若しくは不足しているところもある。戦後、短期間で集中的にインフラ整備を進めたことや経年劣化や疲労等に伴う損傷の進行速度が速く、問題が顕在化するまで長期間、必要な措置が講じられてこなかった。
今後800兆円にも及ぶインフラストックの高齢化に対応するとともに、南海トラフ巨大地震等に備えることも考慮し、国だけでなく地方公共団体も一丸となって取り組む必要がある。
これを受けて県では、平成27年2月に「ふじのくに公共資産最適管理基本方針(静岡県公共施設等総合管理計画)」を策定しました。昨年度で第1期計画の計画期間(H27~R6)が終期を迎えたことで、第2期計画(R7~R16)を策定し、このほど公表されました。
第2期計画では、令和2(2020)年度から令和31(2049)年度までの30年間における公共建築物の削減目標について、第1期計画では延床面積の15%削減目標を、将来の人口減少等を踏まえて20%削減に上方修正します。また、施設の有効活用においては、民間提案制度の導入に向けた検討を進めることとしており、PPP/PFIによる民間のノウハウを活かした効率的な施設活用を推進していきます。
その他、新たな視点として、DXによる維持管理業務の効率化や脱炭素化(ZEB化等)の導入。予防保全型管理の深化などを進めていきます。
県有施設の総量適正化。施設の有効活用。県有施設の長寿命化。維持管理経費の最適化などに取り組むとしています。
県財政も厳しくなっていることから、今年から10年間を計画期間とした「中期財政計画」を踏まえ、歳出抑制や歳入確保に取り組みます。
本県では、新たな公共施設に関し、県立図書館や浜松野球場などのビックプロジェクトがあり、県民生活を支える道路や橋梁なども多く存在することから、県民の皆様の関心も高く様々な意見や要望が寄せられる分野でもあります。
今回の第2期公共施設等総合管理計画を元に、県民の皆様の意見を尊重しながら適切な対応が図られるよう、議会の場で議論を深めていきたいと思います。