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鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

令和5年度静岡県決算審査から

2024年10月31日 | 議会活動
令和6年10月31日(木)

 衆議院議員選挙日程中から始まる予定だった、令和5年度静岡県決算審査は、日程を変更して投票日翌日から審査に入りました。慌ただしい日程ではありましたが、一晩で頭を切り替え、審査に臨みました。

 私は常任委員会では総務委員会に所属しており、知事部局と経営管理部、出納局、人事委員会事務局、監査委員会事務局、議会事務局の担当となりました。

 まずは全体像として、決算規模(純決算額)については、一般会計の歳入額は1兆3,442億2,407万9千円(前年度比91.5%)、歳出額は1兆1,135億1,015万円8千(前年度比90.1%)となりました。
 公債管理特別会計ほか10の特別会計の歳入額は6,372億6,969万6千円(前年度比104.8%)、歳出額は8,401億131万3千円(前年度比104.4%)となりました。
 決算収支は、一般会計の歳入歳出差引額である形式収支は、180億6,794万2千円、翌年度へ繰り越す財源を差し引いた実質収支は、67億372万2千円で共に黒字となりました。
 また、実質収支から前年度の実質収支を差し引いた単年度収支は、86億4,598万円の赤字となりました。
 特別会計の形式収支は、98億1,436万1千円、翌年度へ繰り越す財源を差し引いた実質収支は、97億2,131万8千円で共に黒字となり、単年度収支は、21億2,249万9千円の赤字となりました。

 このほか、ここでは詳細は触れませんが、収入率、執行率の状況、歳計現金および基金の運用益の状況、財政構造、県債の状況、基金の状況などについて、監査結果が示されていました。

 健全な財政運営の堅持については、財政状況は実質公債費比率18%未満、将来負担比率400%未満という新ビジョン後期アクションプランの目標の範囲を維持し、一定の健全性は保たれているものの、実質公債費比率及び将来負担比率の全国順位のワースト10入りが継続している状況です。
 一方、歳出面では、社会保障関係費や金利の上昇に伴う公債費の増加等による義務的経費等の増加が見込まれており、現状のままでは、収支均衡の目標達成は難しい状況にあります。
 健全な財政運営に向け、全庁的に一層の歳出のスリム化に取り組むとともに、成長産業の育成を通じた税源涵養を進めるほかクラウドファンディング等による歳入確保の取組を図ることが提言されていました。

 審査では、これらの監査委員からの報告も見据えながら、担当する分野での令和5年度に実施した事業等の成果や課題などについて質しています。

 私からは、知事直轄組織の所管分野では、
  1. ふじのくにフロンティアを拓く取組から、デジタル技術の活用事例、複数市町連携事例、市町による取組の濃淡の実情と課題。
  2. 広報広聴に関し、新たに導入した広聴アドバイザー制度の設置目的と担う人財の資格および成果。
  3. 関係人口の創出・拡大の事業費において、県外学生をターゲットとした新たなモデルの創出の事業内容とその効果。
  4. 民間企業等との包括的協働の推進における事業概要と成果。
  5. 令和5年度の補正予算は物価高騰対策が多く占め、財源と県民からの要望に応える支援内容ついて。
  6. 多文化共生推進事業における外国人県民への支援策の評価と支援を受けた側からの感想に対する事業へのフィードバック。

 経営管理部関係では、コンプライアンスの取組から、熱海市逢初川土石流災害の教訓を生かすための、県庁内の組織文化の改善に向けた研修内容の成果について。
 また、議会事務局においては、物価高騰が議会運営費などにどのような影響があったかなどについて質しています。

 ここで出た意見や要望は、次年度事業に反映されるよう取りまとめて、当局に提出されます。
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静岡県XR寄付講座「仮想現実が作り出す未来の可能性」を聴講

2024年10月30日 | 議会活動
令和6年10月30日(水)

 静岡県XR寄付講座「仮想現実が作り出す未来の可能性」を聴講してきました。静岡県は、去る6月17日、学校法人静岡理工科大学と3年間の取組として、寄付講座を開設しました。



 私は県議会6月定例会の総務委員会において、この取組について質問した経緯があり、官民問わず社会全体でDX化の進行に伴いデジタル人材の確保が重要課題になっています。
 特に、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの先端技術の発展や、デジタルツイン、メタバースの産業利用など、仮想空間市場が急成長しています。
 デジタル人材が不足する中であり、仮想空間分野の人材獲得競争は激化していることから、こうした仮想空間分野における人づくり・仕事づくりを進めるため、学校法人静岡理工科大学との連携のための協定を締結しました。県内で求められるデジタル人材をどう確保するか、その課題に応える取組です。

 この講座の目的は、XR(クロスリアリティ)技術者の人材輩出力強化と県内企業等との連携を実現するため、VR(Virtual Reality:仮想現実)とAR(Augmented Reality:拡張現実)およびMR(Mixed Reality:複合現実)をはじめとしたXR技術を普及し、日々の生活を豊かにすることを目指す活動を行うものです。

 具体的な取組として、①XR技術の研究・教育の促進、②産業界との連携によるXR技術の活用促進。③コミュニティイベントとネットワーキングの推進。④社会貢献と地域との連携を掲げています。

 活動の対象は広く、企業や専門家に対する取組のほか、大学生による研究活動等の発表、小中学生を対象としたプログラミング教室などがあり、特に県内の子どもたちが小さな時から自然にこのような先端技術に触れる機会が増えることにより、県内就職の定着や起業などにも貢献できるものと思われます。

 このような取組は、他県でも取り組んでおり、その実態などにも触れ、競争力を高めていかねばなりません。本県では全国に先駆け、全県下で3次元点群データの収集を進めており、自動運転に必要な位置情報などに活用しています。
 講座の中では、自動車関連以外でも、原子力施設の管理など高度な技術を要する分野、人のスキルに頼るノウハウをAIなども活用して技術の蓄積を可能とし、人口減少や高度人材の確保などに貢献できる事例などについて説明を受けました。

 3年間の寄付講座開設中に、どのような効果が得られるのか、興味津々です。
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先端技術の国際展示会と子どもたち

2024年10月29日 | 議会活動
令和6年10月29日(火)

 24日と25日の2日間、富士市の総合展示場「ふじさんめっせ」にて、「ふじのくにセルロース循環経済国際展示会」が開催され、国内外から123社が出展しました。この展示会は、世界でも最大級との評価もあります。
 主催は静岡県と富士市で、国内最大のCNFなどセルロース分野での先端技術に関連する催しです。








(開会式ならびにセルロースを使った自動車試作品の披露)

 私は、静岡県がCNF(セルロースナノファイバー)技術を応用し、県内に新産業を起業していく施策に取り組もうとしていた時期の10年ほど前から議員の立場で関わってきました。私自身が関心を持ったきっかけは、第2次安倍内閣が提唱した「日本再興戦略」に記されたCNF分野の記述でした。私の思いと県の施策が一致したことが関わりの始まりです。
 当時は、地元の基幹産業である製紙業の将来に不安を感じていた時期で、素晴らしい技術を保有しながら、国際競争力などに陰りがあり、これまで培ってきた地域にある蓄積技術を活用することができないか思案していた時期でした。

 新素材の原料となる植物由来の繊維(セルロース)は、製紙の原料である木材で、地元の富士山麓には広大な森林があり、これが原料となって製紙業が発展してきました。また、地元には様々な産業分野が展開しており、新素材を使って製品化していく企業が多く集積しています。このような好条件が静岡県を、中でも地元富士市がそのメッカを目指すことは将来に明るい展望を見通すことができます。

 取り組み当初は、いつ実現できるか夢のような話しとか様々な声もありましたが、この10年間の歩みは想像を超えるものがあります。私も全国各地で先行して取り組む大学や研究施設、行政などを訪ね、その調査した成果を本県議会の場や知事および担当部署と共有して取り組んできただけに、その時々に出会った県内外の関係とは、今回のようなCNF関連事業の場で会うたびに話題になり、互いに共感しています。

 本県は新たな知事を迎え、新産業分野にも力を注いでいくことが期待されています。彼は、スタートアップの普及に力を入れており、私も先頃閉会した県議会9月定例会では、CNFのような県が取り組む先端産業分野の普及に、スタートアップをどう絡めていくのかという質問と提言をしました。その場面でも、考え方を共有することができました。
 今展示会では、14社のスタートアップが参加しており、私はこの中の多くのブースを訪れ、情報交換させていただきました。彼らの参画により、セルロースを活用した産業はさらに広がる可能性を実感しています。

 この分野はようやく産業化に向けて動き出したものの、まだスタートに立ったばかりと言っていいのかも知れません。展示会では、多くの可能性を実感し、期待しています。

 さて、今回の展示会では、この分野に取り組んでいる大学の学生や、地元の中学生、小学生などが見学に来ていました。彼らには、先端技術に触れて自分たちの将来にどのような思いを抱いたのでしょうか。
 各ブースでは、彼らが熱心に説明を聞き、質問する姿が見られました。自分たちの住む地域がこのような新産業の集積地の可能性を持っていると実感できたならば、将来はこの道に進むための希望も芽生えたのではないかと想像しています。

 世界規模の取組は、首都圏など大都市で開催されることが多い中、地方都市で頑張っている姿は、地方創生の象徴のようにも感じました。これからも、しっかりと応援していきたいと思います。
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衆議院選挙終わる

2024年10月28日 | 議会活動
令和6年10月28日(月)

 衆議院議員選挙が終わり、政権を担っている自民党・公明党所属議員数は過半数割れの結果となりました。大きな政治の節目となる今回の選挙結果は、地方政治に関わる一人として、今後の動きを注視していかねばなりません。

 この選挙結果は、当初から言われていたとおり、裏金問題、政治とカネに国民の多くが厳しい判断を下したと考えています。この問題をうやむやにしてはならず、新たなスタートにあたり政治改革の断行を強く求めたいと思います。

 国政選挙の結果は、地方政治にも大きく影響してきます。私は自民党所属県議会議員ですが、本県政のトップである知事とは野党勢力に位置し、県議会定数の過半数を私の所属会派で占めています。いわゆるねじれ状態ですが、このような状況においても知事に対して、常に反対だけを唱えるのでなく、是々非々で議論してきました。6月に交代した知事とも同じ環境にありますが、そのスタンスは変わらず、現在は大きな対立もなく県政が動き始めています。

 前知事時代に私が経験した政権政党とそこに所属していた議員としての強みを感じたことがあります。令和2年から始まったコロナ禍において、県全体が混乱していたときに、私は、自民党県連政務調査会長を仰せつかっていました。
 院内感染などによる医療の崩壊や介護現場の混乱、観光や暴林水産業も大打撃を受け、地方では対応できない課題が噴出しました。多くの分野から様々な支援要請が届けられ、政調会や各業界団体と連携している議員連盟などを通じて、知事に対し支援を求めましたが、そのための財源の確保や、国が取り組む支援策の使い勝手や効果などについて改善を求めるための現場の意見を伝えても、知事から国につなげることに歯がゆさを感じたことがあります。

 県を代表する政調会長としてできたことは、党幹部とのオンライン会議に参加し、地方の実情を訴えることや、党所属国会議員などを通じて、様々な要望を聴いていただくことや情報の収集などにあたりました。
 その効果は大きく、県に代わって政治のラインで窮地を乗り越えることもできたと考えています。この動きに関しては、県の担当部署との情報交換を行い共有しながら進めてきました。今後も、政権がどうなろうとも、この体制を維持していかねばなりません。

 今、日本を巡る安全保障や経済が大きな岐路に立たされています。喫緊の課題として取り組まねばならないはずの人口減少対策も一向に改善が見えてきません。このことは、どの政権になっても変わらない課題であり、この課題解決について早急に対応することが求められています。
 今回の選挙では政治とカネ問題が台頭し、先ほど触れたような政策について十分浸透仕切れなかったようにも感じています。国政の混乱を早く収拾し、地方の現状にも目を向ける政治を期待します。
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福井中学生殺害事件で再審決定

2024年10月27日 | 議会活動
令和6年10月27日(日)

 1986年に福井市内で発生した女子中学生殺害事件において、殺人罪で懲役7年が確定し、服役した前川さんの第2次再審請求審で、名古屋高裁金沢支部は再審開始を認める決定をした報道が流れました。
 静岡県内では58年ぶりに再審で無罪が決定した袴田事件があったばかりで、冤罪が認められるまでにこんなに長い時間がかかるのかと理解に苦しむものでした。

 袴田さんのケースでは、1980年11月に死刑が確定し、弁護団が裁判のやり直しを求めましたが、最高裁まで行っても請求が認められませんでした。再び、2008年に証拠に疑義があるとして再審を求め、それが認められて静岡地裁は2014年に再審開始を決定しました。今決定は東京高裁により再審が認められず一度は取り消されたものの、2023年3月に最高裁は審理が尽くさなかったとして再審が認められました。

 以前のブログでも取り上げましたが、再審には長い時間がかかり、さらに本人が高齢化することでその決定を待つのは過酷なことだと感じています。
 この問題を解消するためには、再審法の改正が必要と考えることから、静岡県議会でも「再審法改正」の意見書を今年2月に全会一致で採択し、国に提出しています。

 再審とは、「確定した裁判に誤りが見つかった場合に、『裁判のやり直し』をするための手続」のことです。再審を開始するためには、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」とされています。袴田事件では、新たな証拠として見つかった当時被告が身につけていたという衣類資料をこの根拠として再審が始まりました。
 新証拠の「明白性」の判断は最高裁判例昭和50年5月20日の「白鳥決定」があり、確定判決を下した裁判所の審理中になかった新証拠の影響について判例となったもので、「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が適用されました。今回の判決により、5人の冤罪被害者が無罪となっています。
 しかし、袴田さんの前、4人目の無罪判決以降はこの再審が激減し、その背景には法の不備が明らかになってきました。その理由には、裁判所ごとの『再審格差』が生じており、再審請求段階における証拠開示手続規定の不存在があり、証拠開示は担当裁判官次第で、開示が遅れることで審理が長期化していることがあります。
 また、再審開始決定に対し、繰り返される検察官抗告(不服申し立て)による長期化も問題となっています。
 加えて、裁判の長期化になった場合、元被告人本人や再審請求人となるその家族が高齢化し、早期の再審が進められることが望ましい理由です。

 福井の事件では、証言にうその疑いがあることを理由に再審決定しています。今後の動向に注視したいと思いますが、国会でも再審法改正に向け動きがあるようで、真実を明らかにするために、手続が速やかに進むことを願うばかりです。
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