鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

空き家対策が厳しくなりました

2024年07月31日 | 議会活動
令和6年7月31日(水)

 近年、空き家問題が深刻になりつつあります。地域の会合やお祭りなどでお会いする住民の皆さんからは、空き家が増えて問題視する声が聞こえるようになりました。

 本県の実情について6月定例会の資料によれば、4月30日に総務省が発表した「令和5年住宅・土地統計調査(速報値)」によると、静岡県内の空き家は、約29万戸と前回の平成30年調査より約1万3千戸増加した。
 県では、空き家を有効に活用するため、令和4年9月に「ふじのくに空き家バンク」を開設し、広くて優良な空き家を掘り起こすとともに、バンク登録物件の建物状況調査やバンク登録物件へ移転する方に対して助成している。また、空き家の発生抑制に向けて、市町や民間団体と連携して、空き家所有者に対するワンストップ相談会などを開催していると説明していました。
 これを見ると、空き家の有効活用に力を入れていることと、空き家所有者に対する空き家の管理や取り壊しなどについて支援していることになります。

 私の周りを見ると、「広くて優良な空き家」よりは、「古くて狭く、既に荒廃しそうな空き家」の方が多いようにも感じています。また、高齢化が進み、高齢者だけの世帯や独居世帯が多く、近い将来は空き家となる可能性が高いといえます。所有者が積極的に相談会等に出かけて行くのか、既に空き家となった場合は関係者が遠方に住んでいたりして、所有者としての管理責任について意識が薄いのではと危惧しています。

 国は空き家が増え続けることに対して、大きな危機感を持っており、その対策に厳しく対応する流れが見えます。
 国の説明によれば、今、日本では空き家が増え続けており、使用目的のない空き家の数はこの20年間で約2倍に増加しています。空き家を放置すると、倒壊、景観悪化、不法侵入など様々な悪影響が生じるおそれがあり、大きなトラブルにつながりかねません。

 そこで、そのまま放置すれば倒壊などの危険性が高く、近隣に悪影響を及ぼす空き家を「特定空家」に認定し、市区町村による指導や勧告、解体などの強制執行を行うことができることを定めた「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「空家法」といいます。)が制定され、対策が取り組まれてきました。しかし、特定空家になってからの対応には限界があることから、令和5年(2023年)、空家法が改正され、空き家の除却(解体)・活用・適切な管理を推進するための措置が強化されることになりました。

 空家法では、罰則が適用されたり、強制撤去されたりすることがあります。また、税金の負担が増えます。

 特定空家と認められると、市区町村は所有者に適切に管理をするように「助言」や「指導」を行い、それでも改善が見られない場合は「勧告」や「命令」を行います。所有者が命令に従わない場合、50万円以下の過料に処される場合があるほか、行政による強制撤去等の対応が行われる場合もあります。

 土地や家屋を所有していると、固定資産税などの税金がかかります。ただし、住宅やマンションなどの居住建物の敷地である「住宅用地」には、課税標準(固定資産税等の評価額)を引き下げる特例が設けられています。例えば固定資産税では課税標準が、住宅用地の面積200㎡以下の部分(小規模住宅用地)については6分の1に、面積200㎡を超える部分(一般住宅用地)については3分の1に減額されます。しかし、空家法に基づく勧告を受けた特定空家の敷地や、居住のために必要な管理がなされていない場合などで今後居住する見込みがない空き家の敷地には、この軽減措置は適用されなくなります。
 一方で、空き家とその敷地を相続等で取得した場合、その空き家又はその敷地を売却するに当たって一定の条件を満たせば、所得税・個人住民税において譲渡所得から3,000万円までが控除される特例措置を受けることができます。条件の中には、耐震基準を満たした家屋か、家屋の取壊しをした後の敷地を譲渡すること。あるいは、家屋の譲渡をした後、譲渡をした年の翌年2月15日までに家屋の耐震改修又は取壊しを行うことなどが含まれています。

 まずは、空き家をお持ちになっていることを放置しないで、適切な管理、適切な処置により負担をかけないなど、市町の相談窓口にて聞いてみることをお勧めします。
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最先端技術を展開するスタートアップに接して

2024年07月30日 | 議会活動
令和6年7月30日(火)

 7月25日から27日まで、静岡市にある県のグランシップにて、「TECH BEAT 2024 Shizuoka」が開催され、最終日の土曜日に視察しました。










(会場の様子)

 このイベントは、日本の未来を変える最先端技術を有するスタートアップが一堂に会し、その実体に触れるとともに、スタートアップとの商談や、日本を代表する経営者、学識経験者、ジャーナリストの講演など、刺激溢れるものでした。また、今後、本県とインドとの人材交流が積極的に始まることを踏まえ、IT企業や技術者が台頭するインド関係のブースも出展していました。
 今回は、最終日を土曜日に充て、子どもたちにも最先端技術を体験してもらう企画が初めて導入され、夏休みに入ったこともあり、多くの親子連れで賑わっていました。

 私は、昨年の「TECH BEAT 2023 Shizuoka」を視察し、県がスタートアップ支援に力を入れ始めたことから、それ以降、関連事業には関心を持って積極的に参加するようになりました。
 今年3月に行われた、本県主催の全国から250人以上が応募した「スタートアップ ビジネスプラン コンテスト」は、上位3位が私の地元企業であったこともあり、その縁もあって議員活動の主なテーマとして取り組んでいます。

 訪問したブースを紹介すると、半球状スクリーンと8Kなどの高解像度の映像を用い、人間の空間認知のメカニズムに近い視覚体験をもたらす映像システムや、位置情報を収集・AI分析して最適な物流、人の移動などに活用できるシステム。製造現場などでは欠かせない製品の外観検査をAI活用により自動識別して効率化する画像解析システムなど、AIの活用によるスタートアップを中心に幅広い分野での取り組みに接することができました。
 また、スタートアップを支援する行政や団体等も出展しており、スタートアップの誘致や地域企業とのマッチングなどに力を入れているブースもありました。

 何よりも興味深かったのは、今年度初めて取り組んだ、子ども向けのデジタルアトラクション・知育プログラムの体験です。
 例えば、お絵描き砂遊びといった昔ながらの遊びを、プロジェクションマッピングやAR、画像解析などの最新技術により、スコップで掘り返していくとその様子が砂の上に映像化され、宝探しの遊びができるなど、大人でも楽しめそうでした。また、子どもが紙面に描いたキャラクターが、そのまま立体画像となって動き回るものもあり、子どもたちは遊びを通じて最先端技術に触れ、興味を増していくものと思われます。

 私は、県議会9月定例会において、県のスタートアップ支援等について一般質問に登壇する予定で、今回はそのネタ探しの意味を込めて訪れました。会場で出会った多くの関係者からは、様々な情報をいただき、より充実した質問が期待できそうです。
 知事は所信表明でもスタートアップに大きな期待を寄せており、彼なりの構想もあるようなので、しっかりとその考えを質していきたいと思います。
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地ビールとオリジナルウイスキーで地域おこし

2024年07月29日 | 議会活動
令和6年7月29日(月)

 三島市と沼津市、静岡クラフトビール協同組合は、「東駿河湾クラフトビール地域循環共生圏推進協議会」を立ち上げており、その関係者からお話を伺う機会がありました。いわゆる地ビールで地域おこしが行われており、その製造過程で出る残渣(モルトかす)の再利用や、ワーケーションにもつなげる取り組みです。

 1994年の酒税法改正により、地ビール製造が解禁となり、静岡県内では各地で様々な小規模ビール製造所が誕生しています。
 本県は、ビールを造る環境として、豊富できれいな水があり、原料となる農作物、市場としての関東や関西方面などとの繋がり(人流も)の良さがこの普及の後押しとなっているようです。
 主原料はホップや大麦ですが、国産で揃えるのはまだ十分ではなく、輸入品に頼っているとも聞いています。しかし、地ビールの風味の特徴を出すためには、果実や野菜などを混ぜることによりその微妙な違いが出るといい、地ビールはまさに製造される地域の材料が独特の風味を出しています。
 県内では柑橘類が多種生産されており、これらの活用が県産地ビールの特性にも生かされています。

 消費については、市場に出荷しているものもありますが、多くは製造したその地域で消費されており、地元の料理などと同様、その地に行かなければ味わえないものも少なくありません。
 このことは、観光振興において、地域の独自性を表しているものであり、地ビールを楽しむことを観光の一つの目的として訪れる人も増えているようで、それぞれ特徴のある地ビールがエリア内にいくつもあることで、誘客への大きな効果を上げているようです。

 説明していただいた関係者からは、「静岡クラフトビールマップ」をいただき、その中身を見たところ、予想を超える数の地ビール製造所が誕生していることに驚きました。私の地元富士市にもあり、一度、飲んでみたいと思います。

 製造過程で出る残渣(モルトかす)は、堆肥として農家に還元し、地ビール製造と連携した農業の環境に配慮したSDGsとしての取り組みにも貢献することになり、その話題性もあります。

 地ビールを製造しているメーカーは、飲食店と一緒になっているような小規模なもので、商店街の古い建物をリノベーションして食事と地ビールが楽しめる場所となっており、地域おこしにも大きく貢献しています。何よりも若い人たちが挑戦している姿に、感銘を受けました。

 このほか、三島市内で初のウイスキー蒸留所を運営する会社にも訪問し、「まちなかでつくるこだわりのウイスキーづくり」について、お話を伺いました。製造品種、製造方法、資金集め、商品の流通など、どれも独自のこだわりと斬新な取り組みです。


(こだわりのウイスキーづくりは、まちなかの古い建物を活用)

 内閣府の関係人口創出・拡大を目指すモデル事業にも選定され、地元外の企業がこの地の良さにこだわり、まちの賑わい等の発展に大きく貢献し始めた事例は、今後の人口減少対策や地域活性化を推進していくための刺激になりました。
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企業立地を積極的に進める県内自治体視察から

2024年07月28日 | 議会活動
令和6年7月28日(日)

 先週末、静岡県議会総務委員会の県内視察があり、県東部地域(小山町、御殿場市、三島市)を視察しました。その中で、積極的に企業立地を推進する小山町の複数のプロジェクトについて触れてみたいと思います。




(視察の様子)

 県に関わる部分では、小山町は、県の「ふじのくにフロンティア推進区域」の指定を受け、工業団地や住宅団地の整備、観光交流人口拡大のための施設誘致等の事業を進めています。このことから「ふじのくにフロンティア推進区域」における企業立地の状況や富士スピードウェイなどのモータースポーツを起点としたまちづくりなどを視察しました。

 小山町は戦略的な企業立地を進めています。既にいくつの大規模工業団地が誕生し、東名高速道路、新東名高速道路にアクセスしやすい地の利を活かし、多くの企業の進出が実現し、あるいは造成工事も終了し、進出企業との交渉が積極的に進めています。

大きく3つのプロジェクトが展開され、
①再生可能エネルギーを活用した産業拠点整備事業推進区域(木質バイオマスや太陽光発電などにより隣接する工業団地に地産地消のための電力や熱の供給など)。

②小山パーキングエリア・スマートインターを活用した地域産業集積事業推進区域(スマートインター周辺に宿泊施設、地場産品販売所等の設置や自動車関連産業の集積、地域の観光資源を活かしたビジネス観光拠点整備)。

③東名高速道路足柄サービスエリア周辺の広域都市交流拠点とした土地利用事業推進区域などがあります。

 どれも特徴的な取り組みがあり、特に①は、複数の工業団地が隣接し合い、それぞれの分野に特化して企業立地が進められており、林業エリア、新産業集積エリア、アグリインダストリーエリア、エネルギー開発関連エリア、食品加工生産エリア、ロジスティックターミナルなどで構成されています。

 視察では、町長が同席し、県と町の連携による工業団地整備などについて自ら質問に答えていました。複数の工業団地がありますが、そのうちの一つ、「富士山麓フロンティアパーク小山」は、県の企業局が整備したもので、10区画あり食品加工生産エリアとして県外から多くの関連企業が進出しています。

 町の積極的な誘致への取り組みには注目すべきものがありました。これだけの大規模開発を町が牽引していくことは決して容易なことではありません。県は、一部の工業団地整備を手がけましたが、多くは町が主導です。
 特徴としては、大規模な工業団地等を全国で広く手がけている民間のデベロッパーとの連携があり、町は用地取得を担っています。また、事業推進の中枢部署に、金融機関からの出向職員がいることです。例えば企業誘致に伴う様々な支援、事業が始まった以降の企業活動に関する金融支援、地元の取引先との繋ぎ役、従業員への支援なども必要になりそれが可能となります。企業の進出後のフォーローは、企業誘致が競合する中においては重要なことです。
 工業団地の中に、新たなこども園も設置されており、働く側への支援や魅力発信も特徴といえます。

 多分野で多彩な企業が進出しており、地域資源の特長を活かした団地整備も特色があります。計画にあたり、大学の学生が地域に入り調査して、それぞれの特長を活かしたアイデアを出してくれたことで、それが実現できたと説明していました。

 県内における経済成長率や個人所得額などは、全県下1位を達成しているといい、首長のリーダーシップも大きな力となっています。県内の同様な取り組みに参考となった視察でした。
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労働生産人口減少に伴う外国人材の雇用について

2024年07月27日 | 議会活動
令和6年7月27日(土)

 24日、総務省は人口動態調査を発表し、今年1月1日時点での外国人を含む総人口は1億2,488万5175人で前年度より53万2千人減少したことを伝えています。日本人だけに限ると過去最大の86万人が減少しました。
 人口減少や少子化が加速し、改めて日本の将来にとって大きな懸念材料が明らかになりました。

 この資料は外国人も含まれており、日本人だけに限ると都道府県では東京のみが微増となっています。一方で、外国人は全ての都道府県で増えており、初めて300万人を超えました。

 国を支えるのは労働生産人口で、人口減少や少子化のほかに、働き方改革などで「働き手」の不足が深刻化しています。それを補うために、静岡県では介護や看護、その他1次産業などにおいて、外国人人材の確保策に積極的に取り組んでいます。さらに今年度からはインドからのIT関連のような高度人材確保に向けた取組も始まりました。

 厚生労働省が発表した資料『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在)』によると、2023年10月末時点で、外国人労働者の人数は2007年に届出が義務化されて以降、最高数となる2,048,675人を記録しました。外国人労働者数は、2013年から2023年の10年間で約3倍も増加しています。また、2022年10月から外国人の新規入国規制緩和は増加の後押しにもなっているようです。

 外国人労働者数が増加している要因としては、①技能実習生の受入れが進んでいる。②政府が推進している「高度外国人材」や、留学生の受入れが進んでいる。③雇用情勢の改善が進み、「永住者」・「日本人の配偶者」といった身分系の在留資格を持つ外国人の就労が進んでいるなどが挙げられます。

 外国人が日本の労働力となることは、期間の長短は別にして、日本で生活することになります。彼らが様々な分野で活躍することから、それぞれの分野毎に就労するための支援がありますが、県としては特定の分野に関して外国人材確保の支援策はあるにしても、全てを網羅しているわけでもなく、共通しているのは生活者としての支援になります。

令和6年度の県の支援策は、
●多文化共生推進事業費(多文化共生意識の定着や外国人県民が安心・快適に暮らせる環境の整備等を行うとともに、学校等で語学指導や国際化の支援にあたる外国青年を招致する。)
●外国人相談体制強化事業(外国人県民からの相談に多言語で対応する「静岡県多文化共生総合相談センター かめりあ」の相談体制を強化し、その運営に当たる。)
●地域日本語教育体制構築事業(外国人県民が地域社会と関わりながら、生活等に必要な日本語能力を身に付けられるよう、日本語教育を推進する体制を構築する。)
●静岡県まるごと「やさしい日本語」推進事業(外国人県民等との意思疎通手段として「やさしい日本語」の普及・活用を図る。)
●外国にルーツをもつ子どもの活躍支援事業(県内に暮らす外国にルーツをもつ子どもたちが、能力を発揮して活躍できるよう、学習機会の提供や支援体制の整備を行う。)

 私は回りに外国人の姿が増えていることを実感しています。自宅の隣にも外国人の配偶者のいるご家族が引っ越してきました。まだ、挨拶程度しか交わしていませんが、隣人として協力しながら生活していくために、更なる交流が深まることを楽しみにしています。
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