令和2年7月31日(金)
7月最終日、今日もまた雨で、このような長い降雨では農業をはじめ多くの社会生活にも影響が出ていることを懸念しています。しかし、この雨があることにより豊かな森が育ち、それがしっかりと管理されていれば、森の持つ力である水源涵養や光合成による大気の浄化、災害防止に役立ちます。とはいえ、現実は厳しく全国に荒廃林は多く、私たちの将来にとって重要な課題となっています。
昨日は、雨模様の天気でしたが、県議会の森林・林業活性化推進議員連盟の一員として、藤枝市にある再生林の現場を視察しました。
(森林再生の現場で、森林組合の関係者から現状について説明を受ける)
(森林組合の活動パンフレット)
(荒廃林もきれいに再生)
静岡県では県民の共有財産である森林の再生を進めるため、県税として「森林づくり県民税」を設けています。これは平成28年度から5年間を一区切りとして始まり、現在2期目で令和7年までとなっています。今年度は令和8年度以降について事業の継続を含め見直しの年となり、これまでの成果や課題、継続の有無についても議論されます。この視察はその検証のための視察となりました。
この事業は、個人県民は年400円を個人県民税均等割に上乗せ、県内法人は年1,000円から40,000円を法人県民税均等割の税率5%を上乗せし、徴収させていただいています。毎年、総額10億円ほどが集まり、個人からは8億円、法人からは2億円が納められています。
この税は全額「荒廃森林の再生」のために使われており、例えば、間伐が遅れた人工林の手入れや、災害にあった森林の復旧、放置された竹林や広葉樹林の手入れなどに活用されます。一番多く投資されてきた事業は人工林再生事業で77%、竹林・広葉林等再生事業に13%、災害対応に9%等となっています。
これまでの成果では、整備した森林面積は浜名湖の3個分16,701ha、草木が地表を覆う面積は15%から75%に増えました。森林内の広葉樹種は6種類が17種類に増え、木材搬出量は平成18年度から平成30年度で木造住宅5,100棟分に相当し、雇用創出効果も他分野からの参入が46社、2,881人となっています。
県の取り組みがある一方で、国民の公共財産という見方もあり、国は昨年度より「森林環境譲与税」を導入し、市町村単位での森林整備を推し進めています。県の森林づくり県民税と国の森林環境譲与税はその役割が重複しないよう棲み分けが行われていますが、二重課税ではないかという意見もあり、今年はその議論も含めて検討される予定です。
今回の視察は、以上のような背景を受けて、森林再生に取り組む「森林組合おおいがわ」の関係者から現状の取り組みや課題、特に本県の森づくり事業について意見等をお聞きするために、現場を視察させていただきました。
私も元々、政治の世界に入ったきっかけは、環境に関連する市民活動からで、特に富士山麓の荒廃林や被災した森林の再生に関わってきたことであり、久しぶりに森林浴を兼ねた視察にリフレッシュできた気がします。