平成29年8月31日(木)
野田総務相は30日のテレビの番組収録で、「アベノミクスの効果が不透明だとして、『今立ち止まって検証するべきではないか』、日本銀行が進める異次元の金融緩和についても、『ある程度効果はあったが、予想を下回っている』と述べ、金融政策を含めた経済政策を総括すべきだとの考えを示した。」と読売新聞が伝えていました。
アベノミクスは、「日本再興戦略(成長戦略2013)」に明記された「三本の矢」、「大胆な金融政策」(第1の矢)、「機動的な財政政策」(第2の矢)、「民間投資を歓喜する成長戦略」(第3の矢)により、持続的な経済成長を実現する政策と説明しています。
これまでに大手企業や都市部ではその効果が表れていても、中小企業や地方では実感がないと言われ、その取り組みもかなり時間が経っていることもあり、国民もその成否について賛否が分かれています。
あらかた、地方では、特に中小企業に関わる人達からは厳しい意見が聞こえてきます。それを代弁するかのように、総務相の発言は「的を得ている」と感じています。しかし、国が政策を立て、その効果を検証することは当然のことで、「うまくいっていないから」検証するのではなく、常に進捗を確認するために、「何が良くて何が課題なのか」は明確にしなければなりません。これは、国ばかりでなく地方行政も同じであり、企業経営も同じです。
さて、静岡県では毎月、「静岡県月例経済報告」を発表しており、静岡県内経済の動向をうかがい知ることができます。
最新の報告書が手元に届きましたので、その概況について紹介します。
平成29年6月を中心とした静岡県の景気は、緩やかに回復しつつある。先行きについては、意欲的な設備投資計画などを背景に、景気回復の動きが確かなものとなることが期待されるものの、生産の回復状況と海外経済の動向に注意する必要がある。
雇用情勢は、改善の動きを続けている。個人消費は緩やかに持ち直している。設備投資は持ち直している。輸出は持ち直している。生産は持ち直しの動きが見られる。と評価しています。
この中で、個人消費については、大型小売店販売額(6月)は、スーパーが2ヶ月連続で前年実績を下回ったものの、百貨店が3ヶ月連続で前年実績を上回ったことから、総額でも、2ヶ月ぶりに前年実績を上回った。
専門量販店等販売額(6月)は、家電大型専門店が4ヶ月ぶり、ホームセンターが2ヶ月ぶりに前年実績を下回ったものの、コンビニエンスストアが12ヶ月連続、ドラッグストアが4ヶ月連続で前年実績を上回ったことから、総額でも4ヶ月連続で前年実績を上回った。
自動車(新車)新規登録台数(6月)は、乗用車が11ヶ月連続、軽自動車が4ヶ月連続で前年実績を上回ったことから、総数でも8ヶ月で前年実績を上回ったなどと報告されています。
県と同じように、市町でも商工会議所などが、四半期毎に地域の経済動向を調査していて、マスコミなどを通じて公表されています。
国は、地方の状況を常に知ることは可能ですから、改めて国がアベノミクスの検証をといっていますが、これまで何をやって来たのか不思議です。
今国民が注視しているのは所得だと思います。平均年間所得が450万円だった時期がある中、今は300万円台に落ち込んでいます。所得が低下すれば景気が悪いと感じるのは普通の感覚です。経済指標が地方でも上向いている中、所得が増えないことが一番の課題と言えます。
このところ顕著に不安定な海外情勢は、日本経済の根幹、株価や円相場に影響を与え、一喜一憂されている企業や国民も少なくないはずです。しかし、私達はもっと足下の経済を注視し、冷静に動きを見ていく必要があるかもしれません。そのためには、地方で発せられる経済情報にもっと目を向けることです。