令和元年8月31日(土)
「自然と人との共存」という表現は、今から20年前、私が初めて市議会議員に挑戦したときのキャッチフレーズでした。当時は、環境教育に関わる市民活動に参加しており、子どもたちの自然体験や廃棄物に関する課題などについて取り組んでおり、この表現を思い浮かべました。
「人と自然との共存」という表現はよく聞きますが、私はあえて、自然への敬愛と人も自然の一部であるという私なりの解釈から、自然を最初に持っていきました。この姿勢は今も変わりません。
さて、このところ自然に対する敬意が薄れているような事案が多くなりました。自然災害の発生場所はその地形が大きく影響し、例えば、軟弱地盤は昔、湿地だったところを埋め立てて造成した場所であることが多いといいます。また、川の氾濫を受ける場所では、もともと遊水機能を持つ、川の流れで処理することができない状態になった時に、自然にあふれ出た水を受ける低地であることもあります。
人口が増え、経済活動が活発化すると、人工的にこれらのリスクを伴う土地も活用されるようになり、災害の発生が懸念される状況となりました。津波の影響もしかりで、昔の人が自然と共存し、災害の経験も生かして生活してきた歴史を再度、振り返ることが大切です。
最近のニュースで取り上げられるのが、大規模な太陽光発電で富士山周辺や伊豆半島で目につきます。再生可能エネルギーは地球温暖化防止対策に大きな役割を果たしますが、山林などを伐採し、山が持つ治山・治水、そして温室効果ガスである二酸化炭素の吸収など、重要な役割を果たす機能を失うことと、相反する事業でもあります。
駿河湾特産のサクラエビの不漁も、富士川上流部のダム管理の不備や土砂の不法投棄などで水質汚染が進み、不漁につながるのではということで、その関連について県議会9月定例会でも調査費が上程されています。さらに、富士川流域のアユの遡上が極端に減少し、水質悪化により餌となる藻が生えていないという指摘もありました。
先日、しらす漁を行う漁業関係者から、遠州灘で計画されている風力発電設備が、遠州灘から駿河湾にかけて移動するしらす(イワシの稚魚)への影響がないか調べてほしいという要望もいただきました。
いずれも、持続可能な社会には必要な取り組みといわれながらも、どこかで自然への影響が出ていることは、共通した課題であるようにも思えます。これらの課題を解決しながら、あるいは予想しながら、社会を形成していくことにもっと注意を払う必要があると考えます。