平成28年1月28日(木)
静岡県伊豆市にある自転車競技施設(日本サイクルスポーツセンター)では、2020年東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技開催会場に決定しました。
伊豆半島のほぼ中央に位置するこの施設は、今後、オリンピックに向けた施設改修や、会場までのアクセス道路の整備、交通機関のあり方などが検討されており、また、オリンピックに向けての注目度も上がり、機運醸成に向けて国際大会などが開催されています。
現在この施設の中の一つ「伊豆ベロドローム」(室内競技場)では、「2016年アジア自転車競技選手権大会トラックレース」が開催されています。期間は、1月26日(火)から30日(土)までで、実際の国際大会の競技と会場整備計画について、また予想される交通インフラ整備状況などについて現地視察を行いました。
(修善寺駅で見つけた「アジア大会」の横断幕)
まずは交通アクセス関連ですが、JR三島駅から駿豆線に乗り換え、修善寺駅まで移動し約40分の乗車時間でした。電車は時間を気にせず移動できる手段で、本番でも重要な交通手段となります。
修善寺駅から会場まではバス移動でしたが、駅を出てすぐから途中何カ所かも狭い場所が目につき、同行した県担当者の説明を受けながら、大会時に支障が出ないよう検討が始まっていることを感じさせます。
電車以外の移動手段は自家用車が考えられ、昨年までに完成した「東駿河湾環状道路」を利用し、伊豆中央道を経由して現地へのルートや、伊豆半島東海岸側からのアクセスも考えられます。
現在検討されている3ルートは、バス利用を主体に進められているようで、自家用車はこのルートに入る前に、「パークアンドライド方式」(何カ所の駐車場を用意し、そこでバスに乗り換えて現地へ移動)により、渋滞の解消が図られるようです。
自転車競技は欧米や中東で人気のある競技だそうで、今までの事例では、国家元首や国賓級が訪れることもあり、その場合の対応としては臨時ヘリポートも必要かもしれないとのことでした。
(バスがすれ違いできない交差点)
(会場までは狭い道路が随所に見受けられる)
競技会場については、トラック競技とマウンテンバイク(MTB)は、この伊豆開催が決まっています。
トラック競技は「伊豆ベロドローム」が会場となり、1周250mで床が木製、最大斜度60度のトラックがあります。木製とは驚きましたが、通常の競輪場がアスファルト舗装に対し、木製としたのは摩擦が少ないなどの利点から海外の施設も導入しているとのことでした。60度のバンクを実際見ると「巨大な壁」に感じ、70kmを超える最高速度で疾走する自転車競技では普通だということでした。
大きな課題は観客席の増設があります。現在は3,000名収容ということですが、主催者側は5,000人収容を求めており、「可能な限り要望に応えていく」とのことでした。改装方法などを説明を受けるとともに、この施設が日本の「ナショナルチーム」の公式練習場であり、オリンピックに向けた選手の練習に影響がないよう、工事期間や方法を検討していくとのことでした。
開催中の「アジア大会」競技の一部を見せていただきながら、会場の舞台裏など普段見ることができない、稼働中の施設内を視察させていただきました。
(伊豆ベロドロームの全景)
(説明いただいた大会役員)
(開催中のアジア大会には多くの観客の姿が)
(最大斜度60度のバンクを疾走する選手)
(アジア大会に参加した日本選手のスタートダッシュ)
(全県には静岡県のマークが)
(コースの中央部にある各国選手のブースから)
(競技用自転車はこのようなケースで運ばれる)
(自転車の管理は吊すことで場所を有効利用)
(パラリンピックなど障がい者競技で使う二人乗り自転車)
MTBは、施設の南側の山斜面に新しく設置するようで、このコースづくりを専門とするチームが現地入りし、検討が始まったということでした。オリンピックもテレビ中継で世界に発信されることから、全コースの8割近くが見通せるコースが求められ、コースとなる山麓の森林伐採もかなりあり得るとの説明があり、多少気に掛かる部分でもあります。ただ、コースの向こう側に富士山を望むことができ誰もが絶賛する光景で、私たちも視察時に全く同感を覚えました。
(MTBコースはこの山腹に作られる)
(会前のジャングルジムは県内産杉・檜。会場の向こうには富士山が)
視察後、地元の伊豆市市長との懇談では、「伊豆市は観光業で成り立っているまちで、協議開催中、世界中に伊豆市が放映されることになり、町の発展に大きな効果が期待できる。このオリンピックを是非成功させるよう市として頑張るので、県議会としてもしっかり応援してほしい。」とのコメントをいただきました。
平成28年度予算委は、オリンピックに向けた整備関連費用が盛り込まれることになっており、今回の視察を通じて得た情報を元にしっかり議論していきたいと思います。