鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

北朝鮮による日本人拉致問題について学ぶ

2024年09月30日 | 議会活動
令和6年9月30日(月)

 静岡県議会の全議員を対象とした議員研修会が開催されました。テーマは「北朝鮮による日本人拉致問題に関する現状について」です。講師は、内閣府官房拉致問題対策本部事務局の室長が務めました。

(議員研修会の様子)

 日本人拉致問題といえば、1977年に当時13歳(中学1年生)だった新潟県に住む、横田めぐみさんが、学校のクラブ活動が終わり、帰宅の途中に北朝鮮の工作員に拉致されたことが多くの国民の皆さんの記憶にあると思います。
 拉致から47年の月日が経過しており、ご本人の無事と一刻も早い帰国を望む高齢化したご両親の心中は、想像を絶するものがあると推察します。

 横田めぐみさんの他に政府は、現在、17名を北朝鮮による拉致被害者として認定しています。そのうち、5名は平成14年10月に24年ぶりの帰国が実現していますが、横田めぐみさんをはじめとする残りの12名の安否は不明です。

 これまでの経緯は、平成14年9月17日に、初の日朝首脳会談において、北朝鮮は長年否定してきた日本人拉致を初めて認めて謝罪し、再発防止を約束しています。
 しかし、日本政府は先ほど触れた17名を拉致被害者として認定し、5名(加えて家族も)が帰国できたものの、他の被害者については、未だ安否に関する納得のいく説明はありません。

 北朝鮮による拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、政府は拉致問題の解決なくして日朝の国交正常化はあり得ない姿勢を貫いています。
 政府は、北朝鮮に対し、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全を確保し、直ちに帰国させるよう強く求めており、また、拉致に関する真相解明や拉致実行犯の引き渡しも強く求めています。

 政府は、拉致問題の解決に向け、日本国民が心を一つにして、全ての立ち被害者の一日も早い帰国実現に向け、強い意志を示すことが重要として、「国内向け理解促進活動」、「海外向け理解促進活動」、「北朝鮮に向けたラジオ放送による情報発信」などを行っています。

 国内向けでは、全国各地でシンポジウム、映画、舞台劇などを通じて国民に拉致問題への理解促進活動を行っており、去る9月13日には、御殿場市内において、映画「めぐみ」の上映会を開催しています。
 また、拉致被害者で帰国できた方々を講師に招き、拉致問題の現状を伝える活動なども紹介されました。

 拉致問題は人道上、決して許すことができない重大な問題であり、今回の研修会では、拉致問題の現状を知り、様々な取組について学ぶことができました。しかし、遅々として進まない拉致問題解決は、家族にとってもう一度会えるか会えないか、高齢化が進む中で、深刻さを増しています。

 政府がいうように、私たち一人一人がこの問題を理解し、強い意志を示していくことが重要と感じました。
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袴田事件の無罪判決

2024年09月29日 | 議会活動
令和6年9月29日(日)

 27日、静岡地方裁判所は、犯人とされてきた袴田巌さんの再審無罪を言い渡しました。死刑事件で5人目ということです。判決では、証拠のうち三つを検察を含めた捜査機関のねつ造という判断をしています。今後、この判決を受けて、検察側が不服として控訴するか否かにより確定となります。

 静岡県内で1966年に発生した一家4人の殺人事件という凶悪犯罪は、私も子どもながらに記憶していました。犯人として扱われその後の裁判で死刑判決が出ましたが再審となり、半世紀以上経って無罪判決ということになれば、あまりにも長い時間を要し、裁判のやり方に大きな問題があるのではと多くの人が感じたと考えています。

 再審については、昨年、私が県議会副議長の時に、県弁護士会から県議会として再審法の見直し等について理解と協力をして欲しいとの相談がありました。
 これを受けて、県弁護士会の関係者を講師に招き、県議会議員全員を対象に勉強会を開催し、その後、今年の県議会2月定例会にて、国に対して再審法の見直しに関する意見書を決議し提出しています。
 この時点では、全国を見ても都道府県レベルではいくつかの議会が関心を持ち始めた頃で、本県は早い段階での行動となりました。また、県議会での取組は、県内市町にも影響を及ぼし、多くの市町でも同意しています。

 再審とは、「確定した裁判に誤りが見つかった場合に、『裁判のやり直し』をするための手続」のことです。再審を開始するためには、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」とされています。袴田事件では、新たな証拠として見つかった当時被告が身につけていたという衣類資料をこの根拠として再審が始まりました。

 新証拠の「明白性」の判断は最高裁判例昭和50年5月20日の「白鳥決定」があり、確定判決を下した裁判所の審理中になかった新証拠の影響について判例となったもので、「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が適用されました。今回の判決により、5人のえん罪被害者が無罪となっています。

 しかし、袴田さんの前、4人目の無罪判決以降はこの再審が激減し、その背景には法の不備が明らかになってきました。その理由には、裁判所ごとの『再審格差』が生じており、再審請求段階における証拠開示手続規定の不存在があり、証拠開示は担当裁判官次第で、開示が遅れることで審理が長期化していることがあります。
 また、再審開始決定に対し、繰り返される検察官抗告(不服申し立て)による長期化も問題となっています。
 加えて、裁判の長期化になった場合、元被告人本人や再審請求人となるその家族が高齢化し、早期の再審が進められることが望ましい理由です。

 袴田さんの無罪確定はまだ先とみられますが、私たち県議会も、再審法に関わる意見書を通じて、冤罪について考える機会をいただきました。今後は、法改正等がどのように進むのか、注視していきたいと思います。
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各会派代表質問を通じて

2024年09月28日 | 議会活動
令和6年9月28日(土)

 静岡県議会9月定例会は、各会派の代表質問が終わり、一般質問に移行しています。私は、来週、10月1日に登壇する予定で、これまで登壇した各議員の論戦も参考にしながら、最終の準備をしています。

 さて、代表質問は、各会派を代表してその時々の喫緊の課題を中心に論戦に挑みますが、新知事が就任して2回目の定例会となり、就任時の所信表明や前知事が進めてきた県政との比較をもとに、どのような取り組みになるのか、知事の政治姿勢について質す場面が感じられます。

 代表質問の中から、共通の質問内容について触れてみたいと思います。知事の目指す県政運営の柱に、「県民幸福度日本一」があります。また、防災面では南海トラフ地震対策やこれまで進展が見られなかったリニア中央新幹線工事に関するもの、農業関連では本県を代表する茶業振興、まさに喫緊の課題としてこども・若者に対する施策などが各会派の注目すべき課題として取り上げられました。

 南海トラフ地震については、臨時情報が初めて発せられたことに関し、その時点での対応や、今後の防災対策の進め方として、地震・津波対策アクションプログラムを着実に実行していくとしています。

 リニア中央新幹線工事に関しては、就任以降、積極的に対応しており、大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の実現のために、しっかり取り組む姿勢を示し、かつ、リニア中央新幹線整備後の、現在の新幹線の停車増など、本県のメリットなども予め確認するとしています。

 茶業振興では、好調な海外向けの有機茶栽培などについて、農家にわかりやすく伝え普及することに取り組むとしています。

 こども・若者施策に関しては、国の「こども大綱」を踏まえ、結婚から、妊娠・出産、そして幼少期から青年期まで切れ目ない施策を網羅する「(仮称)静岡県こども計画」を今年度、新たに策定します。
 計画の策定に当たっては、「こども第一主義」の視点に立ち、子ども・若者の意見にしっかりと耳を傾けるため、アンケート調査やワークショップの開催等に加え、場所や時間の制約がなく、匿名で意見を伝えることができる全国でも先進的なオンラインプラットフォーム「こえのもりしずおか」を開設し、幅広く意見の募集している。
 また、これらの意見を反映した計画の骨子案を、県こども・若者施策推進協議会において示し、有識者から、福祉・教育などの専門的知見に基づき、貴重な御意見をいただいたなどと答弁しています。

 知事の答弁中は、かつてのようなヤジもなく、議員全員が静かに聞き入っていました。知事もまだ安全運転中なのかも知れませんが、開会当初の知事議案説明からは、随所に知事の色がしっかりと出はじめており、今後の論戦が楽しみです。
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地元の秋季戦没者慰霊祭に参加して

2024年09月27日 | 議会活動
令和6年9月27日(金)

 先日、地元にある戦没者慰霊祭に参加する機会がありました。愛鷹山の南麓に広がる須津地域には、日清戦争以降、戦地に赴き亡くなられた地元の英霊223柱をまつる慰霊施設があります。
 毎年この時期、地域のまちづくり関係者やその有志で構成する方々が主催し、地元の遺族会を招き、地域内にある複数の寺の僧侶による慰霊が行われています。




(慰霊祭の様子 以前参加したときの写真から)

 今、ロシアによるウクライナ侵攻は2年半に及び、中東においても紛争が拡大するなど、平和と逆行する動きが世界中で勃発しています。中でも、民間人の犠牲者が多いことに驚かされ、全人類の共通の課題として戦争の悲惨さを共有し、一刻も早く停戦を実現しなければなりません。

 日本は大きな戦争を経験し、多くの犠牲者を出してきました。平成、令和になってからは戦争がない時代が続いており、今後もこれを維持していかねばなりません。
 その実現のためには、大きな戦争が多発した昭和の時代に生き、戦争を経験した人たち、遺族の人たちの苦しみや悲しみの思いを後世に引き継いでいくことが重要です。

 戦争を経験した人たちは高齢化が進み、その数が減少しています。私は、年に数回、各地での戦争に関係する慰霊祭などに参加させていただき、戦争の経験者や遺族の皆さんとお会いしてきました。
 会場を訪れ、最初に感じることは、遺族など関係者の参加が年々減少していくことです。そして、慰霊祭が終わった後に、遺族会の皆さんとお話しするときの共通の話題は、遺族会の維持・継続が困難になり、その活動の存続についてです。
 地域によっては、遺族が次世代に引き継ぐ取組をしているところもあるようですが、多くは断念の方向に動いています。

 県は令和4年から、戦争経験者の記憶を残し、それを後世に伝えるための冊子を作成しています。
 先の大戦から80年近くが経過し、戦争体験者の高齢化が進む中で、次の世代に戦争の記憶を確実に引き継いでいくため、一般財団法人静岡県遺族会をはじめ、県下各市町遺族会の御協力を得て、御遺族の皆様の戦争体験を綴った冊子「語り継ぐ思い〜戦没者遺族として〜」を作成しました。
 戦没者家族としての体験、母親から聞いた苦労や平和への想いなど、御遺族の戦争体験をまとめた内容となっています。

 県のホームページには、県内各地の遺族会が執筆した資料が載せられており、誰もが閲覧できます。
 慰霊祭に参加する機会は少ないかも知れませんが、地元の戦争経験者がどのような思いで、戦争の悲惨さや平和の尊さを訴えているのか、多くの方に見ていただきたいと思います。
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秋の行楽シーズンを迎えて

2024年09月26日 | 議会活動
令和6年9月26日(木)

 秋の行楽シーズンを迎え、各地では多くの人で賑わっているのではと推察しています。9月は3連休が2回、10月は1回あり、シルバーウィークとしては短いようにも感じますが、3連休を有効に使って楽しむ計画を立てている方は多いのではないでしょうか。

 令和2年頃からまん延した新型コロナウイルス感染症の影響により、観光県である本県は観光産業に大きな影響が出ました。しかし、感染症法上の分類が5類へ移行した後は、その厳しい状況から脱し、県内各地には多くの観光客が訪れています。
 特に、伊豆や東部地域には全観光交流客の半数以上が訪れており、富士山や温泉などの観光資源がその理由かと思われます。

 県は令和5年度(令和5年4月1日から令和6年3月31日まで)の静岡県観光交流の動向を取りまとめ公表しました。その中から観光レクリエーション客数の動向について触れてみたいと思います。

 本県の令和5年度の観光レクリエーション客数は、1億2,093万人で前年度と比べ、1,360万人増えています。①「学ぶ」(見る・体験する)、②「遊ぶ」(楽しむ・リフレッシュする)、③「触れ合う」(交流する)の3分類で比較すると、それぞれの構成比は、「遊ぶ」48.7%、「学ぶ」32.4%、「触れ合う」18.9%の順となっています。

①「学ぶ」の内訳は、文化・歴史が56.7%、自然が25.7%、産業観光17.6%。
②「遊ぶ」は、買い物が56.3%、スポーツ・レクリエーションが34%、温泉が9.7%。
③「触れ合う」は、イベントが53.2%、季節行楽・行事が46.8%などとなっています。

 「学ぶ」のうち、自然における客数の上位は、河川景観、自然学習・体験施設が100万人を超え、富士登山17万5千人でした。
 文化・歴史では、神社・仏閣が920万人、博物館360万人、動・植物園300万人。産業観光では、観光農林業が130万人となっています。

 「遊ぶ」のうち、買い物ではショッピング店・ショッピング街が1,660万人、複合商業施設1,230万人。スポーツ・レクリエーション施設では、ゴルフ場が370万人、公園298万人、レジャーランド・テーマパーク264万人、プール施設133万人。温泉入浴施設は、556万人となっています。

 
 「触れ合う」のうち、イベントではスポーツ観戦が256万人、音楽・演劇鑑賞が145万人などとなっています。

 旅行客の居住地は、県内が40.2%、関東が35.4%、中部が15.%となっており、前回の調査と比べ県外からの来訪者が増えています。
 リピーターに関しては、4回以上が53.1%、1回が26.6%、2回が12.4%などとなっています。県外からの来訪者に限ると、20回以上が26.3%、10~19回が20.2%、5~9回が18.9回の順位となっています。

 これらの調査は、それぞれに地域、市町ごとのデータもあり、地域の特性により状況は異なります。
 私はゴルフをやらないのですが、改めてプレーヤーから注目される地域ということがわかりました。かつて、静岡空港の活性化において、近隣諸国から就航している航空会社とゴルフ客をターゲットにした旅行商品が話題になった記憶があります。

 県内主要行祭事の状況では、浜松まつりが255万人で1位、私の地元富士市では、毘沙門天大祭が4位で25万人、6位に吉原祇園祭が20万人でした。

 県内観光状況を掘り下げてみると、富士山と温泉以外にも関心の高い観光資源が多くあり、更なる活用に向けて取り組んでいきたいと思います。
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