鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

不適切盛土への対応と課題

2023年09月26日 | 議会活動
令和5年9月26日(火)

 令和3年に甚大な被害を発生した熱海市逢初川土石流災害をきっかけに、不適切盛土に関する課題が大きくクローズアップされ、処理に関する規制等が格段に厳しくなっています。

 この問題は先の大災害以前から存在していたもので、その後の県の調査において、同様な災害が発生する可能性のある不適切盛土の存在が明らかになっています。災害になる前に、これらの不適切盛土に対する安全対策等が急務ですが、その責任を負うべき事業者等の中には、現実に向き合うこと無く、県の指導等を無視して危険な状態が続いている現状があります。このような一部の事案が、真面目に事業を行っている事業者等が同列に見られることは大きな問題です。

 安全対策が講じられなければ、県民に危険が及ぶ可能性もあり、県が事業者等に代わって「行政代執行」という対応をとらなければならないケースも増えています。この代執行には県民の税金が投入され、安全対策を講じた後に責任ある事業者等からその費用を回収することになりますが、そこには大きな課題があると感じています。

 先週、不適切盛土等を所管する部署の担当者から、静岡市内にある不適切盛土への対応のため、「行政代執行」に着手する手続の一環として、この不適切盛土の管理者に対して、近々「戒告」を行うとの説明がありました。
 この不適切盛土は、今年4月に問題があるとして、県から「原状回復命令」が発せられていますが、これに従わなかったことから、「行政代執行」に進める手続が行われるものです。
 この状態が進めば、10月半ばには「行政代執行」が行われる予定で、とりあえず危険な状態は回避される見通しですが、この代執行の最後には、管理者から執行に係った費用を回収することになります。
 説明を受けた県の担当者にその可否について尋ねると、手続上の流れは理解できたものの、回収に向けたメドについては今後、財産等の調査を進めるということですが、命令が発せられた4月から約半年間に、万が一に備えた回収のための事前調査などが行われていないことのようであり、このような事態になる事業者等は「逃げ得」になる可能性もあることから、回収のための体制には問題があるように感じられました。
 「行政代執行」は、とりあえず県が立て替えをして危険の回避を行い、後からその経費等を回収する制度でありながら、回収できないとすれば県民の理解は得られません。

 本県ではこのところ、このような不適切盛土による「行政代執行」事案が増えており、その費用は莫大です。県の負担、すなわち県民の負担が増えていることは大きな問題です。今後、議会の場でこの対応について議論を進めていく必要があります。
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