鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

被災者の立場に立ってできることを

2023年09月15日 | 議会活動
令和5年9月15日(金)

 激甚化する大雨等による水害や土砂流出被害は年々増加し、その対策が急務になっています。これまでは数年に一度、低地などに発生していた水害等も毎年のように被害が出るようになり、これまで一度も経験のなかった地域でも発生することが増え、原因は温暖化等による異常気象が指摘され、特に線状降水帯という言葉を頻繁に聞くようになりました。

 河川の氾濫などによる住宅地の浸水被害は、私の地元でも頻繁に発生し、その時期は4月後半から10月くらいまでと半年に及びます。何度も被害を受ける地域は、低地で周囲からの水が集まりやすく、河川の底よりも低い場所で水はけが困難です。地形的には水害を受けやすい地域といえます。

 浸水被害が発生した時には、現地の状況を調査に出かけ、被害に遭われた住民の皆さんと被害状況についてお話を伺う機会があります。水位はひどいときには私の胸の高さを超え、床上浸水といっても多くの家財が水浸しになり、その被害が甚大で、それが毎年のように発生するとなれば、住民の皆さんの落胆の気持ちは計り知れません。

 このような状況を目の当たりにして、誰もが早期の対策を打つべきと考えるのは当然のことです。河川の整備に関わる県の立場として、これまでも被害状況は十分に認識していますので、国や市とも協議しながら様々な対策を講じています。しかし、その効果が出るのは長い時間がかかる取組がほとんどで、頻度が増す水害被害を受ける住民の理解が得られないのは当然のことです。

 ここ数年、恒久対策はこれまで通り進めるにしても、2~3年で効果が表れる手段、10年位をメドに効果が表れるものなど、短期、中期、長期の段階に分けて対策を講じるようになり、それぞれの対策が講じられてことで、どのくらいの被害が軽減できるかなどのシミュレーションを行い、住民の皆さんにも公開して理解いただく機会も増えました。

 しかし、このような対策に工夫を凝らしても、毎年のように水害が発生する地域への効果はあまり見えてきません。被災地はある程度限られたエリアに限定されており、その地域の救済を優先するために、一歩踏み込んだ対策が求められています。

 先日開催された、国、県、市のそれぞれの担当者と議員が同席した検討会では、その一歩踏み込んだ対策について議論が集中しました。水害発生地域への水の流入を防ぎ、緊急的な排水が可能となる対策が講じられないかです。
 今、国では「流域治水」という手法を取り入れ、水害の発生しやすい地域に関連する広範囲で、行政やセクションの壁を越えて、住民の力も得ながら、総合的な視点での対策を講じることです。
 今回開催された会議では、まさにこの考え方が中心となって、互いが持つ機能の連携を強化し、被災者の立場に立って集中的な効果的な対策を講じることができないか議論しました。
 例えば、排水施設は常設でなくても、国や市が所有する可搬式ポンプの機動的活用や、農地の一時的な調整池利用などで、その環境整備や農地利用の補償など、それを実現するための支援制度や事例などの調査を行うことで一致しています。
 技術的な調査も必要で、河川を管理する県や地域内を流れる小さな水路を管理する市なども連携し、効果的な対策を進めていくことになります。

 この実現には様々な課題も生じていくのは想定できますが、短期よりもさらに緊急的に対策を講じることができるか、ここは政治と行政のそれぞれの責任が問われる場面だと考えています。
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