鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

海外駐在員が見た原発処理水の海洋放出に対する現地の反応

2023年09月23日 | 議会活動
令和5年9月23日(土)

 福島第一原発処理水の海洋放出に関する中国の対応が注目されています。国際原子力機関(IAEA)の科学的な根拠に基づく対応にもかかわらず、冷静な判断が揺らぎ、日本からの水産物の輸入が止まるなど、その影響は今後も続くと思われ、見通しは立ちません。

 そのような状況は、マスコミの報道などを通じて現地の反応を知ることができますが、本県の中国や韓国に滞在する駐在員から、彼らから見た現地の反応についてレポートが届きましたので紹介したいと思います。

 中国では、現地の国営通信社の報道として、「日本の汚染水が、果てしない被害をもたらす」との社説を掲載しました。その中では今後、日本が数十年にわたって核汚染水を海洋放出する中、「処理システムの寿命や信頼性に懸念」、「トリチウムやその他核種の総量は驚異的」で、「長期的な環境・生物学的な影響が評価できない不確実こそ最大のリスク」と解説しています。IAEAの評価には懐疑的な様子もうかがえます。これが中国国内の一般的な認識のようです。

 このような報道を受け、現地のSNSでは、いわゆるフェイク情報が流れており、これらをきっかけに日本への迷惑電話がかかっているほか、日本人学校への投石など、一部個人による反日行動は見られたようですが、デモや大規模なうねりには転じていないとし、現地生活への影響は限定的のようです。

 経済や観光への影響ですが、駐在員が関わる活動では、旅行会社へのヒアリングとして、日本ツアーの半数近くがキャンセルになった。海外個人旅行よりも低価格の団体旅行、直近よりもキャンセル代不要の先日付のツアーの影響が大きく、この状況は2~3か月続くと予想しているようです。
 県駐在員事務所が現地の日系デパートで旅行会社主催の観光・物産展に出展したそうですが、処理水排出直後ではあったものの、来場者数も販売状況も好調だったと報告しています。現地では、処理水は心配だが日本人全体が悪いわけではないという論調が増えつつあるということで、人的往来の回復に伴い、相互理解が進むことを期待したいと結んでいます。

 韓国では、最大野党が政争の具として大いに利用しているが、韓国政府は冷静に対応しており、極端な反応は起きていないようです。例えば、処理水放出後は水揚げ国に関係なく、水産市場の検査を毎日実施し、その結果をウェブサイト等で公開して市民の心配を取り除く努力をしている。水産市場への客足は、むしろ放出前の前週より増えているようで、韓国民の冷静さがうかがえるとしています。

 お国柄の違いが出ているようですが、今後も長く続く処理水の放出であり、日本は科学的な根拠に基づき検査等を実施し、情報の公開などを通じて不安を払拭する努力を続けていくことが重要です。
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