何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

先発医薬品を「ブランド品」に準える

2008-02-17 23:09:47 | よくわからないこと
 ある卸系の販促誌に、今春からの診療報酬改定を前に、「(ジェネリック医薬品は)ブランド品消費大国に馴染むでしょうか?」と、日本人のブランド志向という感覚にジェネリック医薬品は似合わないと、使用促進に冷ややかな記事が掲載された。使用促進が進まないおそれを懸念したというより、筆者自身もジェネリックには好意的ではないような印象を受ける。

 ところでブランド(品)とは何か。非ブランド品との違いは何か。

 贋作なら、模倣品でありブランドと偽って消費者を騙し、犯罪性がある。ジェネリックはそれとは違う。
 衣服や鞄、食品などを例に、ブランド品と非ブランド品の違いを考え、それがどこまでジェネリック医薬品にも外挿できるか考えてみよう。

 非ブランド品は、衣類や鞄の場合、外見的に魅力に欠ける(主観的評価)。食品なら、見た目の違い以上に、口に入れた際に、明らかに味や香り、食感等が異なる。どちらが旨いかも主観だが、食べ比べてみたら、おそらく大差がつくのではないだろうか。

 ジェネリックはどうか。薬は、そもそも外見は本質ではなく、それほどおしゃれセンスは重要とされない。目隠しして、先発医薬品と後発医薬品と飲み比べたら、どちらが先発品か多くの者にわかるのだろうか。誰もが認めるほど、効果に明らかな違いがあるのか。

 衣類や鞄のように、持っていることを誇示して、周囲もブランド品だとわかり、うらやましく思うのか。先発品しか飲まないのも、一種の“セレブ”のように扱われるのだろうか。

 本物を知らない人は、それが先発品だよ、と言われれば、へぇーそうなんだ、と思って受け入れるだけのことだろう。後発品だと言わなければ、誰もわからないのではないか。薬の場合、品質や機能、外観の良否とは無関係である。単に、どちらが先に世に出たかどうかの違いにすぎないように思う。

 好んで先発品を飲む人は、優越感というよりも、自己満足や安心感はあるだろう。ステイタスも感じるのだろうか。人前で服薬していたら、「あ、先発品を飲んでいる」などと羨望の眼差しで見られるのだろうか。食品のような、誰にでもわかるほど、味に格段の差があるわけでもない。

 ジェネリック医薬品は非ブランドであっても、安かろう・悪かろうではあるまい。価格差の分だけ、品質面で劣っている部分があるようには思われない。
 銘柄別収載と一般名収載とで分けられ、銘柄収載でないからブランド品ではない、という程度のことにすぎないようにも思われる。少なくとも、エルメスやヴィトン、プラダのような例を持ち出して、ジェネリックが受け入れられにくい、と危惧するのは勘違いではないかと思う。

 この記事中でとくに解せないのは「複数の病院薬局長に聞いたところ、後発医薬品の品質に対する信頼性が低いため、「医師は患者さんから信頼されない限り、変更不可にするだろう」ということでした」と紹介しているところだ。複数って、2人だけなのか、過半数程度を指すのか、それ以上の確率を指すのか、あいまいである。少なからず、ある一定の多さで、そういう薬局長がいるのだろうか。
 
 その薬局長のいる病院では、信念を持ってブランド化を進めてもらいたい。信頼性が低いことを、大きな声でもって訴えていってもらいたい。ジェネリック全般を対象に、どのような理由からそう言うのか、教えてもらいたい。
Comments (2)
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リーダーのためのとっておきのスキル

2008-02-17 15:06:43 | Book Reviews
「リーダーのためのとっておきのスキル  石田淳・著、小阪裕司・監修、フォレスト出版・発行、2005年12月20日

p.41 アベレージ以上の社員は、仕事に対して「want to」(したい)の姿勢を持っています。「仕事が好き」「会社も好き」「だから仕事がしたい」という積極的な動機です。これに対して、アベレージ以下の社員は「have to」(ねばならない)の姿勢で仕事をしています。叱られるから仕事をしなければならないという消極的な動機しか持っていません。

p.85-7 「have to」社員というのは、叱られるから仕事をしなければならないと考えている人です。叱られることは不快を避けるためにいやいや働くのです。「叱られないためにはどうすればいいか」、そのことしか頭にありません。

 行動に賞賛を与える方法は「want to」社員を作り、だめなところを叱る方法は「have to」社員を作るのです。
 全員を「want to」社員に変えるためには、その行動を分析・分解し、具体的な行動のレパートリーとしてローパフォーマーたちに与える必要があります。この作業を「シェイピング」と言いますが、ハイパフォーマーの行動をモデル化して真似させるわけです。うまくできたら必ず賞賛を与えます。

p.56 叱ったり褒めたり、部下をマネジメントするには「行動に焦点を当てることが絶対条件」です。明確な基準をもとに叱ったりほめたりする必要があり、その基準とは「あるひとつの行動をしているかどうか」です。必要な行動をした部下をほめ、必要な行動を学ぼうとしない部下を叱責する。基準をはっきりさせないと、叱ることもほめることも逆効果です。

 褒め方、叱り方にもコツがあるということのようだ。叱るにもスジが通っている必要があるのだろうし、叱るスイッチの入り方にも一貫性のようなものを持つとよいのだろう。

p.59-60 報奨としてお金を与えるなら、お金をどの行動に結びつけるか。
 もし保養所の使用を報奨に利用するならば、
「トップ社員になったら保養所を使ってもいいよ」
このやり方では効果は得られません。報奨と行動が結びついていないからです。
「○○の行動をした人は保養所を使っていいよ」
というふうにやれば効果があります。

p.79 成果を得るためには、まず行動の内容を明らかにしなければなりません。そしてトップ社員とアベレージ社員の行動を比較し、どこが違っているか見極めます。詳細に比較するためには、「行動の分解」という作業が必要になります。

p.108 あなたが「簡単だ」「常識だ」と思っていても、「できない社員」や「新人社員」にとっては、何のことやら分かりません。単純で常識的と思われることでさえ、経験のないことを突きつけられるとどうしてよいか分からなくなるのです。

 何をどのようにしたらよいか、わかっているようで、その中身を噛み砕いて分析し、解説を加えながら説明することで、その後、確実な行動が果たされるようになる。

p.136-7 人の行動を変えさせる方法として、成果を挙げたらほめることはもちろんですが、成果を挙げるために努力したことを認め、その労をねぎらうのです。
 とくに新人は、教育期間中ほど成果らしい成果を挙げることもできませんから、一つ行動するごとに労をねぎらってください。「ここができたのか、よくやったな」とねぎらうと、「認めてもらえた、理解してもらえた」と感じて嬉しくなります。その嬉しさは次の行動を生む動機づけとなるでしょう。

 行動を、取り組みを行うことは重要なことであって、いかなる結果もそれなくしては始まらない。すなわち、行動が確実に行われたら、褒められ、ねぎらわれる意味がある。

p.141 ねぎらいの気持ちとは「相手の人間性を尊重し、努力を認め、心から感謝すること」です。口先だけでおだててやらせることとは本質的に違います。ねぎらいの言葉もマニュアル化して、「部下の操縦術」のように使っていると、部下から「うまいことおだてやがって」と思われたが最後、あなたの言葉には二度と心を開いてくれないでしょう。

p.145 部下が何か行動をしたとき、その労は必ず認められなければいけません。行動を起こさせるための仕掛けの目的は、あくまで「行動を快につなげること」です。

p.155 ミッションというのは「会社が果たすべき社会的使命」を意味します。理念と言い換えてもいいでしょう。何のためのビジネスか。これは社長が考えて決めることです。
 ヴィジョンとは、「全員が得られるごほうび」です。ミッションの達成途上で到達すべき中間目標を定め、そこに到達できたら実現するごほうび、とでも言いましょうか。

p.174-5 マネジメントに当たって注意すべきポイントのひとつが、できるだけお金をかけないこと。事業の目的は利潤の追求です。人材育成に経費をかけることは、せっかく上げた利益を減らすことにほかなりません。いかにコストをかけずに育成するか、それが正しいマネジメントのあり方です。
 お金をかけるマネジメントは本末転倒です。「経費とのバランス」というテーマを見失うことなく、正しい手法を選んでください。

 問題はここで、人材育成にできるだけ経費をかけない、という考え方はにわかに受け入れる気になれない。
 「必要以上に」とか「全体のバランスを考えて」というのなら、まだよい。誰も無条件に、湯水のように、バランスも考えず、そのようなことなどするわけがない。
 「できるだけ経費をかけない」のではなく、「少なくて済むにこしたことはない」が、「人材育成は組織の発展には重要な部分であり、ケチケチしたり、少しでも減らそうなどと最初から考えない」という意味であるのなら、ここの表現は言葉足らずだろう。
 経費の話を持ち出すと、マネジメントも、とかく「経費削減」が先行し、マネジメントや人材育成が二の次になる恐れが高く、無意味にお金をかけないまでも、必要であれば十分な投資をすべきである、ということを併記すべきではなかったか。


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