新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

オオルリソウ:大瑠璃草(花は小さい)

2011-07-08 18:52:38 | お知らせ」

散歩道沿いにオオルリソウ:大瑠璃草(ムラサキ科オオルリソウ属)が、名の通り瑠璃色の小花をつけています。
山地の草地に生える2年草で、茎には下向きの短い毛があり、触るとざらざらします。
茎の上部で枝分かれし高さは60~90㎝になります。
7~8月、青紫色で直径は4㎜ほどの花をつけます。果実の分果にはかぎ状の毛があり、他物にくっついて散布されます。
よく似たものにオニルリソウがありますが、葉はオオルリソウに比べて薄く、まばらに毛があり、茎には長さ2㎜程の開出毛があり、花序が長い枝状にのびて、オオルリソウよりもまばらな花つきになることなどで区別されます。

フトイ:太藺(イがつくがイではない)

2011-07-07 13:52:04 | お知らせ」

イより太いというのでこの名があるフトイ:太藺は、イグサ科のイやクサイ(昨日、一昨日記事)とちがいカヤツリグサ科ホタルイ属に属します。茎が丸いのでマルスゲの別名もあります。
池や沼などに生える多年草で、高さは1~2mになります。茎は柔らかく、直径1~2㎝、葉は退化して葉鞘だけになっていて目立ちません。
花は夏から秋、花序は小穂をつけ、長さ4~7㎝くらい、基部に1個の苞があり長さ1~4㎝。果実は5~6本の棘針状花被片をともない、平凸レンズ状になります。

クサイ:草藺(靴の底で広がる)

2011-07-06 13:39:07 | お知らせ」

クサイ:草藺(イグサ科イグサ属)は、山野の湿ったところにふつうに生える多年草で、オオバコと同じように、種子が水にぬれると粘るため、人のふみ跡などによく見られます。
茎は円柱状で高さ30~50㎝、葉は扁平で茎より短く、幅1㎜程で、葉の基部は鞘状になって茎に巻きつきます。
花期は6~9月、茎の先端に多数の花が集散状につき、花序の基部には葉状の苞が数個あり、最も下の苞は花序よりもはるかに長く伸びます。
原色牧野植物大図鑑ではクサイをアメリカ原産としていますが、日本帰化植物図鑑では、アメリカクサイというのが載っており、在来種のクサイとの区別は葉耳が発達しないだけで、種として区別できるか不明とあります。素人としてはあえて区別するほどでもなさそうです。

イ:藺(一番短い名)

2011-07-05 17:42:39 | お知らせ」

最も短い名の植物で知られているイ:藺(イグサ科イグサ属)は、日本各地に分布し、山野の湿地に普通に生える多年草で、茎は円柱形で高さ0.7~1m、下部に鱗片状に退化した葉があり、根茎は横にはいます。
かつて茎の髄で燈心をつくったのでトウシンソウの別名があります。
6~9月、茎の先端に多数の花が集散状につきますが、花茎と同形の苞の、最も下の苞が上に直立して伸びるので、花序は茎の途中についているように見えます。
イグサともいわれ、畳表に使われるのは、イの栽培品種です。
ちなみに最も長い植物名は海藻の一種の“リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ(竜宮の乙姫の元結の切り外し)”だそうですが、こちらは実際にはアマモ(海藻)で通っているようです。

トウグミ:唐茱萸(ビックリグミの母種) 

2011-07-04 17:32:35 | お知らせ」

トウグミ:唐茱萸(グミ科グミ属)が、赤い実をたくさんぶら下げています。
本州近畿地方以北の人里近くから山地の林内に分布し、庭木としても植えられる落葉低木~小低木で高さは2~4m、若枝に赤褐色の鱗片があり、若い葉には銀白色の星状毛があります。4~6月葉脇に淡黄色の筒状の花を熟します。
6~7月、長さ1.5~2㎝の果実を赤く熟します。果実はナツグミに比べて大きく、枝に棘はありません。ナツグミは葉の表面に鱗片毛があるのに対し、トウグミは星状毛であることでも区別されます。
なまえは中国から渡来したものと考えられたことによります。
よく見られるビックリグミは、ダイオウグミの別名で、トウグミの果実の大きいものから選別され、果樹として栽培されるようになったもので、果実の長さは1.5~2.5㎝と一段と大きく熟します。

シロバナムシヨケギク:白花虫除菊・除虫菊(消えた蚊取線香の原料)

2011-07-03 12:17:01 | お知らせ」

“日本の夏、金鳥の夏”がやってきました。渦巻き蚊取り線香を見ると思い出すのが高校の3年間を過ごした和歌山県の箕島(現有田市)のことです。
当時、ここには金鳥の大日本除虫菊(株)のほか、いくつも除虫菊関係の会社・工場があって、女工さんが手作業で器用に渦巻き蚊取り線香を作っていました。
箕島と除虫菊の関係は、除虫菊を初めて日本に導入して、瀬戸内海地方を中心に各地で栽培を始めた大日本除虫菊(株)の創始者上山栄一郎が、箕島出身であったからです。
「金鳥」「KINDHO」ブランドで知られる同社の商品の金色の鶏マークをよく見ると、その中に創始者“上山”の名が今もついています。
除虫菊といわれるシロバナムシヨケギク:白花虫除菊(キク科ヨモギギク属)は、胚珠部分にピレトリンを含み、殺虫剤として大いに利用されましたが、類似の化学合成品のピレスロイドが開発されてからは、急速にその座を譲り、栽培地で初夏の風物詩といわれた一面の白い除虫菊畑も、今ではわずかに倉敷の因島、向島などで種子採取や観光用としてのみ残っています。
ある薬科大学の薬草園で見た除虫菊の花は、観賞用としても見るに堪える美しさですが、一般に見られないのは、名前のせいなのでしょうか。

ケテイカカズラ:毛定家蔓(こんなのもありました)

2011-07-02 15:00:21 | お知らせ」



何十年もつづいていた謡曲の稽古も、植物観察にはまって以来、いつしか疎遠になってしまいましたが、謡曲に取り上げられている植物は多く、まつわる話の例として格別の思いで記事に取り上げたりしたものです。
テイカカズラ:定家蔓(キョウチクトウ科テイカカズラ属(05年6月9日記事))もそんなひとつでした。そのテイカカズラの仲間にケテイカカズラ:毛定家蔓というのがあり、それも普通にみられるということを最近知りました。
ケテイカカズラは、名の通り葉の裏面や、花柄、若茎などに毛があり、また花筒の基部の細い部分と、上部の膨らんだ部分の長さがほぼ同じであるのに対して、テイカカズラは上部の太い部分が明らかに短いことで区別されます。また、テイカカズラは花弁の基部が巻き込んで筒のように見えるのに対して、ケテイカカズラは基部が巻き込まないので広く見えるなどの違いがあります。写真ではその違いが出ているでしょうか。
知らなければ見逃すことも、知ったがゆえに違いが気になる植物がまた一つ増えました。


キササゲ:木大角豆・木豇(漢名に迷う)7月1日

2011-07-01 13:16:55 | お知らせ」

東海道自然歩道を茨木から高槻へ抜ける林道沿いの谷筋に群生する気になる木がありました。ササゲに似た30㎝ほどもある果実を多数垂れ下げているのでキササゲ:木大角豆・木豇(ノウゼンカズラ科キササゲ属)には違いないのですが、問題は花を見ていないのでキササゲなのかアメリカキササゲなのか分からないことでした。
公園で見て花の時期と思って行ったとき蕾、2回目で初めて薄黄色の花に出会い、キササゲだと確認しました。
両種とも日本の自生種ではなくて、キササゲは中国原産ですが、万葉集にも出てくるという古い渡来種で、古くから薬用や観賞用に植えられ、今では野生化もしています。6~7月枝先に淡黄色で、漏斗型の花を円錐状につけます。
中国名は梓樹、長いさく果は生薬で梓実といわれ利尿、解毒などの薬になります。梓は日本ではカバノキ科のアズサ〈ヨグソミネバリ〉を指しますが、本来はキササゲの同属別種のことです。アメリカキササゲは北アメリカ原産で明治時代に渡来したといわれ、花が白色で内側に紫色の斑点があることで区別されます。
以前にも書きましたが、キササゲは漢名では木偏に秋で楸〈シュウ〉です。面白いことには木偏に冬の柊〈ヒイラギ〉もおなじくシュウと読みます。
俳人の加藤楸邨は、はじめ柊村(しゅうそん)と名乗っていましたが“とうそん”と読むひとが多いので、楸村、木がごたつくので楸邨にしたといいます。一方、昭和の歌人宮 柊二はそのまま“しゅうじ”です。
ついでに木偏に春の椿でツバキを指すのは国字で、中国ではチン、センダン科のチャンチンを指し、椿は山茶と書きます。
木偏に夏の榎をエノキに充てるのも国字で、中国ではカ、檟とも書き、“ひさぎ”すなわちキササゲを指します。中国では楸も榎も同じキササゲとなります。(ひさぎはアカメガシワの古名ともいわれます)
木偏に冬をヒイラギに充てるのも国字で、中国ではショウガの1種で葉は芭蕉に似る、とあります。
木偏に春・夏・冬の3字は、本家の中国よりも、日本の国字の方が季節感で優れている気がします。