新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

オクチョウジザクラ:奥丁子桜(北国に咲く)

2009-05-15 20:55:55 | 植物観察1日1題

赤倉温泉池の平のいもり池のほとりに背の低いオクチョウジザクラ:奥丁子桜(バラ科サクラ属)が咲いていました。萼筒が長く横から見ると丁字(丁子)形に見えるのでこの名があります。
青森県から滋賀県にいたる日本海側に生える落葉低木~小高木で、下部から枝分かれし高さ3~5mになります。
花は4~5月に葉の展開と同時に開き白色または淡紅色です。花柄は長さ約1.5cmで開出毛があり、花弁は長さ約1cm、萼筒は長さ8~10mmの長い筒形でチョウジザクラと違い基部は膨らみません。
花はチョウジザクラよりも大きめです。
木は低いですが立派に花をつけて、傍らのミズバショウを引き立たせていました。

エチゴキジムシロ:越後雉蓆(狭い蓆の)

2009-05-14 21:03:07 | 植物観察1日1題

佐渡アオネバ渓谷沿いで見かけたエチゴキジムシロ:越後雉蓆(バラ科キジムシロ属)です。
丸く広がった株を雉が座るむしろに見立てたのがキジムシロの名の由来ですが、普通のキジムシロは小葉が5~9個の奇数羽状複葉であるのに対して、エチゴキジムシロの小葉は5個で、下方の1対は小さくときに消失するところが異なります。
本州の日本海側の山地に生えるところから越後の名がついています。

アマナ:甘菜(チューリップの親戚)

2009-05-13 20:45:02 | 植物観察1日1題

地中の丸い鱗茎が甘みがあり食用となることからこの名があるアマナ:甘菜(ユリ科アマナ属)は、日当たりのよい草地や林縁に生える多年草で、葉は長さ15~20cm、幅0.5~1cmの白緑色の線形、中脈は時として白い筋になります。
3~5月、花茎に白地に紅紫色の筋が入った花をふつう1個つけます。
花は直径2~3cmで、日があたると開きます。雄蕊は6個で花被片より短くなっています。
有史以前に大陸から移動したものという説もありますが、日本独特のものとして学名もAmana edulis HONDAといい、チューリップはこのアマナと極めて近い属です。
鱗茎の形がクワイ(慈姑)に似ているところからムギクワイ(麦慈姑)という別名があります。
類種で、やや短めの幅広の暗紫色の葉で、中脈に白色の広い線があるヒロハアマナ(広葉甘菜)があります。

アラゲヒョウタンボク:粗毛瓢箪木(粗毛でも荒毛にあらず)

2009-05-12 18:57:05 | 植物観察1日1題

佐渡アオネバ峠付近で見かけたアラゲヒョウタンボク:粗毛瓢箪木(スイカズラ科スイカズラ属)です。名前は葉や若枝などに開出する長い毛があることに由来します。
各地の山地、本州脊梁山脈に多い落葉低木で、高さは1~2mになります。
花は4~5月、葉の展開と同時に、若枝の下部の葉腋から花柄を出し、2個ずつ花をつけます。花ははじめ白色のちに淡い黄色を帯び、花冠は長さ2~3cmの漏斗状で先は5裂して斜めに開きます。
6~7月に赤く熟す果実は、2個並びますがヒョウタンボクのように合着はしません。

サワハコベ:沢繁縷(切れ目で区別)

2009-05-11 20:44:31 | 植物観察1日1題

佐渡アオネバ渓谷沿いに咲いていたのがサワハコベ:沢繁縷(ナデシコ科ハコベ属)です。
山地の谷沿いの湿地に生える多年草で、茎は地をはい、上部は斜上し高さ10~30cmになります。
5~7月、上部葉腋に柄を出し、直径1~1.5cmの白花を開きます。花弁は5個で、先は中裂し、雄蕊は10個、雌蕊の花柱は3個あります。
同じようなところに生えるミヤマハコベの花弁は深く2裂し、一見すると10弁に見えるのに対し、サワハコベは花弁の切れ込みが浅く、花自体も少し小さいことで区別されます。

チチイチョウ:乳銀杏(母の日に垂乳根の木)

2009-05-10 19:32:47 | 植物観察1日1題

今日は5月の第2日曜日、母の日です。我が母は遠い昔に世を去り、今はお母さんと呼んでいる老妻がいるのみです。その妻に娘が孫と連れだって祝いにきました。
女親、母を意味する“たらちね”(垂乳根)は、母にかかる枕詞でもあります。その言葉そっくりなのがイチョウ:銀杏(イチョウ科イチョウ属)の老木の太い主側枝からから垂れ下がる鍾乳石状の樹瘤です。
この樹瘤、またはこれが生じたイチョウは乳銀杏といわれ、母乳の出ない女性に信仰される例が多く、さらには東京雑司が谷の鬼子母神のように、子授け銀杏となったものまであります。
一般には雄株に多く、変態枝、鍾乳枝、気生根などとも呼ばれ、向地性を持って下垂し、時には群れをなして出現します。この現象の起因や機能・仕組みなどについては諸説あるものの、いまのところはっきりしませんが、イチョウの原始性をしめす一つの例といえるようです。
写真は亀岡市の名木に指定されている丹波国分寺跡にある通称オハツキイチョウ(種実が葉の上に生じる珍しいも木)のもので、こちらは雌株です。

ニシキゴロモ:錦衣(地味な錦をまとう)

2009-05-09 19:34:34 | 植物観察1日1題

佐渡で見かけたニシキゴロモ:錦衣(シソ科キランソウ属)は、紫色の葉が美しいのでこの名がついたといいます。本家のキランソウはどこででも見られるのに対し、日本海側の山地に多い多年草で、一般には珍しい草の部類かもしれません。
ジゴクノカマノフタの別名のように地面にへばりつくキランソウと異なり、高さは5~15cmとなり、葉は長さ2~6cmの長倒卵形、葉表面の脈と裏面全体が紫色を帯びます。
4~6月に咲く花は淡紅紫色の唇形弁で長さ1cmほど、上唇は2浅裂、下唇は大形で3深裂します。葉も花も少々名前負けの感がなくもありません。


シラネアオイ:白根葵(山中の楽園)

2009-05-08 19:33:18 | 植物観察1日1題




花の島・佐渡ケ島というツアーに参加しました。
全山春の花々で埋まるこの島ですが、ここだけにしかないとい珍しい花は案外少ないというなかで、なんといっても人気があるのがシラネアオイ:白根葵(キンポウゲ科シラネアオイ属)です。
シラネアオイは白根山に産する葵ということですが、白根山に限らず本州中部以北の低山帯上部から亜高山帯上部にかけての樹下の半日陰に自生します。
1属1種で、全世界に日本だけに分布する貴重な高山植物として諸外国にも知られているといいます。植物として貴重というだけではなく、人気はその美しい姿にあります。
茎の上にモミジ葉のような2枚の葉を互生し、5~7月にかけて、通常1個、まれに2個淡菫色で、直径10cmくらいもある大きい花をつけます。光が透き通るような薄い花弁と見えるのは4枚の萼片です。
佐渡ケ島アオネバ渓谷沿いの登山道に咲き乱れる春の妖精(spring ephemerals)たちの中にあって、ひときわ大きく優美なシラネアオイの姿は、さながら妖精の中の女王のようでした。

ヤマグルマ:山車(変わった木の変わった花)

2009-05-04 06:48:02 | 植物観察1日1題

葉が枝先に車輪状につくことからこの名前があるヤマグルマ:山車(ヤマグルマ科ヤマグルマ属)
が黄緑色のかわった花をつけています。
花序は総状で、1つの花序に10~30個の花をつけます。花には花弁も萼もなく、車輪状に並んだ5~10個の雌蕊に廻りに、多数の雄蕊が多数つき、雌蕊は側面で合着しています。
花だけではなく、ヤマグルマそのものが、被子植物でありながら、導管を持たず仮導管だけで水分を運ぶ無導管植物として知られています。
通常被子植物は、機械的に体を支える繊維と、細胞の上下の両端が大きく口を開いていて、縦にいくつも連なり、水や水に溶けた成分が通る導管を持っていますが、イチョウ、ソテツ、針葉樹など球果植物など裸子植物は、両者を突き混ぜたような構造の仮導管で2つの仕事を行っています。裸子植物はこの分業が行われない状態のまま進化が足踏みしていると見られています。
被子植物でありながら木部が仮導管だけでできている植物にはヤマグルマのほかにセンリョウなどもあります。いずれも木の内部だけではなく、花も進化の途中で止まったような変わった形をしています。

シジミバナ:蜆花(なるほどの名づけ)

2009-05-03 06:28:59 | 植物観察1日1題

花の形を蜆貝の内臓に見立ててこの名があるというシジミバナ:蜆花(バラ科シモツケ属)は、昨日のオオデマリと違って、小さい花です。
中国の暖帯原産で、ユキヤナギに近いシモツケ属の落葉低木で、日本では古くから庭木として栽培されています。
茎は叢生し、高さ1~2m、直立または斜上して弓状に曲がります。4月葉が出るころに前年枝の葉腋に無柄の散形花序をつけます。小花は3~7個、白色の八重咲きで小球状になり、径役1cm、雌蕊、雄蕊は退化して結実しません。
別名に小米花(コゴメバナ)、笑窪花(漢名)、粶花(ハゼハナ)などがあり、ハゼハナは炒ったもち米のはじけた姿に見立てたものです。

オオデマリ:大手毬(大きい手毬)

2009-05-02 06:13:57 | 植物観察1日1題

隣家の塀越しにオオデマリ:大手毬(スイカズラ科)が純白の花をつけています。
ヤブデマリの花が全部装飾花になって、径5~10cmの手毬状に咲く栽培種がオオデマリです。
一見白いアジサイのように見え、日本や中国で古くから観賞用に栽培されてきました。
欧米でもジャパニーズ・スノーボールの名で庭木として喜ばれているといいます。
背の高いものは3mくらいにもなり、幹はやや太くまばらに伸びて上部で分枝します。葉は厚めで広卵形、花序は前年枝の葉腋にでた短い新枝につき、手毬のような花が連なって美しいものです。

タブノキ:椨の木(冬芽ほどには目立たずとも)

2009-05-01 06:54:49 | 植物観察1日1題

冬、枝先に集まってつく葉の中心部で赤く目立っていた、タブノキ:椨の木(クスノキ科タブノキ属)の冬芽(葉芽と花芽が一緒になった混芽)が展開して、赤い新芽と黄緑色の小さい花が伸び出ています。(05年1月23日記事)
花は4~5月、枝先から新葉とともに一緒に伸びて円錐花序につき、花被は深く6裂し、長さ5~7mmの長楕円形、内側の3個がやや大きく、内面に細毛が生えます。雄蕊9個と、仮雄蕊3個があり、最も内側の雄蕊の基部には、柄のある黄色の腺体があります。雌蕊は1個、花柱は細く、柱頭は肥大します。
遠くから見ると目立たない花ですが、アップで見るとなかなか凝ったつくりです。