新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ヤマネコノメソウ:山猫の目草(猫の細い瞳)

2006-04-17 06:48:18 | 植物観察1日1題
高槻摂津峡の遊歩道沿いにヤマネコノメソウ:山猫の目草(ユキノシタ科ネコノメソウ属)がごく細かい茶色の種をつけています。
ネコノメソウは種類が20近くもあるそうで、形も生えている場所もよく似ているので識別に骨が折れる草です。
一般にはヤマネコノメソウと単なるネコノメソウが多く、またこの2つは一見よく似ています。ヤマは葉が丸く互生、根生葉は長い柄を持つ、ただのネコは葉が小さくて対生、雄蕊が4個しかなくランナーで繁殖するなどが区別点になります。
和名の山猫の目草は、熟したさく果が2つに裂開したときの形が、猫の昼間の細い瞳孔に見立てたといわれます。写真をよく見ると、それらしい形が2~3箇所見えていますが、これなのでしょうか。

チャンチン:香椿(中国では人気の山菜)

2006-04-16 06:54:56 | 植物観察1日1題
ヤブツバキのことを調べているとき、椿の字は、中国ではツバキではなくチャンチン:香椿を意味するということを知りました。中国ではポピュラーな木で、日本には室町時代に渡来したといわれるそのチャンチン(センダン科チャンチ属)とはどんな木かと気になっていたところ、これも前から何の木かと気になっていた、家から30分ほどのところにある高木がチャンチンだと教えてくれた人がいました。(2月15日記事) 別の植物に詳しい人にこの話をしたところ珍しいのでぜひ見たいといわれていて、聞いてはいても冬芽だけでは少し確信が持てず、春芽の時期をのがさず見に行きました。
本には、チャンチンは芽吹いたときの若芽がきれいな紅色で、若葉も赤色、淡紅色、淡紫色と色とりどりで美しいとあったからです。
大高木ですが幸いに根元にひこばえがたくさん出ています。新芽は間違いなくきれいな紅色でした。
中国では、この若芽は食用として人気があり、八百屋の店先で売られているそうです。中国人は主に油いためにしますがてんぷらでもいけるそうです。
この木は枝がまっすぐに伸び、早く成長するところからライデンボク(雷電木)、ハウンボク(破雲木)、スゴロク(すぐに6尺になる)などの別称もあるそうです。

キブシ:木五倍子(春の山路に黄色の簪)

2006-04-15 07:11:55 | 植物観察1日1題
毎年、高槻摂津峡桜公園で花見をして、山のほうへ足を伸ばすと、芽立ち前の林間にいつもキブシ木五倍子(キブシ科キブシ属)が黄色い簪のような花をいっぱい垂らしているのに出会います。
果実が、ヌルデの虫こぶから取りタンニン材として薬用、染色、インク製造に、また昔は鉄漿にも用いられた五倍子(ふし)の代用品になるのでこの名があります。
北海道西南部から九州にかけて山地に生える落葉低木で高さ2~3m、樹皮は暗褐色で光沢があり、長さ7~12cmの楕円形または卵形の葉は長くとがり細かく鋭い鋸歯があります。
3~4月、葉の出る前に長さ4~10cmの花穂が多数垂れ下がり淡黄色で鐘型の花を多数つけます。
普通雌雄異株で、雌花は少し緑色を帯び、花穂も短い傾向があります。昔は材から灯心、楊枝、酒樽の栓などを作ったそうです。
マメブシ、キフジ(黄藤)の別名もあります。

アオキ:青木(赤い実の青木の花は紫褐色)

2006-04-14 06:58:22 | 植物観察1日1題
緑のアオキにいまも真っ赤な実(3月24日記事)が残っています。実をつけたままの雌木の傍らに、いま、雄木が花をつけています。
3~4月、茎頂に円錐花序を立てます。雄花序は約10cmと大きく花数も多いのですが、雌花序は小さく花数も少なくなっています。雄花も雌花も密を分泌しますが、雌花には雄花のような蛋白質に富んだ花粉がありません。そこで雌花も、黄色い葯こそありませんが、花弁の色と形を雄花に似せて昆虫を呼び寄せ花粉を受けとるのだといいます。
個々の花はごく小さいのですが、写真(雄花)は、近づいて子細に見ると、4枚の濃い紫褐色の花弁、角度をずらした同じく4本の紫褐色の花糸とその先の黄色い葯と、なかなかおしゃれで、濃緑の葉とよく似合っています。

ツクシ[スギナ]:土筆[杉菜](親はどちら?)

2006-04-13 06:52:38 | 植物観察1日1題
“つくし誰の子 すぎなの子…”誰も知っている囃子言葉ですが、本当にそうなのかなと考えてしまいます。
スギナ:杉菜(トクサ科トクサ属)は、1億数千万年前、恐竜全盛時代に栄えたというシダ類の生き残りです。繁殖のための胞子葉・実茎であるツクシと、栄養茎であるスギナとに分かれて生活しています。ツクシはスギナの子ではなく同一植物が2型の地上茎で分業していることになります。
生え出す時期から見るとツクシはスギナの親になりますが、つくしん坊の名とその形は子のほうが似つかわしいともいえます。所詮は鶏が先か卵が先かの類でしょうが・・・。
大阪では桜も満開というのに、茅葺の里で有名なここ京都南丹市美山町では、まだつぼみも固い状態でした。それでもあぜ道に生えた土筆ん坊は、もう胞子穂を開ききったような姿で、季節は確実に早春から春へ移り変る気配でした。
俗にいう土筆の袴は、退化した葉が鞘状についたもので、食用にするときは除かれます。
土筆の名は、丸く長細い胞子嚢を土から出た筆に見立てたもので、つくしんぼう、筆の花、古称のつくづくしなどの別名があり、中国でも筆頭菜だそうです。
杉菜は、姿がスギで、若い苗を食することからスギ・ナ(菜)、ほかに、袴のところで切り離して継いだ場所を当てる遊びから継ぎ菜の名もあります。

マルバコンロンソウ:丸葉崑崙草(名山の白雪)

2006-04-12 06:52:52 | 植物観察1日1題
渓谷美で知られた高槻の摂津峡は、また桜の名所でもあります。いま、谷沿いの東海道自然歩道をたくさんの花見客が通り過ぎてゆきますが、路傍に咲く小さく真っ白な花に目をとめる人はほとんどいません。
マルバコンロンソウ:丸葉崑崙草(アブラナ科タネツケバナ属)は、山地の木陰などに生える2年草で、高さは7~20cm、全体に白色の毛を密生し、葉は奇数羽状複葉で互生します。
春から初夏にかけて咲く十字形の花は真っ白で、この白さを崑崙山の雪にたとえてコンロンソウの名があります。
摂津峡の入り口から上の口まで約30分、終点近くでこの写真を撮っていると、そこの茶店のおかみが出ていて、何かと聞くので、かわいい花でしょうと名前を教えてやりました。
ここへ嫁いできて60年近くの間、この花にはまったく気がつかなかったといいます。覚えておくといいですねといって別れましたが、彼女、大きくなずいて嬉しそうでした。

クロモジ:黒文字(高級爪楊枝)

2006-04-11 06:55:19 | 植物観察1日1題
この木を知らない人でも、茶席などで使われる、クロモジという黒い木肌を少し残したお菓子用の楊枝を知らない人はあまりいないでしょう。
クロモジ:黒文字(クスノキ科クロモジ属)は、本州から九州、四国の山地に生える高さ2~4mの落葉低木で、若い枝は暗緑色で黒い斑点があります。
家からすぐ近くの林にこのクロモジの花が咲いています。冬芽のとき見たのと同じ形で、真ん中の緑色の新芽を挟んで両側に小さい淡黄色の花が固まって咲いています。雌雄異株で、花被は6、雄花は雌花より大きく、雄蕊9、葯は弁開します。
小枝を折るとよい香りがします。葉や材にふくまれるクロモジ油は香料や香水に使われるそうです。
和名の由来は樹皮の斑紋を文字になぞらえたものといわれます。烏文字、烏樟などの別名があります。

ダンコウバイ:檀香梅(鬱金に擬せられる黄色い花)

2006-04-10 07:00:51 | 植物観察1日1題
早春の能勢の一庫公園の遊歩道でダンコウバイ:檀香梅(クスノキ科クロモジ属)が黄色い花をつけていました。花の形は昨日のアブラチャンとよく似ています。迷って木の根元を探すと特徴ある枯葉が(12月10日記事)落ちていましたのでダンコウバイと見ました。ダンコウバイの若枝は緑色なのにたいしアブラチャンは赤褐色なのも区別点になります。
本州関東以西、九州、四国の暖地に生える高さ3~7mほどの落葉小高木で、互生する葉は、長さ5~10cmの広卵形で普通浅く3つに切れこみます。雌雄別株で、花期は3~4月、雄花は6~7個づつ、
雌花は5~6個づつ集まってつき、僅かですが芳香があります。鮮黄色の花からウコンバナ:鬱金花の別名があります。
枝や葉にも香気があり、クロモジと同じように爪楊枝にされ、また果実から良質の油がとれ、整髪油や灯明油に使われたそうです。

アブラチャン:油瀝青(昔は灯油をとった)

2006-04-09 06:58:21 | 植物観察1日1題
渓流沿いなど多い落葉低木で、どこもにでも見かける木ではありませんが、春先葉の出る前に淡黄色の小花を固めてつけるので、秋の黄褐色の実とともに、時期によりよく目立つ木でもあるのがアブラチャン:油瀝青(クスノキ科シロモジ属)です。
雌雄異株で、写真は黄色みが強く花の固まりが大きい雄花で、雌花は緑がかった黄色で大きさも少し小さくなっています。楕円形の葉は揉むと香気があります。
昔は秋に熟す果実から灯油をとったそうです。和名は、樹皮や果実に油が多くよく燃えるので油と瀝青(チャン)を合わせた名、あるいはアブラジシャから転じたものなどといわれます。
また幹が立たずに根元から株立ち状に枝が出るのでセンボンギ、ムラダチなどの別名もあります。
ところで、この瀝青(チャン)という言葉は子供のときよく聞いたように思うのですが、どんな使われ方をしていたのか思い出せません。広辞苑でひくと、「タールを蒸留して得る残滓、または油田地帯などに産出する黒い粘質の有機物で、これを塗った土器を瀝青塗りといって油が器に浸み込まないので灯油が長持ちする」とありますが、なかなかイメージが浮かんできません。ただ灯油をとったというアブラチャンの名と灯油の節約とがどこかでつながっているのかな、などと考えてしまいました。

カツラ:桂(愛を結ぶ紅い糸)

2006-04-08 07:02:44 | 植物観察1日1題
公園の高い木の梢が、うっすらと赤く染っています。新芽かと思って近づいてみると、枝の節々に細く赤い小さな房状のものがついていました。
カツラ:桂(カツラ科カツラ属)の雄花です。雌雄異株で花は葉に先立って咲き、萼や花弁はなく、葯が紅色で花糸が白っぽい蘂を房状につけます。
よくみればかわいい花も、なにやらかそけき感じで、季節で分けられた図鑑では、たいていこの木は秋の木の部に入っていて花より黄葉が知られているみたいです。
山地に生える落葉高木で、谷沿いなどに多く、大きいものは高さ35mにもなり、幹は灰褐色、縦に浅い割れ目が入り、根元からよく萌芽するのでしばしば株立ちになります。
円心状の葉は、落葉の頃甘い香りを出すので、大きな木があると、少しはなれたところからでもわかります。
副題“愛を結ぶ”は“愛染かつら”からの連想です。これにまつわる話は昨年12月7日記事をご覧ください。

コブシ:辛夷(名前は全国版)

2006-04-07 07:22:00 | 植物観察1日1題
去年のいまごろ、日本海側へバスツアーしたときこと、山のあちこちに咲く白い花を見て、バスの中から“あ!辛夷が咲いている”との声が期せずしてあがりました。実際はタムシバだったのですが、間違ってはいるにしても、関西では自生をあまり見かけないコブシの名前を多くの人が知っているのは、千 昌夫の「北国の春」のおかげとしても有名になったものです。
コブシ:辛夷(モクレン科モクレン属、牧野図鑑ではホウノキ属)は、北海道から九州までと済州島に分布し、山林に生え、公園、庭にも植えられる落葉高木です。枝は太く無毛、折れば香気があります。3~5月はより早く小枝の先に1花を開き、花径6~10cmの倒卵形、6個の花弁は白色で、基部は紅色をおび芳香があります。
葉のすぐ下に葉が1個つくのが特徴で、タムシバと区別されます。
特徴ある果実のことは昨日の記事のとおりです。
和名は拳(こぶし)の意で、果実またはつぼみの形に由来しますが、辛夷は本来モクレンで、誤用ですがこの字を慣用します。
実を噛むと辛味があるのでヤマアララギ、コブシハジカミ、また田打ち桜の地方名もあります。

ハクモクレン:白木蓮(完璧美人もどこかにきずが)

2006-04-06 06:53:51 | 植物観察1日1題
最近まで何もなかったような家の庭に、突然ハクモクレンの白い大きな花が満開になっていて驚いたりします。
昨日の記事で書いたように、正しくは、シモクレンといわれるモクレンとは違う品種で、モクレンより高木、早い花期、乳白色で3個の花びらに見える萼片を加えて9弁に見える大きい花など、いくつか違いがあります。
この中国原産のハクモクレン:白木蓮(モクレン科モクレン属)は、日本には江戸時代以前に入り古くから庭木としてよく植えられています。早春、葉より早く枝先に白色大輪の花をつけ、日が当たると上向きに開き、開鐘形で芳香があります。
雄蕊は多数で円錐状の花床にらせん状につき、軸の上部に20~30個の雌しべが小さい突起を作ります。果実は袋果の集合果で、熟すと裂けて赤い仮種皮に包まれた種子をたらします。この円錐形の花床に多数の雄ずいがつき、雌ずいが離生して環を作らずらせん状に配列する、モクレン、コブシ、タムシバ、ホオノキなどモクレン科の多くに共通する特徴は、白亜紀下部から化石が出ることで、この仲間は被子植物の中でももっとも祖先的な植物ではないかといわれています。
大きい花ですが、個々の寿命は短いらしく、真白い花びらだけに、傷みがよくめだち、近くで見るとなかなか完全な花に出会えません。
写真の花の花芯を覗くと、どの花にも羽蟻のような虫がいっぱいうごめいていました。

モクレン:木蓮(木蓮は紫色)

2006-04-05 06:53:32 | 植物観察1日1題
隣家の庭にシモクレンが紅紫色の花をつけています。
一般にモクレンといわれているものには2種類あり、地際から多数の幹枝を株立ち状に立ち上げて、
あまり大木にならずに、大型で紅紫色または暗紅色の6弁の花を咲かせるモクレン(シモクレン)と、香りのよい白色の大きな6弁花に、ほとんど同形の萼片3枚をつけるので9弁の花に見える高木のハクモクレンがありますが、両者は別種なので呼び分けるのが正しいとされています。
そのうち一般にシモクレンといわれるモクレン:木蓮(モクレン科モクレン属)は、中国原産で、4~5月ハクモクレンより少し遅れて葉の開く前に長さ10cmほどの花をつけます。
6個の花弁はあまり開かず、内側は外側より淡い色です。
種々交雑が行われて多数の園芸品種が出ています。最近花弁の外側が紅紫色で内側が白い品種をよく見かけます。モクレンの変種で、花はモクレンより小さく、花弁の先が尖り、内側がモクレンより白っぽく、花期が遅いトウモクレンがありますが、写真がそれかどうかは自信はありません。
紫木蘭、木蘭花、木蘭などの別名があります。

ユキヤナギ:雪柳(岩場にしなやか)

2006-04-04 07:05:38 | 植物観察1日1題
なぜか黄色が多い早春の花の中で、珍しく白い花を枝いっぱいにつけているのはユキヤナギ:雪柳(バラ科シモツケ属)です。葉が柳に似て多数の白い花をつけるのでこの名があります。
本州関東以西、四国、九州、中国に分布し、もともと川沿いの岩場などに生える高さ葯2mほどの落葉小低木です。栽培・増殖容易、刈り込みに耐えることなどから、公園や庭におなじみの木です。束生する枝は細長く斜上し弓状に曲がります。春、直径8mmほどの小さな白い5弁花を枝が見えなくなるほどびっしりつけます。
ユキヤナギは、自生する川や沢筋の岩場の環境に合わせて、長い根、細長い葉、しなやかな枝で、増水、冠水しても流されず、ダメージを受けないようにしているといわれます。
別名に、小米花、小米柳、子米桜、岩柳、噴雪花(漢名)があります。

レンギョウ:連翹(黄色い鳥の尾)

2006-04-03 07:27:33 | 植物観察1日1題
なぜか黄色の花が多い早春の花がロウバイ、サンシュユ、オウバイと咲き進んで、いま庭ではレンギョウ;連翹(モクセイ科レンギョウ属)がやはり黄色い花を咲かせています。
中国原産で、日本へは天和年間に入ってきたといわれる高さ3mほどの落葉小低木です。
枝は叢生して長く伸び、枝垂れて地に着けばそこから根を生じます。
花は3~4月葉の出る前、前年枝の腋に直径2.5cmほどの黄色い4弁の筒状花を枝いっぱいにつけます。
中国原産のシナレンギョウとの間で雑種がつくられ、多くの園芸品種があります。
この仲間の見分けのポイントは枝の断面で、レンギョウは節以外は中空、シナレンギョウは髄膜が並ぶが節はなく、チョウセンレンギョウは節と節の間に髄膜が段々になっていて、枝は枝垂れます。節を割ってみると我が家のはどうやらシナレンギョウのようです。ほかに花つきがまばらなヤマトレンギョウもあります。
“連翹”は果実を生薬にした漢方の名ですが、“翹”は鳥の尾の長い羽を意味し、花の形にぴったりです。別名に連翹空木、黄春丹、いたちぐさ、などがあります。