新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
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蟻が火を吐くキキョウ:桔梗(1)

2005-07-24 06:05:37 | 植物観察1日1題
秋の七草の中でも最も身近に見られるキキョウ:桔梗(キキョウ科)は、庭にもよく植えられます。日本原産ですが、名前は漢名に由来し、現在の中国でも同じ“桔梗”です。
山上憶良の秋の七草の歌には、“桔梗”がなく“あさがおのはな”となっていますが、アサガオが後世中国からの渡来植物のため、今でいう桔梗を指すという説が有力です。
平安時代の本草書で、桔梗のことをアリノヒクイ(蟻の火喰い)と呼んでいるそうです。
青紫の花は、アントシアン系色素で、蟻の蟻酸に触れると紅く変色するので、蟻が何かの動きで花を噛むとき、口から火が出ているように見えることからつけられた名です。
昔の人の観察眼の鋭さに驚きます。ためしに花を取って酢に漬けたら確かに赤く変色しました。桔梗根として薬用にされる多肉白色の肥大根がある多年草ですが、栽培容易で、春先に種を蒔くと秋にはもう花をつけます。
桔梗の花は咲き始めから終わりまでの間、雄蕊、雌蕊の形が変わります。自家受粉を避けるための雌雄異熟といわれる巧妙な仕掛けです。下の写真、右から咲き始め→雄蕊の展開→雌蕊の展開です。