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Ikku's 「zoku hizakurige 11」 part2

2011-09-06 | bookshelf
中山道新町宿でのどんちゃん騒ぎ。実に楽しそうである!

***『続膝栗毛十一編』下***
『続膝栗毛十一編』十返舎一九作・画 1821年刊行

 昨日道を間違えて、かはら如横(?不明)という辺りをさまよって、漸く百姓の家に頼んで一夜を明かした弥次郎兵衛喜多八は、今朝出発しても帰り道が見つからず、道行く人に高崎へ出る道筋を聞いて、榛名山へ参詣することにして郷原宿を目指して歩きます。
 往来のよこやへかはら畑(ばた)とりちがへたあす(?)ごうはらの宿(しゅく)
字数が合わない
 それより阿津田(あつた:不明)という所を過ぎて行く途中、向うから旅人と思しき人が来たので道を聞きました。旅人は「この道でもいいが、今日は夕べの雨で川が渡りづらくなっているだろうから、大戸へ戻って(信州街道)から行ったほうがいい」と答えました。それだと二里ほど損をするので、川までは十里あるからそれまでには何とかなってるかもしれないと2人はそのまま先へ進みます。
 しばらく歩くと幅の狭い川が流れていました。「こんな川が越されないとは。あの野郎めが。騙したな」「そうだろう。こっちは如才ないのだ。馬鹿な野郎だ」などと馬鹿にしながら川に入り難なく渡りました。少し行くとまた川に出くわしました。今度は川幅が広く、旅人はこの川の事を言っていたんだと気付きます。2人は迷いますが戻るよりは川を渡ろうと、裸になり着物を頭の上に乗せて、手と手を取り合ってそろそろと川へ入ります。
 弥次「そんなにひっぱるな。すべりそうだ」。北八「おめぇ不器用な。そう歩いちゃあ流されらァ」。弥次「石がごろごろしてるんだ」。北八「しっかりしなせぇ」。弥次「アァつめたい」。北八「ここが辛抱どころだ、しずかに、しずかに」。漸く対岸へ上がり、一息つき体を拭き着物を着ました。
 向うから来た芝刈りの親仁を呼んで、弥次さんが「榛名山へはこの道でいいかね」と尋ねると、親仁は「アニ榛名へか。ソリャ違ったんべい。あとの川の前から右の方へ長渕(倉渕の間違えか?)という処へ出て行かっしゃい」と言います。弥次さんは「また間違えた」。北さんが「忌々しい。今日は狐にでもつままれた気がしねぇか」と言うと、「なんぼ昼日中でも、こんな淋しい山辺じゃあそうかもしれねえ」と弥次さんも同感します。そして「あの親仁が狐かもしれねぇ。とっつかまえてぶちのめしてやろうか」と言って芝刈りの親仁をひっとらえ腕をよじったので、親仁は肝を潰し「アイタタタ、あにをする」。「何をするも、おまえらに化かされて堪るものか、尻尾をだせ」と言って抵抗する親仁の褌をひっぱります。「金たまがしまって、イタイイタイ、、、」と争っている所へ、商人風の男が通りかかります。親仁が助けを求めるので仲裁に入り、2人に何処へ行くのか聞くと高崎に行くと言ったので、「あの親仁に長渕(倉渕)へ出て行けと言われたんだろう。わしは榛名の方へ行くんだが」と言います。それを聞いた弥次さんは案内を頼んで親仁を放しました。
 歩き出すと女の子たちとすれ違い、その様子で弥次さんが女好きだと悟った商人は、新田の酒屋に美しい女がいて、亭主を8人も持ったがみな死んでしまって後家でいるが、男好きで誰でも構わない女だ、という話をします。弥次さんはどうしてもその酒屋へ泊りたいと言い出します。旅籠屋ではないが、親しく出入りしている商人が頼めば承諾してもらえるだろうと、その商人に酒を馳走することで執り成してもらうことになりました。
 新田村の酒屋へ入ると、年増女が茶を持って出てきました。挨拶に出てきた婆と商人がしゃべっている内に、弥次さんは酒やゆで玉子や雉子の足の附焼きなどを豪勢に注文します。そして女に今夜泊めてほしいと頼み、商人が口添えすると女は承諾しました。あらかた呑み食いすると商人は出て行きました。勘定は230にもなりました。
 女が2人を奥へ案内します。「わっちがここに泊るのには思惑があるのは承知だろう」と弥次さんが切り出すと、女は何でも知ってますよと笑いながら立ち去って行きました。すると台所から婆がやってきて「知らない人を泊めるとどんなことがあるかわからないから出て行ってくれ」と言い出します。弥次さんが今更格好悪いし泥棒なんかしないし、と言っても聞き入れてもらえず、もめていると隣りの亭主が聞きつけ、訳をきいて謝罪しますが、結局2人は出て行くことにしました。弥「商人に酒を飲ませただけだった。つまらねぇ」北「どうでも出て行くのか、知恵のねぇ」弥「仕方がねぇじゃねえか」北「こんなこったろうと思ったさ」と小言を言い散らしながら、脚絆などつけて出て行きました。
  夕立の雲はうつりて水の面(おも)て すみをながせるいかほ沼かな(?)
それより榛名山に登り、宮に参詣しました。
  早蕨(さわらび)のこぶしに人の慾づらを はるなのね(?)の誓たうとき(尊き)

巡拝してしばらく休んでいると日も暮れてきたので頼んで一泊しました。
 翌日、諸田(室田の間違い?)という所を歩き、中山道高崎駅に出ました。宿場の棒鼻の茶屋の女達が呼び込みをしています。そこを通り過ぎて新町駅にさしかかります。宿引きがしつこいので、銭は出すから綺麗な部屋を頼むと言って付いて行きますが、通されたのが不景気な2階の座敷。1階にはいい座敷がたくさん空いていますが、予約だと言われ仕方なし泊ることにしました。そのうちに隣りの部屋で宴会が始まります。
<上の挿絵の狂歌>三味線のてうし(調子、銚子)をかへて いくたびも 
             あとをひき出す 酒のみの癖
     十返舎
 飯盛女(宿附きの女郎)がやって来て、弥次さんと北さんの間に座り、恋人が手紙をくれたが字が読めないから読んでくれと頼みます。恋文だと思って読んでやると、そうではなく母親に宛てた手紙で辛気臭い内容だったため、飯盛女は恥ずかしがって逃げて行きました。どうやら恋人が母親に送る手紙と間違えて渡したらしいと興味を持った弥次さんたちは、隣りの座敷の2人の様子を窺います。2人は手紙について言い合い、飯盛女が泣き始めました。ところが、北さんが女が茶碗の茶を目に付けて泣き真似しているの見付けます。弥次さんがふざけて、墨を入れた茶碗にすり替え、気付かない女は墨を目の端につけたので、男はその顔を見て肝を潰し笑い出します。女は自分の手を見て「あんまり目をこすったから、黒目をつぶして涙が黒くなった」と言い訳をしますが、茶碗をすり替えたのが弥次たちだと知って騒ぎ出します。宿の亭主たちがやって来て、うろたえる弥次郎と北八。行燈をひっくり返し、真っ暗な中みんな墨でべとべとに真っ黒になります。2人は逃れて池の水で洗い落としました。
 騒動も治まり、ひと寝入りして夜明けに出立し藤木村立て場(群馬県富岡市に藤木という地区があるが、中山道より南で位置的に当てはまらない。)の茶屋に立ち寄り休んでいると、駕籠かきが来てしつこくします。そのうち駕籠かきが一人でしゃべります。長い話が終り、2人も共に茶屋を後にします。

 この次、本庄駅より板橋宿まで大回りして江戸_の_あらまし、草稿出来____

『続膝栗毛十一編』終

※伊香保の沼へ行ったらしいので、伊香保から榛名山へ登ったもよう。

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